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魔法の練習にゃん

「にゃあ、まずはシアとニアとノアにも専用の魔法馬をやるにゃん」

「「「まほううま?」」」

 三人は揃って首を傾げた。

「これにゃん」

 その場で三頭の魔法馬を出した。

「「「おおきい!」」」

 オレや猫耳たちが乗ってる軍用馬ベースの魔法馬なので普通のよりデカい。

「ビッキーとチャスは三人にお手本を見せてやるにゃん」

「「はい」」

 ビッキーとチャスは自分の魔法馬を出して跨った。

「わあ!」

「おねえちゃんたちすごい!」

「まほうつかいみたい!」

 チビ三人は尊敬の眼差しでビッキーとチャスを見る。

「みんなもすぐにのれるよ」

「かんたんだよ」

「ほんとうに?」

「おウマちゃんにのれるの?」

「のりたい!」

 先輩からのアドバイスにチビ三人はやる気になった。

「にゃあ、この三頭の飼い主をそれぞれシア、ニア、ノアに登録してあるにゃん、乗り方もわかってるはずにゃん」

 三人がお昼寝してる間に直接記憶させてある。

「うん、のれる」

「のれるよ」

「あたしも」

 オレの与えた記憶を探り当てた三人がそれぞれ手を挙げた。

「にゃあ、乗ってみるにゃん」

 後は身体で覚えてもらう。

「「「ちょっとまって」」」

 おチビたちは何やらコソコソ話し合う。

「おやかたさま、あたしたちのおウマちゃんになまえをつけてもいい?」

「名前にゃん? もちろんいいにゃんよ」

 三人はまたシンキングタイムに突入した。

 しばし話し合い。

 それから揃ってオレを見た。シンキングタイムは終了したらしい。

「にゃあ、おウマの名前は決まったにゃん?」

「「「きまったよ」」」

「にゃあ、オレにも皆んなの馬の名前を教えて欲しいにゃん」

「うん、あたしのおウマちゃんは、ココア!」

 最初にシアが手を挙げた。

「にゃあ、シアの馬はココアにゃんね、次はニアとノアどっちが教えてくれるにゃん」

「あたし! あたしのおウマちゃんは、チョコ!」

 次に手を挙げたのはニアだった。

「ニアの馬はチョコにゃんね、にゃあ、ノアも決まったにゃん?」

「うん、あたしのおウマちゃんは、アンコ!」

 最後にノアが手を挙げた。

「ノアの馬はアンコにゃんね」

 どれも甘そうな名前だ。

「評価するよ」

 リーリはオレの頭の上で腕を組んで頷いた。

「「おウマのなまえ?」」

 ビッキーとチャスも自分の魔法馬に名前を付けるというアイデアに感心してるようだった。

「にゃあ、ビッキーとチャスも名前を付けてみるにゃん?」

「「はい」」

 ふたりはうなずいて、こちらもシンキングタイム。

「わたしのおウマは、プリン1ごう」

「わたしのは、プリン2ごう」

 ビッキーとチャスの魔法馬はそれぞれプリン1号と2号に決まった。

「にゃあ、皆んなのおウマの名前が決まったから、シアとニアとノアも乗ってみるにゃん」

「「「うん」」」

「おいで、ココア!」

「おいで、チョコ!」

「おいで、アンコ!」

 三頭の馬は一瞬、姿を消し、それぞれの主人を背中にすくい上げる様に姿を現した。

 おチビたちは手綱を持って鞍にちょこんと座ってる。

「にゃあ、三人ともちゃんと乗れたにゃんね」

「おやかたさま、ココアをはしらせていい?」

「シアは慌てちゃダメにゃん、まずはおウマを歩かせて様子を見るにゃん、ニアとノアもにゃんよ」

「わかった、チョコあるくよ」

 ニアが馬を歩かせる。

「アンコもあるくよ」

 ノアもニアの後に続く。

「ココアもいくよ」

 最後にシアを乗せたココアが続いた。

 オレも馬を出して跨りビッキーとチャスと一緒におチビたちの馬の後を追う。

 鬱蒼とした下草はあらかじめ刈り取ってるので視界はそこそこいい。

「にゃあ、馬に乗れたら次は防御結界を張る練習にゃん」

「でんげきじゃないの?」

「こうげきはさいだいのぼうぎょだよ」

「いちげきひっさつ」

 四歳児とは思えない受け答えだが、これは紛れもなくオレと猫耳の思考で、軽い思考共有の結果だ。知能にも影響したのだろうか?

「まちがってはいないよ」

「うん、それでいい」

 ビッキーとチャスも言葉は多くないが、やはり五歳児にしては知能が高い。こちらもオレたちと軽い思考共有をしている。

 ふたりはオレが保護するまで奴隷として働かされていたから普通の幼児より頭を使う場面があったのだろう。

 そこは恵まれた境遇じゃない場所で育ったシアたち三人も一緒か。身を守るには考える力が必要だ。

「にゃあ、まずは防御にゃん、危険は敵の攻撃ばかりじゃないにゃんよ、穴に落ちたり、崖から落ちたり、川に落ちるかも知れないにゃん」

「おやかたさまは、そんなにおちたの?」

 ニアに訊かれる。

「にゃあ、オレが落ちたのは空だけにゃん、防御結界が使えなかったら危なく死ぬところだったにゃん、その前は降ってきた鉄骨で手足が無くなってこれは死んだにゃん」

「ぼうぎょけっかいがつかえないとあぶないね」

 ノアはわかってくれた。

「にゃあ、そうにゃんスゴく危ないにゃん、オレは身を以て知ったにゃん、三人も身を以て知るにゃん? 痛いにゃんよ」

「あたしはおやかたさまのはなしでわかったからいい」

「あたしもわかった」

「あたしも」

「にゃあ、わかったのなら、防御結界を張ってみるにゃん」

「「「わかった!」」」

 防御結界の使い方もお昼寝の最中に伝授してる。

「「「にゃあ!」」」

 掛け声はオレや猫耳たちが教えたわけじゃないぞ。

 シア、ニア、ノアがそれぞれの防御結界を作った。

「にゃあ、初めてにしてはいい出来にゃん」

 それぞれ四歳児とは思えない強力な防御結界が作られていた。

 本来、四歳児がこのレベルの魔法を使ったらどんなに才能のある子でも結界が完成する前に魔力切れを起こす。

 だから、防御関連の魔法はオレと猫耳たちと同様にエーテルを直接魔力に変換して使えるようにエーテル器官を書き換えてある。これはビッキーとチャスも同様だ。

「ビッキーとチャスも普通の魔法でやってみるにゃん」

「「はい」」

 ビッキーとチャスは普通の魔法で防御結界を張った。こちらはカティが教えた魔法だ。無論、問題はない。

「にゃあ、ふたりの防御結界も合格にゃん」

 ビッキーとチャスは精霊魔法と通常魔法の多重起動をやってのけてる。これってできる人間はまずいないのでは。

 精霊術師がふたり以外いないのだから他の人間には無理なのは当然としても、例え他にも精霊魔法が使える人がいたとしても系統の異なる魔法の多重起動なんて無理なはず。ある意味ビッキーとチャスは世界最強の魔法使いに近づきつつあった。


 多重起動の件はひとまず置いといて、五人全員が基本の防御結界が成功したので次のフェーズに入る。

「次はシアたちが三人で協力して防御結界を張ってみるにゃん、近くに大きいトラが来てるから急いだ方がいいにゃんよ、ビッキーとチャスは両方の防御結界は消すにゃん」

 焦りを誘う情報もぶっ込んでみる。トラは猫耳たちが用意したものだ。ビッキーとチャスの精霊魔法由来の防御結界が消えてトラがオレたちに近づく。

「でっかいトラ」

「はじめるよ」

「いつでもいいよ」

 三人はトラが肉眼で確認できる距離まで迫られても、パニックを起こすことなく新たな防御結界を構築する。

「「「にゃあ!」」」

 三人は冷静に共同で防御結界を作り上げた。

「いい出来にゃん」

 大きなトラがゆっくりとした足取りで迫る。人間の子供相手では隠れる必要がないと判断したのだろう。

 三人は全く動じない。

 自分が四歳児の頃だったら泣き叫んで速攻食べられていただろうし、魔法が使えないままの元の新車ディラーの営業だったら、泣き叫びはしないだろうが腰を抜かしてるうちにおいしくいただかれたに違いない。

「シアもニアもノアも三人とも冷静にゃんね」

「トラはふつう」

「しゃっきんとりのオジサンよりはこわくないよ」

「だいたい、おかあさんとおなじぐらい」

 この四歳児たちもかなり苦労している。

「ちかくにきていいよ」

「もうちょっとだね」

「うん、もうちょっと」

 トラは悠然と間合いを詰めると三人に向かって飛び付いた。


『ガッ……』


「にゃ!?」

 トラの身体が二本足で立ち上がった格好で痙攣してる。

 見開かれた両目は自分に何が起こったのかわからないまま生命の灯が消えようとしてるのが見て取れた。

「うまくいったね」

「ぼうぎょけっかいは、かたちをかえられるからべんり」

「トラっておいしいの?」

 防御結界が形を変えトラの身体を貫いていた。

 オレも使ったことがあるが、まさか三人が使うとは思ってなかった。

「にゃあ、美味しいにゃんよ」

「あたしも好きだよ、トラの竜田揚げ」

 こっちの世界は強いほど美味しいのでトラはかなりイケる。肉食獣なのに臭みもない。

「トラは夕ごはんのおかずにゃんね」

「「「やった!」」」

 妖精も一緒になって喜んでる。

 トラの死体を格納する。

「にゃあ、三人は初めてなのに結界の変形まで使えるにゃんね」

「しこうきょうゆうでしったの」

「おやかたさまのおかげ」

「もっとかりたい」

「にゃあ、しっかり者でオレはうれしいにゃん」


 オレは三人の体格に合った銃を出してやる。ビッキーとチャスにも銃を渡す。

「夕方になったら帰るから狩りはそれまでにゃんよ」

「「「はーい」」」

 銃もまた自分の魔力は消費しない。

 いろいろ安全策はこうじてるから大丈夫だ。

「オオカミはっけん!」

「ろくとういる」

 ビッキーとチャスが早くも獲物を発見した。

「シアたちがうっていいよ」

「さんにんでうってみて」

 ビッキーとチャスは妹分に獲物を譲った。

「おねえちゃん、うっていいの?」

「いいよ」

「わかった」

「あたしたちでうつよ」

「でんげきをふか」

「りょうかい」

 にゃ、何だって?

「「「にゃあ!」」」


 オオカミの群れに落雷の様な電撃が襲い、六頭全部を一瞬で倒した。


 弾丸に電撃が付加されていた。しかも基本は銃の弾丸の半エーテル体に魔法式を書き込むだけだから自分の魔力はほとんど消費しない。

「にゃあ、いまの弾丸に魔法を乗せる方法も思考共有で覚えたにゃん?」

「そうだよ」

「おやかたさまのまね」

 実際には、銃を使ってまで命中率を上げなくてはならない場面がないから、ほとんど使ってないけどな。

「「「でんげきさいこう!」」」

「にゃあ、それについては同意するにゃん」

 獲物を回収して次に向かった。


 無論、大猟だったことは言うまでもない。獣が薄い州都近郊の森でもオレたちがおいしそうな獲物に見えたらしく獣からどんどんやって来たからだ。


 おチビたちは思考共有で得た知識を使って、オレが設定した魔法の初期設定を上回る成果を叩き出していた。

 世界最強の魔法使いは早い内に実現するのかも。



 ○州都オパルス クリステル・オパルス・オルホフホテル ラウンジ


 夜になって、明日オレたちがプリンキピウムに発つと聞いてフリーダとカティそれにアレシアがホテルに来てくれた。

 ラウンジでお茶を飲みながら歓談する。

「ネコちゃん、プリンキピウムに戻ったらしばらくオパルスには来ないの?」

 フリーダに抱っこされて尋ねられる。

「にゃあ、そんなことはないにゃんよ、州都にはこれからもいろいろ用事がありそうにゃん」

「マコトさんは、プリンキピウムまでの距離をものともしないのがスゴいです」

「にゃあ、カティだって魔法を使えばすぐにゃん」

「移動に魔力を使ったら後が大変です」

「魔法は使わないと魔力が成長しないにゃんよ」

「そうなんですか?」

「にゃあ、使えば使うほどエーテル器官が最適化されるにゃん」

「そうなんだ」

 魔法使いじゃないアレシアはあまり興味がない様子だ。

「ネコちゃん、オパルスとプリンキピウムの間の街道に盗賊団が何組か入り込んでるみたいだから気を付けてね」

「了解にゃん、これまでそれほどいなかったのに珍しいにゃんね」

「アルボラの州内で武装商人を中心にした大規模な盗賊狩りが行われた影響ね、プリンキピウム方面に逃げ込んだみたいなの」

「にゃあ、武装商人にゃんね、オレたちは旧道を通るから残念ながら盗賊狩りには参加できないにゃん」

「マコトさんも盗賊を狩るつもりだったんですか?」

 カティが当たり前なことを訊く。

「にゃあ、放置はできないにゃん」

「ネコちゃんなら、盗賊が出ても逃げないで捕まえちゃうか」

「当然にゃん、でも人のいない旧道には出ないにゃんね」

「そうとも限らないから気を付けて、去年は林道にも何回か出たらしいから」

「林道なんて近衛軍の連中しか通らないにゃんよ」

 盗賊がもっとも襲ってはいけない相手だ。

「近衛軍のことを良く知らない人間だったみたいで、盗賊団の全員生首になって換金されてたけど」

「他にもそのまま犯罪奴隷として遺跡に連行されたりしたみたい」

 フリーダの情報にアレシアが付け加えた。

「にゃあ、盗賊を稼業にして近衛を知らない迂闊なヤツらにオレたちは負けないから心配要らないにゃん」

「噂では魔法使いが首領の盗賊団がいるらしいから気を付けてね」

 フリーダが新情報をくれる。

「魔法使いにゃん?」

「宮廷魔導師に匹敵する魔力を持つ魔法使いらしいわよ」

「にゃあ、宮廷魔導師クラスの魔法使いが盗賊団を率いてるにゃん?」

「噂だから尾ひれが付いてるのかな」

 アレシアは半信半疑らしい。

「そうにゃんね、実力のある魔法使いならチマチマ盗賊をするより普通に稼いだ方が実入りがいいはずにゃん」

「でもねネコちゃん、盗賊団には人を傷付けることに喜びを感じる人間が混ざってるときがあるから気を付けてね」

 フリーダが念を押した。

「了解にゃん、オレはどんな相手だろうと油断はしないにゃん」

 相手はオレを見て油断すること間違いなしだ。



 ○州都オパルス クリステル・オパルス・オルホフホテル 最上階


 夜、オレは自分の部屋のベッドから拉致られる。

「みゃ!?」

 猫耳たちに抱えられてる。

「これから、お館様とお風呂にゃん♪」

「お風呂にゃん?」

「「「にゃあ、お風呂にゃん」」」



 ○州都オパルス クリステル・オパルス・オルホフホテル 猫ピラミッド 大浴場


 猫耳の言葉どおりそのまま猫ピラミッドの大浴場に連れて来られた。そのまま裸に剥かれて浴槽のある階に放り投げられる。

 床に着地する前に他の猫耳にキャッチされそのまま湯船に。

「にゃあ、お館様と州都で最後のお風呂にゃん」

「「「にゃあ♪」」」

「オパルスで最後と言ってもまた来るにゃんよ」

「にゃあ、ウチらも交代でお館様の側に行くにゃん」

「だったら、次の機会でもいいと違うにゃん?」

「「「ダメにゃん!」」」

 猫耳たちから一斉にダメが出された。

「お館様とのお風呂は、神聖にして何人も侵すことのできないウチらの権利にゃん」

「「「にゃあ!」」」

 いつの間にかそういう話になっていた。

『『『ニャア』』』

 猫耳ゴーレムたちも権利を主張したのでお風呂イベントは明け方まで続いた。


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