魔獣の森の夜にゃん
○魔獣の森 魔獣の道 改
地上部は城壁しかない初めての魔獣の森の拠点を出て猫耳戦車を出発させた。今日はまだ先に進むにゃん。
『ニャア』
ここから先は魔獣の森のマナを消費させるために太古の道を模した道路を敷設しながら進む。こっちは防御結界&物理障壁付きなのでオリジナルよりもマナの消費はずっと激しい。
「にゃあ、お館様、道路から魔獣たちが離れて行くにゃん」
新たに助手席に座ったリンが報告してくれる。
「この手法が何処まで通じるかわからないから慎重に行くのは変わらないにゃんよ」
「にゃあ、了解にゃん」
「お館様、ウナギのエーテル機関の解析、終わったにゃん?」
ムギがまた後ろから身を乗り出す。
「にゃあ」
「ウチらが何で気付かれたかわかったにゃんね」
モカも乗り出す。
「オレたちの予想が外れてたにゃん」
「にゃあ、予想にゃん、探知結界じゃないにゃん?」
リンも興味津々だ。
「違うにゃん、ウナギは目が良かったんにゃん、認識阻害の結界は見えていたことでレジストされていたにゃん」
「それは対策が厄介そうにゃんね」
「黄金蟹もそうにゃん?」
「そっちも同じにゃん、同じ系統の目を持ってるにゃん」
材質は全然違うけどな。
「にゃあ、そうなると物理的に見えなくなる以外は対策がなさそうにゃん」
「そうなるにゃんね」
「にゃあ、ハードルがどんどん高くなるにゃん」
「そこは仕方が無いにゃん、光学迷彩を研究する必要が有るにゃん」
「「「にゃあ」」」
猫耳たちが盛り上がる。
黄金蟹を退治した魔獣の森第一拠点から三時間、南に進んだ場所を今日の野営地に決定した。
○魔獣の森 魔獣の森第二拠点
作りたての道路の横にマナをガッツリと消費する猫ピラミッドを築く。
生きてる金属を贅沢に使ったので銀色だ。
それを物理障壁で幾重にも囲む。
魔獣の森第一拠点から一〇〇キロちょっとのここを魔獣の森第二拠点とした。
拠点機能は全て地下に埋設し、地上部は拠点防衛と周囲を探索する為に使われる。
魔法蟻も大量再生してこちらからも地下トンネルの設営に当たらせた。
「皆んな、頑張るにゃんよ!」
『『『……』』』
蟻たちは口をカチカチさせながら一斉に右前脚を上げた。
「にゃあ、拠点の結界の向こう側は霧が出始めたにゃんね」
地上部の最上階から夜の魔獣の森を観察する。
「あの霧が自体がマナそのものって言っていい濃度にゃん」
プリンキピウム巨木群の霧をもっと濃くしたモノだ。人間なんて連れて行かれる間もなく即死だ。
「やっぱりそうにゃんね」
ムギが頷く。
「にゃ? お館様、魔獣の反応が急に増えたにゃんよ」
リンが報告する。
「こっちに来るヤツはいるにゃん?」
「いまのところ逃げるのは居ても、こっちに来るのは居ないにゃん、にゃ、ちょっと待って欲しいにゃん」
「にゃ、お館様、拠点正面に魔獣の反応にゃん! 突然現れたにゃん!」
「姿は見えないけど反応は有るにゃんね」
「まったく見えないって、また新しい認識阻害にゃん?」
モカがガラスに張り付いた。
魔獣の反応は猫ピラミッドの正面だ。今回のは探査魔法に反応があるのに肉眼ではまったくとらえられない。
防御結界と反応してスパークしてる。
「見えないけど居るにゃんね」
「にゃあ、正にそんな感じにゃん」
「お館様が研究を指示した光学迷彩と違うにゃん?」
「いまの段階では何とも言えないにゃん、それ以前に見えなくても防御結界にブチかましたら意味が無いと思うにゃん」
「「「にゃあ」」」
猫耳たちも同意する。
「にゃ、出たにゃん!」
突然、姿が現れたのは蛇型の魔獣だ。頭がカリフラワーみたいで目玉がいっぱい付いている。
「かなり弱ってるにゃんね」
蛇の魔獣はマナがない空間だからか早くも動けなくなっていた。
「回収にゃん」
猫ピラミッドのレーザーが魔獣のエーテル機関を撃ち抜き躯を回収した。
「直ぐに調べるにゃん」
オレの拡張空間の中で破壊したエーテル機関を再生して分析する。
からくりは直ぐにわかった。
「にゃあ、マナ変換炉と同じにゃん」
「数センチ四方の空間を拡張して中に入っていただけにゃん、そこから外に出ようとして拠点の防御結界に引っ掛かったにゃん」
「光学迷彩でもないただの空間拡張魔法にゃん?」
「にゃあ、でも、オレたちの魔法よりも効率が恐ろしくいいにゃんね」
「応用すると戦車の中をもっと広くできるにゃん?」
「にゃあ、できるにゃん、魔力をほとんど使わずにロッジと同じ空間も作れるにゃん」
「ところで、何で魔獣はわざわざそんな場所に隠れてるにゃん?」
「夜の方がマナが濃くなるからみたいにゃんね、定期的に拡張空間で休まないと行動できないぐらい普段はマナをバカ食いする仕様みたいにゃん」
「昼間、小さくなってるなら簡単に狩れると違うにゃん?」
「にゃあ、全部とは言えないけど、それなりには退治できそうにゃんね」
「お館様、路上に何体か魔獣が動けなくなってるみたいにゃん」
昼間作った太古の道を模した道路のマナゼロの領域にも縮小された空間に隠れていた魔獣がいた様だ。
「にゃあ、そっちは街灯のレーザーでトドメを刺して回収にゃん」
「「「にゃあ!」」」
路上でへばっていた全部で六体ほどの魔獣を回収した。
○帝国暦 二七三〇年〇九月〇五日
○魔獣の森 魔獣の道 改
翌日、拠点を出たオレたちは、まず小さな空間に隠れてるであろう魔獣を探索する。
探査魔法を打つと半径五キロ圏内に二〇匹の反応が有った。
全部をマーキングしてその周囲のマナを抜き一斉に電撃を放った。
半分以上が動き出す前にエーテル機関を破壊された。
「にゃあ、お館様、最初の電撃で十四匹の回収に成功にゃん」
「目を覚ました残り六匹には杭を撃ち込むにゃん」
「「「にゃあ!」」」
動き出した魔獣もマナを取り込めず這いずるのがやっとの様だ。やはり昼間隠れてる魔獣は濃いマナがないとまともに動けないタイプらしい。
ノロノロと動いてるところに飛来した巨大な杭が突き刺さりエーテル機関を砕かれる。
残り六匹も難なく回収に成功した。
「眠ってる魔獣はいいカモにゃんね」
「にゃあ、たまたま強いのに当たってないだけかも知れないにゃん」
「それでも夜に襲われるよりはマシにゃん」
「それは言えるにゃんね」
オレたちは改めて出発した。
ここからは五キロごとに猫耳戦車を停めて隠れてる魔獣を狩りながら進んだ。
「この辺りの魔獣は、マナが無くなるとさっぱりにゃんね」
ムギが助手席に座っている。
「にゃあ、だからって油断禁物にゃんよ」
一箇所に付き二〇匹前後の魔獣を回収した。
「本当に魔獣は個体差が激しいにゃんね、使える魔法も千差万別にゃん」
「にゃあ、鎧蛇もバリエーションが多過ぎるにゃん」
「魔法を整理するだけで、かなりの時間が掛かるにゃんね」
猫耳たちは格納空間の魔獣たちを眺めて語り合う。
「まだまだ増えるから、夜になったらじっくり整理するにゃん」
「「「にゃ!?」」」
全員が同時に異変に気付いた。
「にゃあ、空を何か飛んでくるにゃん!」
砲弾状の物体がこちらに飛んで来る。方角はオレたちの進行方向、南からだ。
飛翔体の大きさは蟹ドリルぐらいはある。
「迎撃にゃん!」
「「「にゃあ!」」」
猫耳戦車の主砲を連射した。オレも分解を試みたが効かなかった。
「にゃあ! 主砲が当たってるのに壊れないにゃん!」
それでも少しだけ軌道を逸らすことに成功した。
砲弾らしき物体は甲高い風切音と共に戦車の西側二〇〇メートルの距離に着弾し土塊を巻き上げる。
道路の結界が津波のように襲い掛かる土砂を全部弾いた。
遅れて発射音と思しき轟音が南の方向から届いた。
「お館様、続けて何発も来るにゃんよ!」
「にゃあ! 片っ端から迎撃にゃん!」
「「「にゃあ!」」」
続けて猫耳戦車の主砲を撃ちまくる。
『ニャア!』
猫耳戦車だからできる荒業だ。
全弾の軌道を逸らすことに成功し、全て道路の両側に落としてやった。
「にゃあ、発射地点もわかったにゃん」
砲弾は遥か南方から撃ち出されてる。
「にゃあ、あんなところから狙ってるにゃん?」
地平線の向こう側だ。
「にゃお、場所さえわかればこっちのモノにゃん! 反撃にゃん!」
「「「にゃああああ!」」」
全員で電撃を放った。
稲妻が砲弾の発射地点を襲う。
「手応えは微妙にゃん」
「そうにゃんね」
「当たってはいるにゃん」
「お館様、それより森に落とした砲弾が動き出したにゃん」
木々と土砂の間で黒いのが動いてるのが見えた。
「にゃあ、戦車を前に出すにゃん」
道路と障壁の建設とマナゼロを維持しながら猫耳戦車を微速前進させる。
「こっちに来るにゃんね」
砲弾の狙いは首尾一貫オレたちらしい。
「にゃあ、砲弾そのまんまの形をしてるにゃん」
「砲弾に細い手足が生えてるだけとか、もうちょっとどうにかならなかったのかと言いたいにゃん」
「手抜きにゃん」
手抜きかどうかは不明だが恐ろしく頑丈で物理的な攻撃ではキズひとつツケられなかった。
「戦車を停めて引き寄せるにゃん」
全部で四体の手足の生えた砲弾が戦車に迫る。
「にゃあ、お館様、あれって分解できないから魔獣にゃん?」
「それで間違いないと思うにゃん」
「マナゼロでも動いてるにゃん」
機敏とは言えないが、もともと動きに配慮された身体とも思えない。
「砲弾の中にマナが備蓄されてるにゃん、にゃあ、量は僅かだから間もなく止まるにゃんよ」
オレの言葉どおり四体の砲弾型魔獣は停止した。
「にゃあ、幸い魔獣の森の外に出てる魔獣みたいな凝った作りをしてなかったのは助かったにゃん」
「あの頑丈さで追い掛け回されたら悪夢にゃん」
「にゃふ~、まったくにゃん」
猫耳たちは安堵する。
また動き出されると困るので砲弾型魔獣からエーテル機関を回収する。
「後は分解して調べるにゃん」
エーテル機関を剥がされた後は簡単に分解できた。
「にゃあ、これは魔獣と言うよりゴーレムに近いにゃん」
「黄金のGとは違うにゃん?」
「どうもこれはゴーレムの中に魔獣を押し込めてるっぽいにゃんね」
「「「にゃ!?」」」
『お館様、それっていったいどういうことにゃん!?』
ギーゼルベルトからも念話が飛んで来た。
「にゃあ、そのままにゃん、砲弾ゴーレムに拡張空間を作ってそこに余計な部分を切り落とした魔獣が突っ込んであるにゃん」
『エーテル機関ではなく魔獣から魔力を取り出していたにゃん!?』
ギーゼルベルトの興奮収まらず。
「エーテル機関を直に繋ぐより魔獣を押し込んだ方が簡単にゃん」
魔獣を捕まえて大きさを揃えたりする手間は掛かるけどな。
「中に魔獣がいるから分解出来なかったにゃんね」
「そういうことにゃん、魔獣を押し込めて魔力を供給させてたにゃんね、それと砲弾の材質も生きてる金属にゃんね」
「「「にゃ!?」」」
「生きてる金属にゃん!?」
ギーゼルベルトは更に興奮する。
「ただ、硬さに特化してるので動きそのものはオレたちの生きてる金属が上にゃん」
「だったら、動かないモノには使えそうにゃんね」
「にゃあ、後で研究にゃん」
「お館様、また砲弾がこっちに来るにゃん!」
砲撃がまた再開された。
「やっぱり電撃が効いて無かったにゃん」
「にゃあ、今度は空中で止めるにゃんよ」
オレがこの世界に落ちて来た時に使った風魔法だ。
「「「にゃあ!」」」
飛来する砲弾を次々と空気の網で絡め取った。
「にゃあ、捕まえたらマナを抜いて回収にゃん」
「「「にゃあ!」」」
今度は変形する暇も与えず手際よく生け捕りにして、砲弾から直にマナを抜いてエーテル機関を回収し分解する。
砲撃の音が遅れて届く。
今回は一〇発で砲撃が途切れた。
「少し速度を上げるにゃん、おまえらは発射地点に遠慮なしで電撃をくれてやるといいにゃん」
「了解にゃん!」
パステルピンクの猫耳戦車が速度を上げる。
『ニャオ~ン!』
速度を上げても道を舗装するのは忘れない。周辺のマナをゴリゴリ削りながら突っ走る。濃いマナがないと生きていけない魔獣たちは、ほうほうの体で逃げて行く。主砲をぶっ放すぐらいの嫌がらせも忘れない。
巨木ごと魔獣を吹き飛ばして回収した。放置したらあっという間に最後っ屁の濃いマナを垂れ流した挙句、ちっちゃい(人間よりデカいけどな)のが出てくる。それを放置したら魔獣の数が減らない。
「にゃあ、ウチらもやるにゃん!」
「電撃を御見舞にゃん!」
「いっぱいぶっ放すにゃん!」
「「「にゃあ!」」」
猫耳たちが出力を上げて砲弾の発射地点があると予想されてる辺りに電撃を撃ち込む。
自然界ではお目に掛かれない太さの稲妻が発射地点に連発で落ちてるはずだ。
「どうにゃん?」
「にゃあ、やっぱり手応えはいまいちにゃん」
「嫌がらせぐらいになってればいいにゃん」
「続けるにゃん」
「「「にゃあ!」」」
連続して電撃を打ち込む。その間も猫耳戦車は突っ走る。かなり距離が有るので一気に近付くのは無理だが確実に詰めて行く。
お互いが砲撃と電撃で嫌がらせを繰り返しながらオレたちは砲弾の発射地点に迫った。
「にゃあ、マナの上昇が半端ないにゃん」
巨木の森の先に幅二〇キロ以上はありそうな赤茶けた台地が見えた。
発射地点はその台地の向こうだ。
魔獣の作った道は赤茶けた大地を迂回するように大きくカーブしていた。
○魔獣の森 舗装道路
「にゃあ、ここからはオレたちが道を作るにゃん!」
主砲を正面にぶっ放して巨木を粉砕する。砕いた巨木も回収して材木に作り直して大公国に持って行ってる。
あちらは結界のせいで森に入れないので材木が万年不足しているのだ。建物は例の砂で作る日干し煉瓦が主流だが屋根は木材が便利だし、煉瓦の家具は厳しい。ネコミミマコトの宅配便の人気商品になってる。
最近はその材木を利用してハウスメーカーも始めたらしい。統一規格の2×4工法は画期的と評価されてる。
更に住宅ローンをマコト銀行が担当している。お家賃感覚でお家が持てるがキャッチコピーだ。
何でこっちに2×4工法があるのかと言えば、妹の旦那の博くんが工務店を経営しており、たまに手伝いもしてたからオレもそこそこわかるからだ。
当然、思考共有してる猫耳たちも知ってるので、あちらに遊びに行ったついでに技術を伝えたらしい。
基礎を砂の煉瓦の工法で作りそこに2×4工法の家を載せる。材料から家の間取りも統一されてるので安価に提供できるし工期も短い。間違いなく大ヒットするだろうとのことだった。
そんなわけで、魔獣の森の巨木を回収しながら大地に近付く。砲撃と電撃はいずれも激しさを増す。
砲弾は残らず回収され格納空間に黒光りする超硬い生きてる金属が積み増された。そのついでに猫耳戦車の砲弾を黒い生きてる金属のドリル付きに作り替えて射程圏内の魔獣をすべて血祭りに上げる。
どんなに硬い殻や防御結界であってもドリルが容易く突き破ってエーテル機関を破壊した。
○魔獣の森 台地 舗装道路
「にゃあ、このまま一気に行くにゃん!」
大量の木材と魔獣の素材そして生きてる金属の弾丸を大量に確保し、遂に森を抜ける。そこは赤茶けた大地と壁のような崖が視界のすべてだ。
『ニャ~ン!』
斜度六〇度は有りそうな崖を猫耳戦車が昇る。無限軌道は魔法の力でしっかりグリップ。その辺りの魔獣なんかよりもずっと強力な魔法を使いこなす。
「お館様、この先はマナが特濃にゃん、ねっとりレベルにゃん」
「にゃあ、ただの台地じゃなさそうにゃんね」
登り始めてわかったが、台地では無く凹の字状に真ん中が凹んでるようだ。カルデラの外輪山とかクレーターっぽい地形だ。
その凹んだ部分に特濃マナが溜まり砲台が動き回っている。そうなのだ、オレたちを狙ってしつこく砲撃を加える砲台は動いていた。
「姿形はわからないけどかなりデカいにゃん」
認識阻害の結界がその姿を隠していた。いまは陽炎の様に空間の一部が不自然に揺らいでるように感じるだけだ。正体を確認するには肉眼で見るしか無い。
「蛇ではなさそうにゃんね」
「地面から浮いてるからムカデかもしれないにゃん」
「美味しいのがいいよね」
リーリはペースを崩さない。
「お魚系の可能性はあるにゃんね」
「「「お魚!」」」
猫耳たちも食いついた。魚系は猫耳たちの大好物だった。ウナギも大好評だったし鮭のおにぎりは夜食の定番メニューとなっていた。それにフィッシュバーガーやフィッシュ&チップスも人気が高い。
そして禁断の美味、猫缶を開発中だったりする。リーリに襲撃されて根こそぎ試食されてしまってるのでまだ完成に至ってないが。
「この先にいるのがでっかいお魚なら猫缶の材料に相応しいにゃん」
「「「にゃあ♪」」」
「それは楽しみだね」
頭に乗ったリーリがお尻を振ってる。
間もなく崖を登りきる。高度限界を超えた四〇〇メートル超だ。崖の上空はセーフだがちょっと外れるとレーザーの餌食になる。
猫耳戦車は凹地の外縁部、その頂上に上がった。どでかいクレーターを見下ろす。直径二〇キロ深さ一〇〇〇メートルぐらいある。
○魔獣の森 巨大クレーター
「「「にゃ!?」」」
認識阻害の結界の効果をキャンセルし魔獣を目にした瞬間、オレと猫耳たちはそろって声を上げた。
「あれは食べられないね」
リーリの言葉どおり巨大な凹地の底の辺りに浮いてるのは、魚ではなく船だった。それもでっかい戦艦。紛れもなく戦艦だ。真っ黒な戦艦がクレーターの中を回遊していた。
「にゃあ、あれが魔獣とは驚きにゃん」
「驚愕にゃん」
「お館様、戦艦の主砲が全部こっちを向いてるにゃん!」
「にゃ!? 後退にゃん!」
『ニャア!』
猫耳戦車を後退させた途端、目の前の土砂が吹き飛んだ。
「「「にゃー!」」」
爆音と同時に視界は真っ暗になった。




