シャンテルとベリルの依頼にゃん
「ようマコト、今晩こいつも泊めてやってくれないか?」
挨拶が一段落して猫耳ゴーレムに抱っこされ喉をゴロゴロ鳴らしてるとプリンキピウムの筋肉ことデリックのおっちゃんが買い取り担当のザックを連れてやって来た。
「久し振りだなマコト、しかしここスゲーな、プリンキピウムのホテルでもヤバかったのに高級すぎて腰が引けるぞ」
ザックがキョロキョロラウンジを見回す。
「にゃあ、ザックも州都に来てたにゃんね」
「こいつは俺の補佐だ、今朝着いたばかりだけどな」
「にゃあ、部屋は用意するからフロントで鍵を貰って欲しいにゃん」
近くにいる従業員にフロントへの連絡を頼んだ。
「助かる、ギルドの提携してる宿は全部塞がってて参った、危なく州都のギルドの裏庭で野営させられるところだった」
「にゃあ、州内のギルマスが集まってるからにゃんね」
「到着がギリギリだったのが効いた」
肩をすくめるザック。宿探しで疲れたのかいつにも増して覇気がない。
「ウチは州都からいちばん離れてるから仕方あるまい」
デリックのおっちゃんのいうとおり州内の街で馬車で一週間も掛かる距離があるのはプリンキピウムだけだ。
「でも、州都から遠く離れている分、獲物がいっぱいいて楽しいところにゃん」
「マコトが出掛けてから買い取りが激減したけどな」
「そうにゃん?」
「買い取りが減ってもチーズとマコトの仕事の代行での売上で利益は去年の一〇倍増しだから問題はない」
デリックのおっちゃんがフォローしてくれる。
「ギルマス、プリンキピウムがマコトに依存しすぎなことに変わりありませんよ」
「プリンキピウムはマコトの知行地だ、依存していても問題はあるまい」
「にゃあ、会議でフリーダに何か言われたにゃん?」
「いや、州都の莫大な売上もマコトのもたらしたものだから、フリーダが自分のところを棚に上げて文句を付けるわけないから心配するな」
「それならいいにゃん」
「後はマコトが帰って来てくれれば万々歳だ」
「にゃあ、オレのところの猫耳たちが先に獲物を持ち込むにゃん」
「ああ、マコトとお揃いの猫耳と尻尾を付けた女の子たちか、マコトの同郷だそうだな」
「にゃあ、そうにゃん、皆んなオレ程度はできるから猫耳シフトで頼むにゃん」
「マジか?」
「早ければ明日辺りから売りに行けるにゃん」
「わかった、俺から連絡を入れておくからできる限り対応できるようにしよう」
デリックのおっちゃんが約束してくれた。
「また忙しい日々が戻って来るか」
遠い目をするザック。
「それが普通なんだ、マコトが来る前のプリンキピウムがノンビリし過ぎていただけだぞ」
「それはわかってます。以前に比べたらいまの問題なんて微々たるものですし」
「にゃ、他に何かあるにゃん?」
「問題か? あるとすれば六歳でも稼げると勘違いしてプリンキピウムに来る連中だ」
「そんなのがいるにゃん?」
「ああ、マコトのことが知れ渡れば今後も増えるんじゃないか? 六歳の噂は広まってるが、肝心の『宮廷魔導師並の魔法使い』って部分が抜けてるからな」
「にゃあ、面倒くさいのは獣に食べさせればいいにゃん」
「貴族崩れのボンボンはそれでもいいが、問題は子供だな」
「子供がひとりでプリンキピウムまで来てるにゃん?」
「そうだ、一〇歳に満たない子供が冒険者にしてくれと何人か来てるんだ」
ザックが付け加えてくれる。
「にゃあ」
「マコトの仲間かな? いや、そんな気配は無かったけど」
猫ピラミッドからオレの頭の上に戻って来たリーリが首を傾げる。
「魔法使いでも何でもない普通の子供だ」
「にゃあ、それだとまるでオレが普通の子供じゃないみたいにゃんね」
「「「!?」」」
リーリまで驚きの表情を浮かべた。
ザックは驚きと言うより驚愕の表情だぞ。
「にゃお、オレは普通の子供じゃなくていいにゃんよ」
唇を尖らせる。
「マコトレベルの子供がゴロゴロいたら世の中、大変なことになってるぞ」
『ニャア♪』
オレを抱っこしていた猫耳ゴーレムに頬ずりされる。
「オレは『世界一かわいい子供』にゃん? にゃあ、それは言い過ぎにゃん」
「それでだ、冒険者ギルドに来た子供たちはいずれも訳ありだったんで、マコトの寄宿学校で預かってもらってる」
「にゃあ、その子供たちからは文句は出なかったにゃん?」
「それはない、危険な獣とやり合わずに済んでホッとしているようだったぞ」
「にゃあ、それはそれでOKにゃん」
「大半が女の子だったからな」
「にゃあ、魔法が使えないのに子供で冒険者は無謀にゃん」
「同感だ」
「孤児も何人か増えてる、いずれもプリンキピウムの外からだ」
「プリンキピウムでは孤児になりそうな子供まで、マコトが保護してるからな」
「にゃあ、子供は何人増えようが問題ないにゃんよ」
「そう言ってくれると助かる」
「子供なら無条件で助けるにゃん、大人は条件次第にゃんね」
「大人は放って置いてもいいんじゃないか?」
この国の常識はザックの言うとおりではある。
「にゃあ、もちろんただでは助けないにゃんよ、それなりに働いて貰うにゃん」
「当然だな」
ギルマスが頷く。
「基準はデリックのおっちゃんに任せるにゃん」
「面倒くさいことは何でも丸投げだな」
「にゃあ、六歳児だから許して欲しいにゃん」
「そう言われるとそうなんだよな」
「なんか悔しい」
何故、ザックが悔しがる。
「まずはリタイヤしたプリンキピウムの冒険者を市政運営の為の職員にするから、その分の経費は見てくれよ」
「にゃあ、問題ないにゃん」
金の地金をゴトっと一〇枚ほど出してテーブルに置いた。
「マコト、こんなところで出すな」
「にゃあ、それもそうにゃんね」
「デリックのおっちゃんにも魔法馬を渡すにゃん、アーヴィン様と同じ物にゃん、格納空間にいろいろ入れてあるけど転売と譲渡は不可にゃんよ」
ギルマスに魔法馬一式を付加した。
「馬って、これか?」
「にゃあ、魔法馬の魔力で格納空間を作ってるにゃん、お金はそこに入れるからいい感じに運営して欲しいにゃん」
「わかった」
「魔法馬いいな」
「にゃあ、ザックにも渡すにゃん、使い方はもうわかってるはずにゃん、魔法馬を渡したからにはバリバリ働いて貰うにゃん」
ザックにも魔法馬を渡した。
専用の格納空間に入ってるので本人とオレしかわからない。
「うおお、返そうと思ったがこれは無理だ、悔しいけど使わせて貰う」
「にゃあ」
「しかしこの魔法馬はヤバいな、いまなら親父殿が自慢してた意味がわかる」
「俺もそう思います、これはヤバいです」
デリックのおっちゃんとザックがヤバいを連呼する。
「マコトのだからね、当然ヤバいよ!」
リーリが断言した。
○州都オパルス クリステル・オパルス・オルホフホテル 制限エリア オパルス拠点
深夜、オレと州都に残っている猫耳は、地下の大ホールに集まった。
そこには五二個の箱が並んでいる。
オレは演壇に上がって箱を見渡した。
「いい感じに仕上がってるみたいにゃんね」
「にゃあ、五二人全員の魂の浄化、すべて完了したにゃん」
猫耳のひとりが代表して答えた。
箱には昨夜、オレのホテルから猫耳ゴーレムを強奪しようとしたノクティス系犯罪ギルド『ハゲネズミ』のメンバーたちとベイクウェル商会オパルス支店の元支店長ドリスタン・バーロウとその腹心のダリオが入ってる。
ホテルに来たハゲネズミの襲撃犯は六人だったが、直ぐにヤツらのアジトを急襲してメンバーを残らず確保した。ついでにアジトに使っていた建物も消して更地にしといた。
合計五二人全員の魂を浄罪の炎でこんがり焼いてから新たに猫耳に仕立て直したというわけだ。じっくり魂を鍛え直したのでこの時間になった。
「にゃあ! 全員、目を覚ますにゃん!」
箱を消し去り液体エーテルが流れ出ると五二人の猫耳たちが目を覚ました。身体を起こした裸の猫耳たちは年の頃いずれも十五歳ぐらい。全員が先に生み出された猫耳たちと年齢も特徴も同じに仕上がった。
つまり、むくつけき男どもの面影は皆無で、どちらかといえば華奢な身体つきをしている。髪型はやはり揃って髪型はショートボブで、何故そうなるのかはオレにも謎のままだ。
「「「にゃあ」」」
それぞれ自分の新しく与えられた身体を眺める。
「おまえたちそれぞれの格納空間に必要なモノを入れてあるにゃん、まずは服を着るにゃん」
演壇の上から新入りの猫耳たちに声を掛けた。
「「「にゃあ!」」」
新入りの猫耳たちは自分の格納空間に入れられていた迷彩の戦闘服と編み上げブーツを装着した。そして改めて演壇の前に整列する。
「にゃあ、オレたちはおまえらを歓迎するにゃん、これからは世のため人のために働くにゃん」
「「「にゃあ!」」」
全員、拳を突き上げた。
「ウチらは、お館様の為に働くにゃん!」
「「「そうにゃん!」」」
新入りの猫耳たちは前に聞いたようなことを言ってる。魂の浄化手順や思考共有に間違いは無いはずなのだが。
「「「お館様にゃん!」」」
新入りの猫耳たちがオレにむらがる。
「「「にゃあ! お館様、可愛いにゃん!」」」
抱っこされたり頬ずりされたり。
「みゃあ」
新入りたちに揉みくちゃにされる。
「にゃあ! 待つにゃん!」
「「「にゃ!?」」」
先輩の猫耳のひとりが新入りたちを止めた。
「お館様を抱っこするのはひとりずつ順番にゃん!」
「「「にゃあ♪」」」
こうして新入り歓迎のオレの抱っこ会が開催され順番待ちの列が出来た。新入りの後に猫耳ゴーレムや先輩猫耳たちも並んだので抱っこ会は明け方まで続いたのだった。
○帝国暦 二七三〇年〇八月十五日
○州都オパルス クリステル・オパルス・オルホフホテル 付属牧場 管理棟
朝早くチェックアウトしたクリステル様一行をお見送りしたオレは、副支配人のイアンを始め数人の男性従業員を牧場の管理棟に集めた。
「支配人から『クロウシの出荷を手伝いたい』との申し出が有ったにゃん、でも出荷は少し先になるので、イアンたちにはウシの運動を手伝って欲しいにゃん」
「マコト様、我々がウシの運動を手伝うのですか?」
「そうにゃん、魔法馬に乗ってウシに食べられないように一時間ほど逃げ回るだけの簡単なお仕事にゃん」
「我々は丸腰のままですか?」
「にゃあ、その代わり魔法馬の防御結界が有るから例え落馬してもウシに食べられることはないにゃん」
従業員全員に魔法馬は付加済みだ。
「収穫より大変そうな仕事ですね」
「にゃあ、そうにゃん、森をウシを避けながら馬で走り回る誰にでもできる仕事じゃないにゃん、でも、イアンたちなら造作もないことだと思うにゃん」
「わかりました、やりましょう」
「にゃあ、諸君の働きに期待するにゃん」
一時間後、ヘトヘトになったイアンたち従業員が戻ってきた。流石に一流の傭兵団に所属してただけあって怪我をすることなく無事の帰還だ。
疲労は仕方がない、相手はクロウシとマダラウシの群れだから、それだけで済んでるのが逆にスゴい。
「ウシとの追い掛けっこはどうだったにゃん?」
「正直、ウシを舐めていました、まさかあんなもの凄いモノだったとは」
「死ぬかと思いました」
「馬の結界に守られて無かったら喰われてました」
イアン以下従業員たちはそれなりに大変だったらしい。
「にゃあ、慣れればどうってことないにゃん、これからもウシと遊んでお互いの運動不足を解消して欲しいにゃん」
「かしこまりました、一同精進いたします」
○州都オパルス クリステル・オパルス・オルホフホテル 付属牧場
その後、オレもウシとの追い掛けっこを楽しんだ。ビッキーとチャスもやりたがったが、ふたりには早すぎるので外でお馬の稽古をさせた。
途中、調子が出て来たオレは魔法馬からウシの背中に飛び乗って翻弄してやった。
「にゃははは! こっちにゃん!」
ウシたちは大興奮で走り回った。
でも、後で猫耳たちに「危なすぎにゃん!」とガッツリ怒られた。
「みゃあ」
オレはちょっぴり泣いたにゃん。
○州都オパルス 冒険者ギルド ロビー
昼過ぎ、従業員食堂に入り浸っていたリーリと魔法馬で外を走り回っていたビッキーとチャスを連れて新入りの猫耳たち五二人と一緒に冒険者ギルドに向かった。
オレがランクアップの手続きをするついでに新入りの冒険者登録を行う。
昨日フリーダに話を通していたので、カウンターの窓口を二つ専用で開けてくれた。
「ネコちゃんはランクアップの件でしょう?」
「にゃあ、そうにゃん」
オレのことはアレシアが担当してくれる。
相変わらずのおっぱいは、冒険者ギルドの受付嬢は顔と胸で選ばれている説を強力に後押ししていた。
「にゃあ、兄貴のラルフはいないにゃん?」
「今日は州都の外に狩りに出てるの、もう、ギルドの職員なのか冒険者なのかはっきりして欲しいところだよね」
「ラルフのガタイなら、冒険者ギルドでの出世間違いなしにゃん」
兄妹そろって冒険者ギルド好みの体型だし。
「直ぐにランクアップの手続きをするから、ネコちゃんは冒険者カードを出してくれる?」
「にゃあ」
カードをカウンターに出すとアレシアはそれを魔導具のプレートに置いた。
スゴい勢いで情報が書き込まれる。
ビッキーとチャスもカウンターに張り付いて魔導具を見詰めてる。
五歳児たちにもその様子が見えてるみたいだ。ふたりとも普通の魔法使いよりいい眼を持っていた。
カードの表記内容が変わる。
「はい、おめでとうございます、ネコちゃんは無事にEランクにアップしました」
「ありがとうにゃん」
「「マコトさま、おめでとう」」
「にゃあ」
「それとプリンキピウムの冒険者ギルド経由で問い合わせがあった、三年前に行方不明になったジェド・ダッドさんの情報もまとめてあるわよ。あちらからネコちゃんに伝えるように指示されてるけど、関係者なの?」
「にゃあ、オレの友だちの父親にゃん」
シャンテルとベリルの父親だ。
「そうなんだ、細かいことはギルマスから説明があるみたい」
「にゃあ、フリーダが説明してくれるにゃん?」
「ええ、ネコちゃんのランクアップが終わったら執務室に通すように言われてるの」
「にゃあ、わかったにゃん」
オレたちはそのままフリーダの執務室に案内された。
○州都オパルス 冒険者ギルド ギルドマスター執務室
「三年前のジェド・ダッドさんのことでしょう? 私も覚えてるわ」
フリーダは資料を見るまでもなくジェドのことを憶えていた。
「にゃあ、いったい何があったにゃん?」
「ジェドさんは、三年前に州都の郊外で特異種が出現した時の犠牲者の一人なの」
「にゃあ、特異種が出たにゃん?」
「ええ、ただ何の特異種かは、はっきりしてないわ」
「フリーダはその時もギルマスだったにゃん?」
「いいえ、三年前は冒険者をしてたわ、これでもBランクだったのよ」
「にゃあ」
「ジェドさんはその時に死んだにゃん」
「ええ、仲間をかばって特異種と一緒に峡谷に転落したと聞いてるわ」
「遺体は回収されなかったにゃん?」
「残念だけどそこは簡単に行ける場所じゃないから、諦めざるを得なかったみたい」
「にゃあ、場所がわかってるならオレが回収するにゃん」
「ネコちゃんが行くの? かなり危険な場所よ」
「もちろん無理はしないにゃん、ダメなら引き返すにゃん」
「それならいいけど」
フリーダはアレシアに現場周辺の地図を持ってこさせた。
テーブルに地図が広げられる。
現場は、州都オパルスから南西方向に馬で一時間ほどの場所だ。そこは森だった。
「ジェドさんが落ちたのはここみたいね」
フリーダが指差したのは、森の中を蛇のようにのたくってる全長五キロ程度の峡谷の一点だった。
地図の但し書きによると谷底までの深さは不明らしい。
「地図を見ると地面の裂け目みたいにゃんね」
「そうなの、地面が垂直に落ち込んで足場もないから谷底に下りるのはかなり難しいわね」
「フリーダは近くに行ったことはあるにゃん?」
「ええ、三年前の現場検証に参加してるわ。渓谷は通称『地獄の裂け目』って言われてるの。落ちて生還した人はいないみたいよ」
「地獄に通じてるにゃんね」
「谷底の方は暗くて何も見えないから皆目不明ね、それにあの雰囲気からすると本当に地獄に通じていてもおかしくない感じよ」
「にゃお」
「魔獣が棲んでるって噂も聞いたことがあります」
アレシアも情報を追加してくれる。
「生還者がいないということは誰も谷底に降りて調べてないにゃんね?」
「ええ、谷はマナが魔獣の森並みに濃いみたいだから、防御結界の完璧な魔法使いじゃないと下りるのは無理みたいね」
「下りた魔法使いもいないにゃん?」
「お金にならない場所には誰も行かないわよ」
「にゃあ」
フリーダの意見ももっともだ。これが登山のような達成感でも味わえれば話は違って来るのだろうけど。
「犯罪ギルドが死体を投げ込んでるって噂されてる場所だから、その森自体に普通の人は近付かないわ。ネコちゃんも無理しないでね」
アレシアはオレが地獄の裂け目に近づくこと自体に反対らしい。冒険者ギルドの職員だからはっきり言葉にはできないようだが。
「人間にとって地獄みたいな場所なのは本当だよ」
リーリはオレの頭の上で腕を組む。
「にゃあ、リーリは何か知ってるにゃん?」
「マナがメチャクチャ濃いから用事がないなら行くのはお勧めしない場所だね、本当に気を付けないとマコトや猫耳でも危ないよ」
「リーリはどうにゃん?」
「あたしは全然平気だけどね」
オレの頭の上で胸を張る。
「にゃあ、そんな場所にわざわざ死体を持ち出す犯罪ギルドの連中もご苦労にゃんね」
「犯罪ギルドの話は、あくまで噂だから」
フリーダは懐疑的らしい。
誰も近付かない高濃度のマナが吹き溜まってる場所と来れば、そこに有るのはお宝か魔獣だ。
谷底にはまたマナを吹き出す何か埋まってる可能性もあるが、いまの時点ではまったく予想が立たない。
「危険は冒さないので、オレとリーリと猫耳で谷底に下りてみるにゃん。上手く行けばジェドさんに関係のあるモノを持ち帰れるにゃん」
「わかったわ、その代わり絶対に無理はしないでね」
「にゃあ、最初からそのつもりにゃん」
谷底にオレにも手に負えないモノが潜んでいたら即行で逃げるから問題はない。




