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従業員は橋の下にゃん

 ○帝国暦 二七三〇年〇九月十一日


 ○プリンキピウム プリンキピウム・オルホフホテル ペントハウス


 昨夜はペントハウスに戻ってリビングに布団を敷いて寝たはずだが、目を覚ますと金縛りにあっていた。

 オレの自由を奪うとはなかなか見どころのある金縛りだ。

 顔に当たってるフサフサは何だ?

「にゃ?」

 猫耳たちがみっしりとオレを埋め尽くしていた。何の事はない下敷きになって身動きが取れないだけだ。

 朝までぜんぜん気が付かなかったわけだが。

「にゃあああああ!」

「「「みゃあ!」」」

 オレの上に折り重なってる猫耳たちを弾き飛ばした。


 苦情は受け付けないにゃん。



 ○プリンキピウム 果樹園


 朝食の後は、寄宿学校の子供たちとシャンテルとベリルを果樹園に連れての見学だ。寄宿学校に通ってる街の子も混ざってる。冒険者ギルドの職員や冒険者の子たちだ。

 ビッキーとチャスはシアとニアとノアの四歳児たちにピッタリくっついてる。

「これが果樹園なんですか?」

 アシュレイが代表して質問する。

「にゃあ、そうにゃんよ、出荷も今日からできるにゃん」

 猫耳ゴーレムが作業中だ。

「昨日作って今日から出荷するんですか?」

「にゃあ、冒険者ギルドの受け入れ体制がまだ整ってないから、いっぱいは持って行けないにゃん」

 猫耳ゴーレムが収穫した魔獣の林檎を魔法車のカートに載せて運んでくる。

「あれを倉庫で箱に詰めて、冒険者ギルドに出荷するにゃん」

「ネコちゃん、あのあかいのなに?」

 メグが質問する。

「魔獣の林檎にゃん」

「「「まじゅう!?」」」

「にゃあ、もともと魔獣の森に生えているからその名前があるだけにゃん、食肉植物とは違うから安心していいにゃん」

「驚かすなよ」

 バーニーが唇を尖らせる。

「にゃあ、ごめんにゃん」

「ネコちゃん、まじゅうのりんごは美味しいの?」

 ちっちゃい子たちが目を輝かす。

「にゃあ、昨日食べたにゃんよ」

「きのう?」

 首を傾げる。昨日のは調理されていて原形が無かったからわからなかったか。

「そのまま食べても美味しいから、実際に食べてみるのがいいにゃんね」

「たべていいの?」

「にゃあ、いいにゃんよ、でもその前に手を洗うにゃん」

「「「はい!」」」

 子供たちはいい返事をした。


 当然、そのまま食べる魔獣の林檎は子供たちに大好評だった。


「マコトさん、果樹園で働く人ってもう決まってるんですか?」

「にゃあ、まだにゃん」

「そうですか」

 アシュレイが考え込む。

「私たちでもお手伝いできる仕事はないでしょうか?」

「にゃあ、誰か働きたい子がいるにゃん?」

「あまり勉強が好きじゃない子もいるので」

 アシュレイはちょっと言い難そう。

「にゃあ、そうにゃんね、将来的には何人かに手伝って貰うつもりにゃん」

「将来的にですか?」

「にゃあ、いまから働くにしても最低限の読み書きと計算はマスターして欲しいにゃん、それが条件にゃん」

「チーズ工房みたいな感じの働き方ですか?」

 チーズ工房でお小遣い稼ぎをさせていたが、こっちに移ってからは勉強や遊びを優先にして貰ってる。

「そうにゃん、勉強が苦手なのもわかるにゃん、ただ後ろ盾がない孤児なら普通の子より学ばないといけないにゃん」

「「「そうなの?」」」

 ちっちゃい子たちに質問される。

「にゃあ、自分しか自分を守ってくれないにゃん、学ぶことはその武器になるにゃん、それにオレのところは読み書きも計算もできない人は雇わないにゃん」

「「「ええっ!?」」」

「にゃあ、ちゃんと勉強すればできるようになるにゃん」

「「「ほんとうに?」」」

「にゃあ、本当にゃん、オレが保証するにゃん、ちゃんと勉強した子は将来、オレの仕事を手伝ってもらうにゃん、他の仕事をするにしても勉強は必要にゃん」

「「「ぼうけんしゃも?」」」

 男の子たちからも質問が飛ぶ。

「にゃあ、当然にゃん、考えなしの冒険者は長生きできないにゃんよ」

「ちゃんとべんきょうする」

「あたしもする!」

「「「べんきょうする!」」」

 最後は皆んな学習意欲を新たにした。

 果樹園にもチーズ工房と同じく、お小遣い稼ぎのお手伝いは用意するにゃん。



 ○プリンキピウム 冒険者ギルド 買い取りカウンター


 リーリはホテルの厨房に戻り、オレは冒険者ギルドに魔獣の林檎を一箱持ち込んだ。

「にゃあ、魔獣の林檎の査定もザックがやるにゃん?」

「ああ、ギルマスから聞いてるが、これが魔獣の林檎ってマジなのか?」

「にゃあ、マジにゃん、自分の目で確かめるといいにゃん」

 箱を開けてたっぷりと詰まった魔獣の林檎をザックに見せてやった。

「ちょっと待ってくれ、俺も実物は初めてなんだ」

 ザックは魔導具を出して魔獣の林檎を一個載せた。

 何やら表示されてる。

「間違いない、魔獣の林檎だ、しかも特上かよ、値段はギルマスと相談するからちょっと待っててくれ」

 デリックのおっちゃんが直ぐにやって来た。

「本当に昨日の今日でもう持って来たんだな」

「にゃあ、魔法を使えばあっという間にゃん」

「すると明日から、もっと持って来れるんだよな?」

「一日最大一〇〇箱までは出荷可能にゃん」

「こっちの体制が整うまでは一日二〇箱で頼む、買い取り価格は数日待ってくれるか? 上のヤツらと相談しなくてはならないからな」

「いいにゃんよ」

「しかしすげーな、今度は魔獣の林檎か」

 ザックが一個ずつチェックしてる。

「にゃあ、森の恵みにゃん」

「マコト、魔獣の森に入ったのか?」

「ノーコメントにゃん」

「そうだよな、余計なことは言えないよな」

「ザックも余計なことは訊くな」

 デリックのおっちゃんから釘を刺される。

「にゃあ、ところで果樹園を手伝ってくれそうな引退した冒険者はいないにゃん?」

「引退した冒険者か?」

「職にあぶれてる元冒険者あたりで、出来れば果樹園の責任者とか任せられるとラッキーにゃん」

「住み込みでもいいのか?」

「にゃあ、希望ならホテルの従業員寮を使っていいにゃんよ」

「それと持ち逃げしないヤツだな」

 デリックのおっちゃんが条件を付け加える。

「にゃあ、寄宿学校の子供たちがお手伝いに入る予定だから、ちゃんとした人じゃないとダメにゃん」

「ちゃんとした人は冒険者を引退したら故郷に帰ったり、州都に住んで悠々自適な生活をしてるからプリンキピウムにはいないぞ」

「にゃ、そうにゃん?」

「ちゃんとしてない人は大概、引退前に死んでるしな」

「厳しい世界にゃん」

「そうだ一人いるぞ、橋の下のカーティス爺さんはどうだ?」

 ザックが心当たりを上げてくれた。

「橋の下のカーティス爺さんにゃん?」

 ホームレスっぽい響きにゃんね。

「おお、カーティスさんか、しかし、身体が不自由だからどうだろうな?」

 ギルマスは疑問を呈する。

「にゃあ、身体のことはどうにでもなるにゃん、人柄はどうにゃん?」

「それは俺が保証する、爺さんが橋の下に住んでるのだって他人に迷惑を掛けたくないからなんだ」

「にゃあ、ザックの推薦なら当たってみるにゃん」

「俺が案内する、いいですよね?」

 ザックがギルマスにお伺いを立てる。

「ああ、行って来い、カーティスさんがマコトのところに行ってくれれば俺も安心だ」



 ○プリンキピウム 市街地


 ザックが乗る馬の前に乗せてもらう。

「にゃあ、ザックはカーティスさんを良く知ってるにゃん?」

「ああ、爺さんには子供の頃に冒険者のイロハを教えてもらった」

「でも、いまはギルドの職員にゃんね」

「それは俺の鑑定の腕がいいからだ、それだって基礎は爺さんに教わった」

「世話になったにゃんね」

「もし、果樹園で使えなくてもマコトのところで面倒をみてやってくれないか? 俺も差し入れとかしてるんだがギルドの薄給ではな」

「にゃあ、そこは本人次第にゃんね」

「爺さん、頑固だからな」

「説得は任せるにゃん」



 ○プリンキピウム 橋の下


 ザックが案内してくれたカーティス爺さんのねぐらは本当に橋の下だった。


 ホームレス感満載の掘っ建て小屋はブルーシートがないぐらいで異世界であっても似た感じだ。

「おい、爺さん、いるんだろう?」

 入口らしき場所の防水布をめくってザックが小屋の中を覗き込んだ。

 そして直ぐに振り返った。

「マコト、ヤバいぞ」

「にゃ?」

 オレも小屋の中を覗き込んだ。

 そこにはやせ細った老人が横になっていた。

 苦しそうに呼吸しているが、それがかなり弱い。

「確かにマズいにゃんね、応急手当をするにゃん」

 治癒の光で小屋を満たし、壊れかけたエーテル器官に魔力を注いで修復する。

 それからウォッシュで内側と外側を綺麗にした。

「にゃあ、かなり衰弱してるにゃんね、後はホテルで治療するのが良さそうにゃん」

 オレは馬車を再生してザックにカーティス爺さんを運び出してもらった。

「おお、遂にお迎えか」

 カーティス爺さんが薄目を開けた。

「随分と可愛い天使様を案内に寄越してくれたんだな」

「にゃあ、天に還るにはまだ早いにゃん、カーティス爺さんにはオレのところで働いてもらうにゃん」

「まだこんなジジイをこき使うとは、天使様も人使いが荒くていらっしゃる」

 爺さんは深く息を吐き出して目を閉じた。

「にゃあ、身体はオレがちゃんと治すにゃん、ザック、先に馬を出すにゃん」

「ああ、いいぞ」

 ザックも馬に飛び乗った。

 オレは爺さんの掘っ建て小屋を丸ごと分解して格納した。

 そして河川敷から通りに出た。

 オレの馬車ならこの程度の斜面はどうってことない。

 馬車を走らせながらホテルにいる猫耳に念話を送る。

『にゃあ、これからホテルの医務室に急患を運び入れるにゃん、ノーラさんにも伝えて欲しいにゃん』

『了解にゃん!』



 ○プリンキピウム プリンキピウム・オルホフホテル ロビー


 大通りをかっ飛ばして一〇分ほどでホテルに到着した。

 待機していた猫耳ゴーレムの担架にカーティス爺さんを移し替えて馬車を仕舞う。

「まあ、カーティスさんなの!?」

 駆け付けたノーラさんが担架で運ばれるカーティス爺さんに声を上げる。

「ノーラさんは知ってるにゃん?」

「勿論です」



 ○プリンキピウム プリンキピウム・オルホフホテル 医務室


 医務室に運び込んだカーティス爺さんをカプセルに入れた。

「にゃあ、ノーラさんはカーティス爺さんが身体を壊した時期はわかるにゃん?」

「いまから二〇年前です、仲間に裏切られて瀕死の重症を負ったのが元で身体が思うように動かなくなったそうです」

「仲間の裏切りはキツいにゃんね」

「ええ、心にも大きなキズを負われた様です、それに一〇年前に大病をされてからは、ほとんど外でお見掛けすることがなくなりました」

「わかったにゃん、これから魔法で本格的に治療するにゃん」

「よろしく、お願いします」

 ノーラさんが出て行ってオレは治療を開始した。

 カーティス爺さんを心身ともにシャキッとさせるには二〇年ほど時間を巻き戻す必要がある様だ。

「行くにゃんよ」

 爺さんのエーテル器官に改めて魔力を注ぎ込み肉体の時間を逆行させて修復を行う。

 白内障で濁った眼や、欠損した肉体を元の状態に戻す。

 元々持っていたエーテル器官の問題は、橋の下の小屋の段階で修正済みだ。

 じっくり回復させつつオレのやって欲しい仕事の内容も直に伝えた。

 やるかやらないかは本人次第だ。


「にゃあ、完了にゃん」

 十五分程度の治療なので大した事はない。

 爺さんの白い髪は、艶やかな銀色の髪に変わっていた。

 やせ細っていた身体はしっかりと鍛え抜かれた肉体に変化している。

 爺さん感は残ってない。

「これで問題はないにゃん」

 カーティスさんは目を開け、カプセルから身体を起こした。

「ここは何処だ?」

「プリンキピウム・オルホフホテルにゃん」

「ああ、以前にザックの小僧が言ってた場所か、なるほどこれはスゴい」

 カーティスさんは周囲を見回す。

「オレはマコト・アマノにゃん、カーティスさんへの用件はもう伝えてあるにゃん」

「ああ、承った」

「オレの仕事を受けて貰っていいにゃん?」

「マコトに助けてもらった命だ、その恩に報いよう、しかもこの身体の感覚、実に久し振りだ」

「二〇年ちょっと前の状態に近いにゃん」

「いや、その頃よりいい感じだぞ」

「にゃあ、それとカーティスさんのものは勝手に修復したにゃん」

 カーティス爺さんの掘っ立て小屋から持ってきたモノは、小屋ごとウォッシュして修復した。

 着替えを出す。

「おお、こいつはまるで新品だ、本当に俺の物なのか?」

「にゃあ、紛れもなくカーティスさんの物にゃん」

「確かに遥か昔に見覚えがある」

「魔法馬を渡してあるから格納魔法を使えるようになってるにゃん、残りはそっちに移すにゃん」

「そんなことまでできるのか、おお、本当に入って来たぞ」

「にゃあ、カーティスさんはもともと魔力が強いにゃん、それなのに身体強化にも使ってないし勿体ないにゃん」

「そうだったのか? 初めて聞いたぞ」

「にゃあ、近くに魔力を感じ取れる人間はいなかったにゃんね、ウォッシュみたいな生活魔法と簡単な治癒魔法を教えるにゃん、それと今更だけど身体強化にゃん」

「魔法とは、こんなに簡単に覚えられるものなのか?」

「にゃあ、それはないにゃん」

「マコトが返してくれた物に良くわからないのが有るぞ、テント三張りとか俺の物じゃない」

「にゃあ、それはカーティスさんの小屋の材料にゃん、元の形に復元したら出て来たにゃん」

「なるほどそうか、ほう、折れた剣まで綺麗に修復されてるとは恐れ入った」

「にゃあ、二~三日、ホテルでゆっくりしてもいいにゃんよ」

「いや、鈍った身体を動かしたい、早速、仕事をするとしよう」

「にゃあ、だったら果樹園に案内するにゃん」


 医務室を出た廊下にノーラさんとザックが待っていた。

「まあ、カーティスさんなの!?」

「おお、ノーラか、久し振りだな、大病を患ったと聞いたが随分といいみたいじゃないか?」

「私もマコトさんのお世話になったんです」

「にゃあ、ノーラさんにはこのホテルの総支配人をやって貰ってるにゃん」

「そいつは出世したなノーラ」

「何を言ってるんですかカーティスさん、あなたこそすっかり見違えて」

「本当に爺さんなのか?」

 ザックはカーティスさんをまじまじと見る。

「にゃあ、ザックはカーティスさんが健康な時代を見たことがないにゃんね」

「そう言われればそうだ」

「カーティスさんは怪我や病気のせいで年齢以上に老け込んで見えてたにゃん」

「マコト、仕事に行くとしよう、ノーラもザックもまたな」

 オレもカーティスさんの後に付いてふたりに手を振った。



 ○プリンキピウム 果樹園


 地下道を通って果樹園に戻った。

「ほお、ここが果樹園なのか、城壁からしても面影はまったくないな」

「にゃあ、全部直したにゃん」

「子供たちがいるな」

 お手伝いに参加希望の子供たちが猫耳からレクチャーを受けてる。

「にゃあ、元孤児院の子供たちにゃん、いまは寄宿学校にゃん」

「孤児院、貴族の子ではないのか?」

「違うにゃんよ」

「するといまの孤児の子は随分と身奇麗なのだな」

「ちょっと前は酷い有様だったにゃん」

「俺もこの街ではないが孤児院の出身だからわかる、酷い有様だったぞ」

「にゃあ、どうしてもそういう扱いになるにゃんね」

 元の世界でも国によっては相当酷いことになってる。ましてや文明が後退した異世界ではね。

「それにしても魔獣の林檎を育てるとは驚きだ」

「にゃあ、オレも見付けた時は驚いたにゃん、まずは食べて欲しいにゃん」

 ひょいとジャンプして魔獣の林檎の実を一個取って渡した。

「おお、こいつは美味い」

 カーティスさんは、魔獣の林檎を頬張って顔を綻ばせる。

「体力と魔力を回復してくれるので冒険者にピッタリの果物にゃん」

「しかし値段が冒険者向きじゃないだろ?」

「にゃあ、いずれ手頃な価格に落ち着くにゃん」

「その前にどこぞの貴族が横槍を入れて来そうだが」

「にゃあ、アルボラの領主様ならそんなせこいことはしないにゃん、それにここは辺境伯の所有だから手出しはできないにゃん」

「辺境伯?」

「にゃあ、オレがそうにゃん」

「マコトは貴族様なのか?」

「にゃあ、爵位はこんな時に便利にゃんね」

「そうか、マコトは貴族様か、そいつはいい」

「それに防御結界が守ってるし、カーティスさんもいてくれるから安心して出掛けられるにゃん」

「マコトは何処かに行くのか?」

「にゃあ、二~三日したら州都に行ってその後にケラスに向かうにゃん」

「ケラスか、隣の州とは言え随分と遠いな」

「にゃあ、それでもたまに戻って来るにゃん、急ぎの用事がある時は、そこら辺にいる猫耳かノーラさんに伝言を頼んでくれればいいにゃん」

「わかった、仕事はできるだけ上手く進めよう」

「にゃあ、出荷量は冒険者ギルドと調整して欲しいにゃん」

「マコト、こいつは冒険者たちに安く分けてやることはできないか?」

「そうにゃんね、でも転売したりするとオレも守りきれないにゃんよ」

「それもそうか」

「現状では値段と内容が伴ってないにゃん」

「確かに」

「果樹園の出荷が本格化すれば、バカみたいな値段も落ち着くと思うからそれまでは子ブタ亭の大浴場で我慢にゃん」

「子ブタ亭の大浴場?」

「にゃあ、持ち歩けないけど治癒効果はあっちの方が高いにゃん」

「それもマコトが作ったのなら間違いはないな」

「冒険者のケアは大切にゃん」

 子ブタ亭はそこそこ賑わっているようだ。


「ネコちゃん、こっちのおじちゃんだあれ?」

 猫耳のレクチャーが終わってメグが最初に駆け寄って来た。

「にゃあ、カーティスさんにゃん、果樹園の仕事を手伝ってくれるにゃん、Bランクの凄腕の冒険者だから、いろいろ教えて貰うといいにゃん」

「Bランク、すげえ!」

 冒険者志望のバーニーが嬉ションしそうな勢いで興奮する。

「カーティス・ベイリアルだ、おまえたちと同じく孤児院の出だ」

「孤児院から冒険者になってもBランクになれるんですか?」

 カラムが目を輝かせて質問する。

「そいつは本人の努力次第でどうにでもなるぞ」


 子供たちの質問タイムはしばらく続き、その後は寄宿学校と従業員寮に案内した。


 果樹園の従業員は街の住人を一〇人ほど雇うことをカーティスさんと決めた。主に元冒険者や冒険者の未亡人を雇うことになりそうだ。


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