戦艦型魔獣にゃん
「にゃあ、大丈夫にゃん?」
『ニャア』
オレの問いかけに猫耳戦車が最初に返事をした。
「にゃあ、ウチらも問題ないにゃん」
「「にゃあ」」
「あたしも大丈夫だよ」
防御結界がすべての衝撃を弾いたが、周囲に着弾して吹き飛んだ土砂で埋まってしまった。
ライトを点けると防御結界のドーム型の空間に猫耳戦車が収まっている。
「至近距離から連続で砲撃を食らうと埋まるにゃんね、新たな発見にゃん」
撃ち出された砲弾はニョキニョキ動き出す前にすべて頂戴した。
「にゃあ、追加の攻撃は無いみたいにゃん」
「埋まったままだと戦艦は反応しないみたいにゃんね」
「そうみたいにゃん」
目の前の土砂を魔法で擬似的に透明化する。戦艦型の魔獣は埋まった状態の猫耳戦車には興味を失ったらしく、また気ままな回遊を再開していた。
「近付いて来る魔獣以外を自動的に砲撃する習性っぽいにゃん」
「にゃあ、魔獣には砲撃してなかったから、そんな感じにゃんね」
「いずれにしろ動かないモノに攻撃しないのは幸いにゃん」
オレたちは土砂に埋まったまま戦艦みたいな魔獣の様子を伺う。
何故かクレーターの中は魔法の通りが悪く探査魔法も重ね掛けで打ってやっと戦艦型魔獣に到達した。あちらは動くもの以外には無頓着なようで探査魔法にも反応しない。
「にゃあ、戦艦そのものも生きてる黒い金属にゃんね、濃いマナの中にいるから活きがいいにゃん」
クレーターの中は濃厚なマナ溜まりになっている。元のディオニシスがいた地底湖ほどではないが、人間どころか耐性のある特異種でさえも即死レベルだ。
「お館様、あの戦艦は魔獣の集合体みたいにゃん」
「にゃあ、魔獣の集合体にゃん?」
オレは逆探上等で出力を上げて探査魔法をもう一度打った。
「そうにゃんね、ざっと一〇〇〇以上のエーテル機関の反応があるにゃん」
間違いなく戦艦型魔獣は図書館情報体の知識にあった魔獣の集合体だ。
複数の魔獣が集まって超巨大な魔獣を作り上げている集合体は単に大きな魔獣と違って戦闘力が高いのが特徴だ。
クレーターにいる戦艦型も例に漏れずだ。砲台がいっぱい付いてるし。エーテル機関が多いので簡単に分解できない。
「にゃあ、ひとまず攻略法を考えるにゃん、それとお昼ごはんにゃん」
「賛成!」
真っ先にリーリが手を挙げた。
「「「にゃあ♪」」」
猫耳戦車に増設した拡張空間のおかげで座席の後ろのドアを開けるとロッジと同等のリビングが現れた。
オレたちはお昼ごはんのカツカレーを食べながら作戦を練る。
「砲弾に入ってる魔獣は、捕まえたんじゃなくてエーテル機関を高濃度のマナに晒して増やしてるっぽいにゃんね」
贅沢と言うか猟奇的と言うか。人間だったら赤ちゃんを砲弾に詰め込んでぶっ放しているようなモノだ。
「戦艦自体そこそこ速いから飛翔系の魔法を使ってるにゃんね」
「ただ高度が低いにゃんね、一〇メートルぐらいしか浮いてないにゃん」
「全長二〇〇メートルってとこにゃんね」
猫耳たちが戦艦を観測した。
「かなり大きいにゃん」
地球でもかなり大きい部類に入る戦艦だ。
「しかも、生きてる金属の塊にゃん、めちゃくちゃ頑丈にゃん」
予想するまでもない。
「にゃあ、普通にやりあったらオレたちでは勝てないにゃん、ヤツに勝つにはマナを抜くのがいちばん簡単だと思うにゃん」
「クレーターのマナを抜くにゃん?」
「にゃあ、そうにゃん、あれだけの巨体と一〇〇〇を超えるエーテル機関を維持するにはかなりのマナを消費してるはずにゃん、マナが途切れたら脆い魔獣の典型にゃん」
「どうやってクレーターのマナを抜くにゃん?」
「そこが問題にゃん、クレーターの中は探査魔法でさえ手こずるほど魔法の通りが悪いにゃん、遠隔で戦艦を結界で囲むのはまず無理にゃん」
「現実は厳しいにゃん」
「しかもクレーターの底から特濃のマナが大量に吹き出してるにゃん、あれをどうにかしないと濃度が下がらないにゃん」
「にゃあ、クレーターの地下に何が在るにゃん?」
「たぶん、稼働中の遺跡にゃん」
「もしかして生きてる地下遺跡にゃん?」
「そうにゃん、稼働中のマナ生成プラントだと思うにゃん」
「「「にゃ?」」」
マナ生成プラントは州都の図書館で仕入れた知識の中にもある。ハズレ遺跡の最たるものだ。
「あの、マナだけを作り出す施設にゃん?」
「そうにゃん」
「構造は『プリンキピウム魔獣開発局』の隔離エリアにあったマナ生成炉の原形に似ているにゃん、あれをもっと低コストにした造りになってるにゃん、その代わり堅牢で規模がかなり大きいにゃん」
壊れにくい上にデカい。しかも稼働したら魔獣の森に沈むこと間違いなしなので、再起動なんぞさせようものなら大惨事だ。
「魔力に変換する機能はないにゃん?」
「にゃあ、マナ生成プラントだったらこれっぽっちもないにゃん」
文字どおりマナを魔力に変換する機能を有してないマナを作り出すためだけの施設だ。魔獣の森を作る以外の使用方法が思い当たらない。
「プリンキピウム遺跡もこれだったらヤバいにゃんね」
「にゃあ、王宮もバカじゃないだろうから、そのぐらいのことは調べたはずにゃん」
「お館様、王宮のことは過信しない方がいいにゃんよ、辺境の領地がどうなろうと知ったことない連中にゃん」
「それにアルボラの領主様は国王派にも貴族派にも属さない中立派だから、いまいち王宮の受けが良くないにゃん」
「そうにゃん?」
「ただ怒らせると怖いから、表立っては両派とも手出ししないにゃん」
「あの温厚なカズキ様を怒らせたバカが居るにゃん?」
「にゃあ、とある法衣貴族が領主様にしつこく絡んだらしいにゃん、そうしたら翌朝、当主のベッドに血の滴るオオカミの特異種の首が放り込まれたそうにゃん」
「にゃあ、それ似たようなのを映画で見たにゃん」
「映画にゃん?」
「芝居の映像を見せる魔法みたいなものにゃん」
「にゃあ」
「間違いなくカズキ様の犯行にゃんね、その貴族はどうなったにゃん」
「直ぐに詫びを入れたそうにゃん、領主様は最後までとぼけていたらしいにゃん」
「にゃあ、領主様が温厚で良かったにゃんね、オレだったらベッドごと運び出して獣がいる森に置き去りにする寝起きドッキリぐらいはやるにゃんよ、もちろんそのまま放置にゃん」
「お館様じゃないとできない荒業にゃんね」
「オレは、おとなしい子猫ちゃんじゃないにゃん」
「お館様は、可愛い子猫ちゃんにゃん」
「「「にゃあ♪」」」
「ここで抱きついちゃダメにゃん!」
実際のところプリンキピウム遺跡がマナ生成プラントの可能性は低い。あそこがマナ生成プラントだったらカズキが許さないだろうし、王宮は要らぬ出費をして強敵を作り出すことになる。それ以前にオレが探査魔法で調べた限りマナ生成プラントの特徴は見付けられなかった。
かつてマナ生成プラントと知らずに発掘していた遺跡が運悪く息を吹き返した事故が州都の図書館に何件か記録に残っている。
盗賊筋の伝承ではマナ生成プラントはいい状態で発見されることが多いらしい。しかも防御結界が緩いのが特徴だ。
大した犠牲を払うこと無く遺跡の中に入ると綺麗なお姉さんが出迎えてくれる。ここで逃げ帰ればセーフ。大慌てで宮廷魔導師が派遣され封印の儀式が行われる。
お姉さんの誘いに乗ったらアウト。マナ生成プラントが再起動し、半径一〇〇キロ圏内は人の住めない高濃度のマナに汚染された土地になる。しかも運悪く魔獣の森が近く(一〇〇〇キロ圏内)にあったりすると魔獣が引っ越してくる。
先史文明の人間がなぜマナ生成プラントを作ったのかオレにも理由はわからない。図書館情報体にもなかった。
濃いマナなど作り出しても人間には害にこそなれ全く恩恵がない。これで恩恵を受けるのは魔獣ぐらいだ。
マナ生成プラントは堅牢で低コスト故にいまだ少なくない数が魔獣の森で稼働してるのではないかと推測されてる。オレたちもそのひとつを見付けたわけだ。
お昼ごはんの後は、クレーターの底に埋まってるマナ生成プラントに探査魔法を数回打ち込んだ。クレーターの地下にほぼ同じ大きさの構造物があった。
「とてつもなくデカいことだけはわかったにゃん、伝承や記録にもここまでデカいのは無かったにゃん」
「デカいのを引き当てるのはお館様の才能にゃん」
「「にゃあ」」
「これを止めるのは、格納するのがいちばん簡単にゃんね」
「あの大きさを簡単と言い切るお館様にシビレるにゃん」
「「にゃあ」」
「でも、この魔法の通りの悪さでは実際にプラントに触れないと無理にゃんね」
高濃度のマナは魔法のコントロールを危うくさせる。効果を阻害されたり、逆に爆発的反応を引き起こしたりする。
今回は魔法のほとんどが無効化されていた。
「どうも、この通りの悪さは不自然すぎるにゃん」
「マナ以外に結界とか何か仕込んであると違うにゃん?」
「にゃあ、それはオレも考えたにゃん、でも、この辺りのマナを解析してみたけど何も見付からないにゃん、結界も無いにゃん」
「ないね」
リーリも同意する。
『お館様、これはマナそのものに細工がしてあるにゃん、一種の防御結界みたいなものにゃん』
饒舌な猫耳ゴーレムことギーゼルベルトが教えてくれた。
「にゃ、マナを細工にゃん?」
『にゃあ、魔法式の実行を阻害する構造になってると予想されるにゃん、フィーニエンスで発掘された遺跡で確認されてるにゃん』
ギーゼルベルトがフィーニエンスの宮廷魔導師時代の記憶だ。
「マナの構造って分子構造みたいなものにゃん?」
『そうにゃん、構造が違うにゃん』
オレと思考共有してるから猫耳たちも分子や原子の知識がある。
「にゃあ、この場合どうするのがいいにゃん? マナを組み替えるにゃん?」
『マナを解析して組成を組み替えるのに時間が掛かるにゃん、それに組み替えてもマナ生成プラントが稼働を続けるからいつまでたってもその周辺は魔法が通らないにゃん』
「莫大な量のマナが生成されてるからクレーターの底にいる戦艦もプラントもオレたちの魔法は届かないままにゃんね」
『現状ではその可能性が高いにゃん』
「了解にゃん、もっと手っ取り早く戦艦とプラントを黙らせる策を考えるにゃん」
マナ生成プラントを潰せば、マナの入れ替えで片がつくが、そこにたどり着くまで戦艦が砲弾を雨あられと降らせてくるだろう。出来ればそれは避けたい。
「先に戦艦を止めるにゃん」
「にゃあ、わかったにゃん、戦車で突っ込むにゃんね!」
「「にゃあ!」」
『ニャア!』
猫耳たちと猫耳戦車が声を上げた。
「にゃあ、待つにゃん!」
走り出そうとした猫耳戦車にストップを掛けた。
「まずオレが直接戦艦に取り付いてマナを根こそぎ抜いて停止させるにゃん」
「反対にゃん! お館様ひとりでは危険にゃん、ウチらも行くにゃん!」
「おまえらはマナの生成プラントを頼むにゃん」
「ウチらはプラント担当にゃん?」
「そうにゃん、デカいから簡単ではないにゃんよ」
「にゃあ、仕組みは単純だから取り付けばなんとかするにゃん」
「頼むにゃん、戦艦がおとなしくなったらお前らの出番にゃん」
「「「了解にゃん」」」
「お館様、本当にこの方法で戦艦まで飛ぶにゃん?」
ムギが心配そうにオレを見る。
「にゃあ、これがいちばん手っ取り早いにゃん」
提案した計画は、戦車の主砲を改造してオレ自身を戦艦に向けて撃ち出す。いわゆる人間大砲だ。
「お館様、危ないにゃんよ」
リンは呆れ顔。
「お館様、頭大丈夫にゃん?」
モカは何気に酷い。
『ニャア』
戦車にまで心配された。
「にゃあ、いきなり空から落とされるよりは難易度は低いにゃん」
「アレと比べたら何でも低くなりそうにゃん」
ムギは肩をすくめる。
「そうだね」
オレが空から落ちてきたことは猫耳たちも知ってる。思考共有してるわけだからあの時の切羽詰まった感じも伝わっていた。
リーリは見ていた。
「心配無用にゃん」
「にゃあ、お館様、人間大砲ウチらもやってみたいにゃん」
リンがおねだりする。
「「にゃあ♪」」
猫耳たちの興味はそっちに移っていた。
「戦艦の動きが止まったら、おまえらはマナ生成プラントの上に飛んでいいにゃんよ」
「「「にゃあ、了解にゃん!」」」
計画の実行が決まった。
猫耳戦車の主砲を埋めている土砂を慎重に分解し空洞を大きくした。
『ニャア』
それから主砲をムクムクと太くする。拡張空間の魔法を併用してるので不格好なほどは太くない。ライフリングは無しで内側はツルツルになってる。
「にゃあ、行って来るにゃん!」
「「「お館様、ご武運をにゃん!」」」
ビシっと敬礼した。
オレが主砲に装填されると猫耳戦車が回遊中の戦艦に照準を合わせた。
『ニャア』
オレが正面の土砂をくり抜いて分解するとその先に黒い戦艦型魔獣が見て取れた。
「ヤツが気付く前に出るにゃん!」
「「「にゃあ!」」」
使うのは風魔法だ。
「発射にゃん!」
オレは自分自身を撃ち出した。
「おおおお!」
リーリがオレの胸元から顔を出す。
回遊する戦艦に向けて風をコントロールする。
濃厚なマナを切り裂いてコンマ数秒でペタンと戦艦の土手っ腹に張り付いた。
防御結界のクッションは完璧だ。
「リーリは大丈夫にゃん?」
「面白かったよ!」
「にゃあ、それじゃ一気に行くにゃん」
直に接触した戦艦の中のマナを吸い出す。思った通り直に触れてれば改造マナに魔法が邪魔されることはない。
「戦艦をオレの結界でコーティングしてどんどん吸うにゃん」
結界で戦艦を周囲のマナから隔離した。
これで外からマナの吸収ができなくなる。
「にゃ?」
直ぐ横に回転銃座が飛び出して銃口がオレたちに向けられた。
「にゃ!?」
機関銃の様に弾丸が撃ち込まれた。
オレはマナを吸い上げつつ垂直と言うかオーバーハング気味の戦艦の側面を走って逃げ回る。
「にゃお、危ないにゃん!」
防御結界で全部弾けるかどうか確信を持てない。
確信が持てない以上は試すのも危険なので激しく跳弾の火花が飛び交う中を走り回らなくてはならない。
「にゃ?」
銃座がポコポコっとオレを囲む様に現れた。
「にゃあああああ!」
オレ自身を加速して当たりそうな弾丸を分解したり避けたり。幸い近距離ならば効果は落ちるが魔法は効いた。
ガクンと船体が大きく揺れる。
見た目通りメチャクチャ燃費が悪いこいつは、マナから隔離されただけでもかなりのダメージのようだ。
補給を絶たれた上に戦艦内のマナはオレが吸い上げたことも手伝って動きが鈍くなる。
回転銃座が沈黙した。
『お館様! ウチらも出撃するにゃん!』
『『『にゃあ!』』』
猫耳たちが次々と人間大砲から撃ち出され、クレーターの底に降り立った。
『分解にゃん!』
『『『にゃあ!』』』
クレーターの底のマナの吹き出し口周辺の土砂を消し去った。大量にマナを吐き出してるが目には見えず風のように風圧を感じることもない。
「にゃあ! 何か出たにゃん!」
直径五〇センチはあろうかという紫色のぶっといホースみたいなモノがクレーターの底の地面から天に向かって突き出された。
しかも一本じゃない一〇〇は軽く超えてる。それがウネウネしていた。
「にゃ、何にゃん!?」
「魔獣だね」
リーリが答えた。
「魔獣にゃん? いまのいままでそんな反応、無かったにゃんよ」
『お館様、マナ生成プラントにゃん!』
『マナ生成プラントが魔獣だったにゃん!』
「マジにゃん!?」
『にゃあ、攻撃してきたにゃん!』
ウネウネ動いていたぶっといホース系のものが猫耳たちとオレにも襲いかかった。
『『『にゃあ!』』』
猫耳たちもオレも電撃で跳ね返した。
めちゃくちゃぶっとくて長い紫色のそれは触手らしい。見た目はツルンとしてるがその実、表面は粗いヤスリ状になっていて触れたらそれだけでかなりのダメージを喰らう。しかも毒付きだ。
オレたちを攻撃しつつ触手は戦艦に取り付く。
「こいつ、戦艦にマナを補給するつもりにゃん!」
「断固阻止だよ!」
「にゃあ、わかってるにゃん」
戦艦型魔獣の表面をコーティングしてる隔離結界を強化して直にマナを送り込もうとする触手の接触を防ぐ。
『『『にゃあ!』』』
猫耳たちがガトリングガンで触手を破壊する。撃ち出される弾丸は黒い生きてる金属。これにプラント停止用の魔法式が練り込んである。
物質を物理的に撃ち出す攻撃は魔法では無いので改造マナでは無効化できない。ぶっとい触手を穴だらけにして次々と切り倒した。
猫耳たちが土砂をさらってむき出しにしたマナを吹き出し口は、有機的な材質でできた直径三〇〇メートルほどの円形で縁に鋭い牙がびっしりと並んでる。
『ニャア!』
そこには猫耳戦車の主砲を連続して撃ち込んだ。牙はあっても無防備な口の中に砲弾が吸い込まれる。
自衛用の触手を刈り取られたマナ生成プラントは巨大な身体をよじる。
しかし動けたのはそこまでで、猫耳たちと戦車から撃ち込まれたプラント停止の魔法式が巨体に浸透し、マナの生成が止まった。
「あっちもいい感じにゃんね」
マナ生成プラントの魔獣が沈黙した。
「こっちもいい感じだよ」
マナを失い次々と戦艦を構成するエーテル機関が沈黙し巨体が沈み始めた。
「そうにゃんね、こっちは仕上げにゃん」
戦艦型魔獣の内部に電撃を放ち一〇〇〇を超えるエーテル機関を破壊した。ギギギと金属がこすれ合う音が響く。
「にゃあ、魔獣の結合が解けるにゃんね」
エーテル機関をすべて破壊され、いまはただの生きてる金属の集まりだ。形を崩しながら地面に落ちる。
「にゃあ!」
戦艦の魔獣の躯を分解して格納空間に送った。
『お館様、こっちも分解完了にゃん!』
マナ生成プラントは猫耳たちによって綺麗に分解され、クレーターの底に口を開ける巨大地下空間が出現した。
改造マナは回収してクレーターの中はマナゼロの空間にする。改造マナは今後の研究課題のひとつだ。
「にゃあ! ここに研究拠点を置くにゃん!」
「「「にゃあ!」」」
『ニャア!』
オレの宣言に猫耳と猫耳戦車が声を上げた。




