遺跡を調査にゃん
○帝国暦 二七三〇年〇九月〇二日
○プリンキピウムの森 南エリア(危険地帯) プリンキピウムの森第二拠点
昨日、臨時に造った猫ピラミッドをプリンキピウムの森第二拠点として整備することになった。
「にゃあ♪」
朝ジャグジーで身体をほぐす。
「遺跡の大きさがヤバいにゃん」
ここからの眺めはまるで高層ビルだ。かつてはあんなのがあちこちににょきにょき生えていたのだろうか?
この辺りに関しては、昨日の内に調べたが周囲に他の遺跡は発見されなかった。完全に独立した施設だったみたいだ。
本当に『プリンキピウム魔獣開発局』なら、あの中で完結していてもおかしくはない。
「どんなレストランがあるか楽しみだね」
リーリの関心のすべてはそっちだ。
「にゃあ、そうにゃんね、実際に人が生活していた遺跡は初めてだから何があるか楽しみにゃん」
大公国のプロトポロスが近いが、あれは純粋なオリエーンス連邦時代の遺跡ではないし、この前、見付けた地下都市っぽいシェルターに至っては未完もいいところだったので、いまいち本物には届いていない。
図書館情報体からすると、こっちより前世の日本に近い生活水準なのはわかってる。ただ実際の生活の様子はまったく伝わって来ない。
まさかのディストピア?
無い可能性ではないが、それにしてはごはんのレシピが充実してるのでそこまで極端ではないはずだ。
それに人間を無理やり働かせるよりオリエーンス連邦の技術レベルならゴーレムを使った方がはるかに効率が良い。
そこまで高度な文明を築いていても滅んでしまった。何が原因なのかわからないが魔獣が幅を利かせていることを考えるとまったくの無関係ではないだろう。
各拠点から集まった一三〇人の猫耳と猫耳ゴーレムの身体を持つギーゼルベルトが一緒に仮称『プリンキピウム魔獣開発局』遺跡に入ることになってる。
猫耳ゴーレム二〇〇体が遺跡の周囲を警戒する。
おチビたちは、万が一に備えてプリンキピウムの寄宿学校に帰した。昨日はしゃぎすぎて今朝は起きられなかったので、眠ったまま運ばれて行った。
○プリンキピウムの森 プリンキピウム魔獣開発局
「にゃあ、これより遺跡に入るにゃん、内部はまだ再生が完璧じゃないので十分に気を付けるにゃん」
「「「にゃあ!」」」
全員、魔法蟻に乗って垂直の壁を登り、屋上の入口を目指す。
魔法蟻は滑る様に軽やかに登って行く。
「にゃあ、何もないにゃんね」
「ないね」
屋上も壁と同じ大理石の様な材質で出来ていた。だだっ広く転落防止の柵すらない。
「入口はこっちにゃん」
屋上のほぼ中央に人ひとりがやっと通り抜けられる幅の狭い階段が口を開けていた。
明かりが点いていて五メートルほど下に踊り場が見えている。
「随分と狭い入口にゃんね」
「にゃあ、これも普段は閉じた状態で滅多に開けないにゃん、行くにゃん」
「待つにゃん、お館様が先頭では危ないにゃん」
「ウチが先頭を切るにゃん」
「にゃあ、ウチが先に行くにゃん!」
猫耳たちが先頭を争って揉める。
「にゃあ、待つにゃん、遺跡の所有者に登録してあるオレが先頭にゃん、オレ自身がマスターキーみたいなものだから最も効率がいいにゃん」
猫耳たちが心配してくれるのはありがたいが、オレが先頭を切って階段を降りるのが最も安全だ。
階段を何度か折り返して降りきると一〇〇人程度は余裕のちょっとしたホールに出た。そこに非常口みたいな金属製の扉があった。
「オレが再生した地上部分は全部、居住区みたいにゃん」
○プリンキピウムの森 プリンキピウム魔獣開発局 居住区
扉を開けるとそこには街があった。
空間拡張の技術をふんだんに使って、ここに都市の一角が再現されていた。一階と二階が店舗で、その上が集合住宅になってる。
集合住宅は二LDKほどの部屋で統一されているが、店舗は様々だ。
店舗はゴーレムによって運営されている。
「にゃあ、こうなってたにゃんね」
内部の再生は遺跡任せだったので、オレも実物を見て初めて詳細を理解した。
「まるで、瞬間移動で州都に来たみたいにゃん」
「ちゃんと空があるにゃん」
「にゃあ、無駄に凝ってるにゃんね」
オレたちはぞろぞろと移動する。
「これなら閉じ込められてる感はないにゃんね」
「お館様、下のフロアも同じにゃん?」
「にゃあ、居住区はだいたい同じにゃん」
居住区はひとつの都市を切り取って重ねたような構造をしていた。
「居住区の調査はおいおい進めるとして、まずは地下の研究施設の調査をするにゃん」
「えっ、レストランや食堂の調査はしないの!?」
クレームを入れるリーリは、屋台で買い求めたドーナツみたいなお菓子を抱えていた。
「にゃあ、まだ再生の途中だから全部、完成してからのほうがいいにゃんよ」
「そうなの?」
「にゃあ、それに改造も必要にゃん、いまだと食材が限られるにゃん」
食料に関しては、農場的な機能を有してるが食料工場ほどのスペックはないことが再生した段階でわかってる。
「そうか、すぐに改造しようか?」
リーリがいい笑顔を見せる。
「にゃあ、調査が終わったらすぐに取り掛かるにゃん、リーリも協力してくれるにゃん?」
「うん、協力する、でもね、現状確認は必要だと思うの」
「にゃあ、レストランや食堂の調査にゃんね」
「そう、もしかしたらスゴく美味しいものがあるかもしれないし!」
「わかったにゃん、猫耳を三人付けるからリーリは居住地区のごはんを中心に調査して欲しいにゃん」
「了解!」
リーリは猫耳三人を連れてレストランに向けて飛んで行った。
ところどころエレベーターの乗口があった。まるで地下鉄の入口みたいに街の風景に溶け込んでいる。
「居住地区はリーリたちに任せて、オレたちは地下の区画に降りるにゃん、そこから居住区じゃないにゃん」
今回の調査の本命だ。そこが『プリンキピウム魔獣開発局』なのかどうかこれから見定める。
街角のエレベーター乗口に通じる階段を降りるとそこにはエレベーターがずらりと並んでいた。前世の高層ビルのエレベーターホールに似ている。
「にゃあ、オレたちがいくのはこのエレベーターとこれにゃんね」
いくつもあるエレベーターはそれぞれ行き先が決まっていた。
「まずは地下施設の入口に行くにゃん、そこのゲートを通らないと自由に活動できないにゃん」
「「「にゃあ」」」
セキュリティに煩いのはそれだけ重要施設な証拠だ。
「にゃあ、許可を貰わないと別の部署にも行けないのは不便にゃんね」
「研究する施設はそういうものにゃん」
「「「にゃあ、ウチらには無理にゃん」」」
「にゃあ、ここはオレたちの仲間以外入れないから、あまり意味のないセキュリティにゃんね、後で取っ払うから面倒なのは最初だけにゃん」
○プリンキピウムの森 プリンキピウム魔獣開発局 研究区画
三〇人は乗れるエレベーターに分乗して下りた先は、最初のホールの一〇倍は有りそうな大ホールだった。
白い床に灰色の壁。全面パネル照明の天井がすごく高い。
「ここも拡張空間にゃんね」
流暢に喋る猫耳ゴーレムことギーゼルベルトがホールを見渡した。
「にゃあ、その通りにゃん、非常時にはここは通常空間になって上下を完全に寸断する作りになってるにゃん、オレがシステムを書き換えたので魔力切れを起こしても元の大きさにはならないにゃん」
「にゃあ、それなら安心にゃん」
「お館様、この先ってもしかして魔獣の生産プラントにゃん?」
「にゃあ、半分正解にゃん、ここは魔獣ではなくエーテル機関の研究と製造と行っていた研究所みたいにゃん」
ホールの先は人ひとりがやっと通れる狭い長さ一〇メートルほどのトンネルが幾つも並んでる。
それが研究所へのゲートだ。
「結界が張ってあるにゃんね」
猫耳の一人が観察する。
「許可された者しか通れないにゃん、オレたちは許可されてるから通れるにゃん」
ぞろぞろとゲートを通り抜ける。
「過去に研究施設の遺跡は発見されたことがあるにゃん?」
「にゃあ、たぶん世間的に外れの遺跡がそうにゃんね、ゴツい結界のわりにこれといったお宝が出ないにゃん」
「可能性はあるにゃんね」
「お館様みたいに遺跡を復元できれば価値に気付いたと思うにゃん」
「そうにゃんね」
「お館様、エーテル機関を作れるのに魔獣以外には使わなかったにゃんね」
「それは簡単にゃん、エーテル機関は機密情報の塊にゃん、それに出力が大きすぎて制御が難しいにゃん、これがオリエーンス神聖帝国時代の技術の流れをくんでなかったらオレも簡単には扱えなかったにゃん」
「にゃあ、お館様はそれを惜しげもなく水洗トイレの制御に突っ込んだにゃんね」
「トイレは重要にゃん」
「「「にゃあ」」」
猫耳たちも同意する。
オレたちはゲートを抜けてそれぞれに最高ランクのパスが登録された。
「にゃあ、これでどこでも入れるにゃん」
「「「にゃあ!」」」
「ここからは手分けして施設の中を探るにゃん、でもスイッチ類には触っちゃダメにゃんよ」
「「「にゃあ!」」」
猫耳たちが研究所の各フロアーに散った。
オレも研究所のエリアで改めて探ったが人の痕跡は発見出来なかった。遺骨もミイラもなければ幽霊もいない。
遺跡の中の機器類は魔力の供給を受けて新品同様に復活を果たしつつあるが、人間は塵と化し魂は天に還ったのだろうか?
それとも地上部分が破壊される前に全員が退避したのだろうか?
もしくは魔法で消し去られた?
少なくとも何人かは魔獣に喰われたのは間違いないが他は皆目見当が付かなかった。
オレは研究エリアから専用のエレベーターで最深部の隔離エリアに降りた。
○プリンキピウムの森 プリンキピウム魔獣開発局 研究区画 隔離エリア
所有者のみが立ち入ることを許されたエリアだ。最高ランクのパスを与えられた猫耳たちであっても同行は不可だった。
普通の人間なら即死レベルのマナで満たされた巨大な球形の空間。
拡張空間が作り出すほとんど異次元と言える場所だ。
その中央に赤く光る直径五〇メートルほどの球体。
「にゃ、これは?」
残念ながら探し求めていた魔力炉とは違っていた。
かと言ってエーテル機関ではない。
オレはじっくりと解析する。
エーテルからマナを生み出し魔力を作るエーテル機関に似てるが、蟻と象ぐらい出力が違う。
エーテル機関が蟻でこちらが象になる。
マナ生成炉と言うらしい。
この巨大な球形の壁に刻まれた刻印がマナを作り中心部の球体が魔力に変換している。
「にゃあ、でも刻印の耐久性がないから付きっ切りでメンテしないとダメにゃんね」
再生したばかりなのに既に壊れた刻印が出てきている。
これなら刻印の代わりにエーテル機関で代用したらいいんじゃないだろうか?
実際に運用されていた時代には、エーテル機関を使う発想が無かったとは思えないが、コストが見合わなかったのだろうか?
「物は試しにゃん」
エーテル機関を一個取り出した。
「にゃ!?」
いきなり内部で爆発的な反応が起こって数倍に膨らんだ。
「にゃあ!」
結界で密封してマナから隔離し中の時間を止めた。
掌に載っていたエーテル機関は、僅か〇.一五秒程度でオレより大きく膨らんでいた。
中に薄っすらと蛇らしき姿が見える。
『にゃあ、エーテル機関を魔獣にする方法を見付けたにゃん』
念話で猫耳たちに報告を入れた。
『『『にゃ?』』』
『お館様、エーテル機関が魔獣になるにゃん!?』
『にゃあ、偶然、発見したにゃん』
『一人で危ないことしちゃダメにゃん』
『にゃあ、気を付けるにゃん』
『それで方法はどうするにゃん?』
『エーテル機関を濃いマナの中に置くと一瞬で魔獣に変化するにゃん、マナの濃度は人間が即死クラスにゃん』
『にゃあ、すると魔法で濃いマナを作り出してエーテル機関を覆えばいいにゃんね、それほど難しくない魔法にゃん』
『通常濃度では魔力を作り出すけど、マナの濃度が一定以上濃くなると魔獣生成の魔法式に切り替わるみたいにゃん』
『お館様、このエーテル機関の魔力を生み出す魔法式は、魔獣を生成するものでもあったにゃんね』
『にゃあ、オレたちはエーテル機関が魔力を作り出すマナの濃度で扱っていたから魔獣を生み出さなかったにゃんね』
『にゃあ、マナの濃い魔獣の森で、魔獣の体内のエーテル機関が変化しないのだから、安全マージンはかなり高いにゃん』
『にゃあ、身体から取り出された状態ではわからないにゃん』
『実験が必要にゃん』
『にゃあ、それより先にエーテル機関の魔法式を早急に書き換えて魔獣化の機能を削り取るにゃん』
『『『にゃあ!』』』
オレは膨らんだエーテル機関の時間をゆっくりと巻き戻す。
魔法式を読み取って何処で魔力生成から魔獣爆誕に切り替わるのかを調べる。
魔獣に切り替わる部分を取り除くとどうなるかを試す。
結界の中のクロックを落としてマナの濃度を上げた。
エーテル機関が魔力の生成が間に合わず膨らんで破裂することを確認して、オレはまた時間を巻き戻した。
『にゃあ、ダメにゃん、魔獣爆誕をキャンセルするとエーテル機関が崩壊するにゃん』
『これは魔力生成の効率を高めるしかないにゃん』
『精霊情報体の出番にゃん』
『マナの魔力変換の魔法式を一部書き換えるにゃんね』
『憧れの魔力炉に一歩近付くにゃん』
『にゃあ、演算能力を四倍にして変換の効率を上げるにゃん、それ以上は無理っぽいにゃんね』
『にゃあ、エーテル機関自身にも結界を持たせて処理能力以上のマナは弾けばいいにゃん』
『そのアイデアいただきにゃん、結界で燃料のマナの濃度を調整するにゃんね』
『マナが薄かったら自分で濃くさせるにゃん』
『にゃあ、修正したにゃん』
新型をマナ生成炉の濃いマナに晒す。
表面的には変化はないが強い魔力を生み出した。
『大丈夫、安定してるにゃん』
オレの中のドラゴン、ディオニシスのエーテル機関を新型に入れ替えた。
こちらも問題ない。
『マナ生成炉の刻印を新型エーテル機関に置き換えるにゃん』
『『『にゃあ!』』』
刻印の代わりに壁に埋め込んだ。
かつて存在した魔力炉には遠く及ばないが、堅牢性はほぼ同等の性能を確保した。
オレは隔離エリアの外に出て拡張空間を元に戻した。
隔離エリアは一〇メートル四方の部屋の中央に浮かぶバレーボール大の青白く光る玉に姿を変えた。
もう中に入って刻印のメンテナンスをする必要がないので無理に拡張空間を維持する必要もない。
マナ生成炉を内蔵したこの遺跡の動力源は新型エーテル機関を得て、新型のマナ変換炉となった。
オレはコピーしたそれをエーテル機関の大きさにまで縮めた。これで既存のエーテル機関と容易に入れ替えられる。
「エーテル機関よりは魔力炉に近い性能にゃんね」
まずはオレの中にいるディオニシスにブチ込んでみる。そこで問題が無ければ、必要に応じてエーテル機関と交換するにゃん。
『にゃあ、ディオニシス、具合はどうにゃん?』
オレの中のドラゴンに尋ねる。
『おお、力がみなぎるぞ、主よ!』
『飛べそうにゃん?』
『申し分ないと言いたいところだが、やはり長時間は無理のようだ』
『燃費が悪いにゃんね』
『仕方あるまい、それでもこれまでのガラクタよりはマシだ』
『そうにゃんね、短時間でも実際に飛べるのは、いいことにゃん』
『主にお願いが有るのだがいいだろうか?』
『にゃ?』
『主が言うところの生きてる金属を我に与えてはくれぬか?』
『にゃあ、オレもシミュレートしたけど重くなるにゃんよ』
生きてる金属ならばバカ食いする魔力を多少節約できる利点はあるのだが、差し引きするとマイナスになるので使用を控えたのだ。
猫耳ゴーレムも重くなってるが、こちらは普段は飛ばないので問題ない。
『なに、魔力が増せば問題あるまい?』
『そうにゃんね、生きてる金属用にマナ変換炉をもう一つ入れれば、魔力が勝るから十分イケるにゃん』
ディオニシスの身体を構成する物質の中で生きてる金属に置き換え可能なモノを全て入れ替え、更にマナ変換炉を追加した。
『おお、これはいい!』
『やっぱり空を飛び回るのには、魔力炉が欲しいにゃんね』
『なに慌てることはない、いまはこれで十分だ』
『わかったにゃん、不具合が有ったら教えるにゃんよ』
『更なる効率化は、我がやっておこう』
『にゃあ、頼んだにゃん』
○プリンキピウムの森 プリンキピウム魔獣開発局 研究所
オレは研究所内の会議室らしき部屋に入った。
猫耳たちの調べた報告を聞く。
「お館様の改良で正解みたいにゃんね」
「にゃあ、オレだけで組み上げたわけじゃないから大丈夫にゃん」
「お館様、この遺跡内部に設置したエーテル機関も全部新型に取り替えたにゃん」
「ご苦労にゃん」
「各拠点と猫耳ゴーレムたちの分も取り替えをしてるにゃん」
「にゃあ、後は王都にいるキャリーとベルの装備と、何処にいるか良くわからないアーヴィン様一行辺りにゃんね」
「距離があるものは全部、遠隔操作で新型にバージョンアップにゃん」
「にゃあ、直ぐにやるにゃん」
離れた場所にあるエーテル機関も全て新型に置き換えた。
たぶん使用者たちは気付かないだろう。
調査は完了し、エーテル機関の製造装置も魔法式を書き換えて魔獣化の要素は全て排除した。
研究所はこのままエーテル機関の改良の為に使うことにした。他の調査研究もここに集約するのが良さそうだ。
「にゃあ、オレが保管してる図書館情報体も併設しても良さそうにゃん」
「ただ、重要な研究所だけに防御力が心もとないにゃん」
「小手先の改良より、大規模な作り変えが必要にゃん」
「そうにゃんね」
「招き猫型がいいにゃん」
「「「賛成にゃん」」」
猫耳たちがこぞって賛成する。
「にゃあ、恐ろしくデカくなるにゃんよ」
いまの時点で恐ろしくデカい。
「いずれにしても地中に埋める必要があるにゃん」
何があるかわからない世界だ。目立たないに限る。
「生き埋めも可哀想にゃんね」
「周囲に球形の防御壁を作ればいいにゃん」
「それまた、恐ろしく大きいにゃんね」
「「「大きいことはいいことにゃん!」」」
「オレも全面的に賛成にゃん」
「にゃあ、材質は全部生きてる金属にするにゃん」
「贅沢にゃんね」
たぶん、オリエーンス連邦時代でもやらなかったと思う。チタンが丈夫だからってそれで建物全体を作ったりはしないと思う。
「重要拠点になるのだから贅沢なのは当然にゃん」
オレらにはコスト面は問題ないけどな。
「にゃあ、わかったにゃん設計と施工は猫耳も全員も手伝うにゃんよ」
『『『にゃあ!』』』
設計には一晩を要した。主に招き猫のデザインに関して詳細に決めたからだ。
 




