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少女騎士たちにゃん

 ○フルゲオ大公国 クリムト 集積場


 バカみたいにデカい小麦の集積所の屋上から地上に下りて行くと見覚えのある女の子たちが集まっていた。

「あっ、マコト様!」

 ひとりがオレに気付いた。

「「「マコト様!」」」

 四〇人のドクサの騎士たちが駆け寄って来る。

「にゃあ!」

 抱っこされたのはオレだけどな。

 プロトポロスからクリムトの集積場に小麦を運んで来た少女騎士たちは、到着してからオレたちを待っていてくれた。

 オレと一緒に最初に小麦を運んでから三~四日置きに出発している。もう、危険はないが四〇人体制は維持していた。

 他所の脳筋のおっさんばかりの騎士団と違ってオレの騎士たちがいちばん可愛い。

「にゃあ、皆んな元気そうで何よりにゃん!」

 痩せ過ぎた身体もいまは健康的な肉付きになっていた。

「「「これもマコト様のおかげです!」」」

「にゃあ、そんなに褒められたら照れるにゃん」

 キラキラな瞳に見詰められて顔が熱くなった。



 ○フルゲオ大公国 クリムト 集積場 騎士団宿泊所


 クリムト名物にする予定の鉄板焼きが始まる。

 今回は猫耳ゴーレムに鉄板を任せてオレもテーブルに着いた。ビッキーとチャスもオレの隣に座った。

『『『ニャア』』』

 各テーブルで猫耳ゴーレムが鉄板の妙技を見せる。

「「「おおお!」」」

 オレなんかよりずっと上手だぞ。

 フランベもド派手にゃん。

「もえたね」

「ぼわっとなった」

 ビッキーとチャスが目を輝かせて調理担当の猫耳ゴーレムを見詰める。

「マコト、アポリトの領主の件ほぼ決まりだぞ」

 同じテーブルの大公陛下が教えてくれた。

「にゃ、そうにゃん?」

「王国側から打診があった、俺も隣をマコトが治めてくれるなら安心できる」

「にゃあ、陛下がそう言ってくれるのはうれしいにゃん、でもまだ人をグールとオーガにする仕掛けが動いてるにゃんよ」

「だからっていつまでも動いてるわけではあるまい?」

「大公国と同じ仕掛けだったら数千年はそのまま稼働するにゃん」

「隣でグール製造機が数千年も稼働するのか?」

「嫌すぎにゃんね」

「マコトが領主になったら、直ぐに対策な」

「にゃあ、ある程度様子を見てからにゃんよ、調査だけでもそれなりに時間がかかるにゃん」

 危ない城塞都市だって一つや二つじゃないわけだし。

「アポリトと言えば、ネコちゃんがグールとオーガを倒してからかなりの人数がこっそり入り込んだみたいね」

 ブランディーヌが教えてくれた。

「境界門を閉鎖したんじゃないにゃん?」

「守備隊の兵士の隙を突いたり袖の下を渡したり、何処も入り込むのはそう難しくないみたいね」

「何しに行ったにゃん?」

「火事場泥棒でしょうね」

「グールやオーガになる危険性を考えてないにゃん?」

「火事場泥棒だからな」

 大公も突き放してる。

「いまのところ境界門に戻って来た者はいないみたいね」

「にゃお、その情熱を他の所に回して欲しかったにゃん」

「いいんじゃない、グールになるなんてそうそうできる体験じゃないから」

 食事中のリーリは超テキトーだ。



 ○フルゲオ大公国 クリムト 集積場 倉庫


 食後の腹ごなし代わりにビッキーとチャスを連れて集積所の空いているフロアにアンジェリーヌから注文を受けた二〇〇〇頭の魔法馬を出した。

「「魔法馬!」」

 ビッキーとチャスは拍手してくれる。

「にゃあ、オプションの馬具はサービスにゃん」

「あ、ああ、助かる」

 アンジェリーヌは考え事か?

「どうかしたにゃん?」

「いや、魔法馬とはこんなに簡単に作れるものなのか?」

「にゃあ、この数だとオレも一から全部は作ってないにゃんよ、廃棄された魔法馬をベースにしてるにゃん」

 馬井戸で回収した魔法馬だ。

「これが、廃棄された馬なのか?」

 ペタペタと馬体を触る。

「にゃあ、どれもオリエーンス連邦時代の軍用馬にゃん。それを元に再生したから新品と変わらないはずにゃん」

「確かに新品だ。試しに乗ってもいいだろうか?」

「にゃあ、もう納品は済んだから好きにしていいにゃんよ、これを使えるのは大公国軍の兵士と騎士だけに限定してあるからその点は注意して欲しいにゃん」

「了解だ」

 アンジェリーヌは納品したばかりの魔法馬に飛び乗ると倉庫のスロープを駆け下りて行った。



 ○フルゲオ大公国 クリムト 集積場 倉庫 屋上露天風呂


 腹ごなしも済んだオレたちは、空中庭園の露天風呂に行って少女騎士の皆んなとゆったり過ごす。

「にゃあ、極楽にゃん」

「そうだね」

 リーリはオレの肩に座って足をバシャバシャさせてる。

「「ふう」」

 ビッキーとチャスもお風呂にはすっかり慣れた感じだ。

「にゃあ」

 お湯に浸かった四〇人の少女騎士たちの健康そうな身体を眺める。別にいやらしい気持ちが沸いてくるわけじゃない。健康チェックの一環だ。

 健康面の問題はなさそうだが、おっぱいの大きさが以前より個人差が大きくなってる気がする。

「皆んなはどうにゃん、変わりはないにゃん?」

 騎士たちに問い掛けた。

「まだ、毎日が驚きの連続といいますか」

「この前、ゴーレムの姿が突然変わったのもびっくりしました」

 普通のゴーレムを一斉に猫耳ゴーレムにしたときのことか。

「にゃあ、予告無しでバージョンアップさせたから、後でルチアに怒られたにゃん」

「銃も突然ミサイルランチャーが付いて訓練の時にびっくりしました」

「にゃあ、それもルチアに怒られたにゃん」

 強度的にも防御結界的にも問題はないが、屋内射撃場でぶっ放す代物ではないわな。

「にゃあ、そのうち対魔獣の訓練もやるにゃん」

「私たちが魔獣と戦うのですか?」

「どちらかというと魔獣から上手く逃げ切る訓練にゃん、あいつらしつこいから結局は戦うことになるけどにゃん」

「マコト様は魔獣と戦ったことがあるんですか?」

「にゃあ、あるにゃんよ、でも他所の人には内緒で頼むにゃん」

「マコトは強いよ、あたしが育てたからね!」

 リーリがオレの肩の上で全裸で仁王立ち。

「「「スゴいです!」」」

「まあね」

 リーリは少女騎士たちの尊敬の眼差しを集めてご満悦だ。

「マコトさまはスゴいの」

「スゴいよ」

 ビッキーとチャスも少女騎士たちに熱弁を振るっていた。


『にゃあ、オレにゃん』

 屋上の屋敷のソファーにもたれながらルチアに念話を入れる。

『マコト様、お疲れ様であります』

『にゃあ、今日王都を出て夕方にクリムトに到着したにゃん』

『メチャクチャ早いでありますね』

『途中から空を飛んで来たにゃん』

『飛翔は便利でありますね』

『にゃあ、ドラゴンゴーレムを使ったにゃん』

『流石であります』

『明日はプロトポロスに行くにゃん』

『お待ちしております、小官からもご相談したいことがありますので』

『にゃ、難しい問題にゃん?』

『いえ、入団希望者のことに付いてご相談いただければと』

『募集をしていたにゃん?』

『クルスタロスの代官殿からであります、パッセルを始め問い合わせが殺到しているのでどうにかしてくれと』

『にゃあ、クルスタロスの代官が窓口になってるにゃんね』

 クルスタロスの代官は事件後の冒険者ギルドのギルマスであるヤルマル・ベイアーが兼任している。と言うか押し付けた。

『プロトポロスは関係者以外の立ち入りを許可しておりませんので』

『にゃあ、クルスタロスの代官のところにも顔を出さないといけないにゃんね』

『そうであります』

『ルチアは、もっと人数が欲しいにゃん?』

『現状の業務的には十分足りておりますが、今後、小麦の販売量が増えるとなると増員が必要かと思います』

『にゃあ、戦闘訓練も疎かにはできないから増員は必須にゃんね』

『マコト様は、辺境伯軍は組織されないのですか?』

『辺境伯軍だったらもういるにゃんよ』

『えっ、そうでありますか?』

『にゃあ、城の中をウロチョロしてる猫耳ゴーレムがそれにゃん』

『そうでありましたか』

『にゃあ、猫耳ゴーレムはかなり強いにゃんよ』

『愛らしい見た目とは大違いなのですね』

 猫耳ゴーレムは経験と装備を共有してるから、敵対する魔獣であれ魔導師であれ戦うほどに強くなる。

『にゃあ、明日、クルスタロスの代官の所に寄ってから行くにゃんね、にゃあ、それとネコミミマコトの宅配便にゃん』

『総司令殿でありますね』

『にゃあ、そうにゃん、そっちも会うにゃん』

『かしこまりました、お待ちしております』


 念話を終えたオレは猫耳ゴーレムたちに囲まれていた。

『『『ニャア』』』

「一緒にお風呂にゃん?」

『『『ニャア♪』』』

 オレは猫耳ゴーレムたちに抱っこされて露天風呂に連れて行かれた。



 ○帝国暦 二七三〇年〇八月〇五日


 ○フルゲオ大公国 クリムト 集積場 ネコミミマコト司令部


 オレの騎士団との朝食の後、ネコミミマコトの宅配便の総司令バルドゥル・シャインプフルークに会いに行った。

 昨夜も夕食に誘ったのだがパッセルから戻る途中だったので間に合わなかった。そんなわけで朝イチでの面会だ。

「お久しぶりです、マコト様」

 黒髪でがっしりした体格はいかにも元軍人だ。顔も四角い。まだ五〇代半ばにしか見えない。

「にゃあ、まるで以前の面影がないので初対面みたいにゃんね」

 パッセルに元奴隷を率いてきたのがこの人なのだが、もう別人といっていい。

「別人のように健康になれたのもマコト様のおかげです。生き別れになっていた妻や息子たちとも再会が叶いました」

「にゃあ、良かったにゃん」

「マコト様に救っていただいた者たちも皆、感謝しております」

「皆んなの感謝は十分に伝わってるにゃん、ネコミミマコトの宅配便の発展ぶりを見ればわかるにゃん」

「マコト様にすべてお膳立てしていただいてるのです、これで業績を上げられなかったら無能もいいところです」

「にゃあ、頑張り過ぎは長続きしないからほどほどでいいにゃんよ」

「お心遣い感謝いたします」

 それからネコミミマコトの宅配便の馬車を増やしたり、新規の入隊者に銃を渡したりした。皆んなの目のキラキラ感がヤバいぞ。


「帽振れ!」

「「「おおおおおっ!」」」

 午前中の内にネコミミマコトの宅配便の隊員たちに熱烈に見送られてオレたちは猫耳ゴーレムたちを引き連れ五〇匹のドラゴンゴーレムでクルスタロスに向かった。



 ○フルゲオ大公国 クルスタロス州 州都パッセル クルスタロス守備隊 基地


 馬車だと空間圧縮の魔法を使って五~六時間だがドラゴンゴーレムなら一時間のフライトでクルスタロスの州都パッセル上空に到達した。


 実際に着陸したのはパッセル手前の旧大公国軍の前線基地跡だ。

 現在はクルスタロス守備隊の基地になってる。

 実質、ネコミミマコトの宅配便だけどな。

 最初に造った三〇棟の簡易宿泊所は半分ほどの稼働率で、近隣の身寄りのない爺ちゃん婆ちゃんに孤児たちを受け入れていた。

 要は食うに困ってる人は何でもござれだ。その代わり単なる怠け者は守備隊で根性を入れ直している。


「よう、マコトに妖精さん、元気そうで何よりだ、チビふたりは可愛くなったな」

 出迎えてくれたのは身長二メートルの筋肉で大男のダミアーノだ。前大公の弟なわけだがどこからどう見ても冒険者なのは以前と変わらない。

「にゃあ、ダミアーノの筋肉は相変わらず凄いにゃん」

「鍛えてるからな」

「あたしも筋肉あるよ!」

 オレの頭の上で力こぶを作って張り合うリーリ。

「「こんにちは」」

 ビッキーとチャスがペコリと頭を下げる。

「おお、子供も可愛いものだな」

 ふたりの頭を撫でる。

「にゃあ、早く結婚することをオススメするにゃん、大公陛下にオレからもお願いしておくにゃん」

「いやその前に少し俺の仕事を減らしてくれ」

 大公にいろいろ役職を押し付けられてるダミアーノにオレもクルスタロス守備隊の隊長をねじ込んでいる。

「にゃあ、だったら隊長を辞めるにゃん?」

「いや、辞めるなら内務大臣だ」

「それをされたらオレが大公陛下に怒られるにゃん」

「クルスタロスの守備隊はバルドゥルと一緒に最強の守備隊を目指してるからな、中途半端では抜けられない」

 ぐっと拳を握る。

「ほどほどに頼むにゃん」

「マコトの武器を使ってるから、いつ王国が襲って来ても負けない程度には仕上がってるぞ」

「随分と早く形になったにゃんね」

「隊員たちは命を救ってくれたマコトの領地を守るとあって士気が高いからな。それに元騎士も多いから技量もなかなかのもんだぞ」

「頼りになるにゃんね」

「ああ、頼りになるぞ。それと守備隊の入隊希望者がかなり来てるんだがどうする?」

「にゃあ、守備隊にも来てるにゃんね」

「装備も宿舎も報酬もいいからな」

 オレの感覚からするとブラックだが。

「にゃあ、オレに忠誠を誓ってくれるなら後はダミアーノに任せるにゃん」

「それなら助かる」

「忠誠の契約魔法はオレの代わりに猫耳ゴーレムが使えるからいつでもいいにゃん」

「本当か?」

「にゃあ、その代わりオレや領地に悪意あるヤツはちょっと頭の中を弄るにゃんよ」

 危険排除の為なので躊躇しない。

「排除しなくていいのか?」

「にゃあ、使える人間は使う方針にゃん」

「わかった、マコトの判断に従おう」

「にゃあ、どうせだから隊員専用の宿舎も建てておくにゃんね、家族用も有ったほうがいいにゃんね」

「すぐには使わないだろうがな」

「にゃあ、備えあれば憂い無しにゃん」


 官舎はいつもの従業員寮だ。

 それからダミアーノのリクエストで演習場や馬場などの基地の付随施設を作りまくる。

 こちらでも装備も魔法馬と馬車も追加した。


「普通に大公国軍より装備が上だな」

「にゃあ、大公国は宮廷魔導師がヤバいから何があっても大丈夫にゃん」

「ああ、確かにあいつらはいろんな意味でヤバい」



 ○フルゲオ大公国 クルスタロス州 州都パッセル 市庁舎


 守備隊の用事が済ませたオレたちはパッセルの市庁舎に行く。

「お待ちしてましたマコト様」

 クルスタロスの代官で冒険者ギルドのギルマスであるヤルマル・ベイアーが丁寧にお辞儀してくれる。

 こっちもダミアーノのほどの大男ではないが、モーニングスターとか似合いそうなおっさんだ。

「にゃあ、お疲れ様にゃん」

「久し振り!」

「「こんにちは」」

「妖精殿にそちらのチビちゃんたちもお変わりなく」

「うん、あたしはここ五~六〇〇〇年は変わってないよ!」

「流石です」

 本当なのか?


 市庁舎と言う名前だがクルスタロスの領主館の役目も果たしている。

 領主の居城の有った辺りは既に麦畑だしな。

 ちなみに当初の予定では人間に耕せる様にしたのだが、肝心の農民がいなかったのでそのままゴーレム用に変更してしまった。世の中なかなか思うようにはいかない。


 市庁舎の代官の執務室でオレたちはクルスタロスの領地経営に関して話し合う。

「にゃあ、ぶっちゃけ領民から税金を取らなくてもやっていけるにゃんね」

「小麦の収入だけでも莫大な額になります」

「にゃあ、それにいろいろ没収した分もどっさりあるにゃん」

「微々たるものですが商業ギルドと商店が軒並み潰れたのもありますね」

「商店は猫耳ゴーレムたちに代行させてるけどどうにゃん?」

「領民からは値段が下がったので喜ばれていますが、一体どこから仕入れられてるのですか」

「にゃあ」

「作ってるんだよ」

 オレが誤魔化す前にリーリがバラしてしまう。

「すべて作ってるのですか?」

「にゃあ、プロトポロスでも使うから一緒にこしらえてるだけにゃん」

「そうでしたか」

「にゃあ、商品のリクエストが有ったら商店の猫耳ゴーレムに伝えて欲しいにゃん」

 商品の取り寄せは格納空間でのやり取りができる猫耳ゴーレムなら対応可能だ。

 それに大概のモノはその場で作れる。

「出来ましたら、店員を何人か雇っていただけますでしょうか?」

「にゃあ、だったら冒険者ギルドに依頼を出す形で見繕って欲しいにゃん」

「では、冒険者の登録が必須と言う形で」

「にゃあ、人手が足りないところには同じ形で募集して欲しいにゃん」

「かしこまりました」

「次にドクサ騎士団の入団希望者にゃんね」

「いっぱいいるんでしょう?」

「そう聞いたにゃん」

「はい、他の領地からも貴族の子弟を入れたいと申し出が来ております」

「にゃあ、随分と情報が早いにゃんね」

「情報は貴族の武器ですから」

「でも、オレの騎士団に入っても自分の領地に利益にはならないにゃんよ?」

「そこは理解してないと思います、彼らはマコト様の魔法を直に見てませんから」

「にゃあ、この場合はどうしたらいいにゃん?」

「入れちゃえばいいじゃない? どうせ忠誠を誓わせるんだから」

「妖精殿の仰る通りです」

「わかったにゃん、それで何人ぐらい応募があるにゃん?」

「二〇〇〇程度かと」

「オレの騎士団は女子のみにゃん」

「すると八〇〇程度になります」

「未経験者は一八歳以下にゃん、騎士や軍隊経験者は年齢制限は設けないにゃん」

「残りは五〇〇程度でしょうか?」

「漏れた人にはネコミミマコトの宅配便でいいなら採用するにゃん、バルドゥルに増員を頼まれていたにゃん。もちろん忠誠は誓ってもらうにゃんよ」

「わかりました、ではその様に取り計らいいたします」

「にゃあ、頼んだにゃん、それからパッセルに代官の公邸を建てるにゃん」

「公邸ですか?」

「それと市庁舎で働いている人の官舎にゃんね、パッセルの中で使える土地はあるにゃん?」

「それでしたら、逃げ出したり捕らえられた富裕層の区画が放置されたままになっていますので、そちらをお使い下さい」

「にゃあ、そこを使うにゃん、使用人は冒険者ギルドで依頼する形でいいにゃん?」

「お願いなのですが」

「にゃ?」

「料理人はマコト様のゴーレムをお貸し願えないでしょうか?」

「にゃあ、だったら公邸と官舎全体をホテルぽい感じにして猫耳ゴーレムを何人か常駐させるにゃん」

「助かります、全員独り身なものですから」

「変な貴族の娘を押し込まれる前にブランディーヌ様に頼んでおくにゃん、代官もそろそろ身を固めた方がいいにゃんよ」

「いえ、私は婚約者がおりますので」

「ええ!?」

 妖精は驚きすぎだ。

「にゃあ、だったらもう結婚したらいいと違うにゃん? 守備隊を使って迎えに行くといいにゃんよ」

「ありがとうございます」


 そんなわけで代官の為に公邸+官舎を以前のお屋敷街にぶち立てた。

 プリンキピウムのホテルがベースにゃん。

 地下はトンネルで連結する。

 増産した魔法蟻を投入した、

 途中、記憶石板がどっさり埋まっていたので回収した。

 面白いところでは魔法騎士の育成マニュアルがあった。それにいろいろな魔導具の設計図などが雑多に埋められていた。

 大昔はクプレックス州も大公国の領地だったらしいからこっちに魔法騎士の育成マニュアルあってもおかしくはないにゃんね。

 魔導具の設計図はともかく魔法騎士の育成マニュアルは利用させてもらおう。


「にゃあ、こんなものにゃんね」

「うん、いい出来だよ」

 公邸屋上のペントハウスはオレのだ。

「次は、プロトポロスにゃんね、おまえたちはクルスタロスを頼むにゃん」

『『『ニャア!』』』

 ここまで一緒に旅をしてきた猫耳ゴーレムたちはクルスタロスでの任務に就いて貰う。猫耳ゴーレムは全員で知識と経験を共有しているのでどこにいても寂しくはない。

「にゃあ、後は頼んだにゃん」

「「「バイバイ!」」」

『『『ニャア!』』』

 一六〇体の猫耳ゴーレムたちに見送られ、オレたちは屋上からドラゴンゴーレムに乗って上空に舞い上がった。

 猫耳ゴーレムたちに手を振ってプロトポロスに向かった。


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