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州都キパリスに行くにゃん

「マコト殿、この度は我が部下を救っていただき感謝いたします」

 騎士たちの治療が一段落したところで、クプレックス魔法騎士団の指揮を取った副団長ベネディクト・エイムズがオレの前で頭を垂れた。

 見た目はガタイのいい高校球児って感じだが、たぶん三〇近いのだろう。

 若く見えるだけあって魔力の大きさはかなりのものだ。

「にゃあ、全員無事で良かったにゃん」

「これもマコト殿とゴーレムたちのおかげです」

『『『ニャア』』』

「そうでもないって言ってるにゃん」

 いま猫耳ゴーレムのご褒美タイムで順番にオレを抱っこしてスリスリしている。

 明日への活力らしいので好きにさせる。

「「きゃあ」」

 オレを心配して駆け寄ってきたビッキーとチャスも猫耳ゴーレムたちに掴まってスリスリされてる。

 ビッキーとチャスにも非常用の魔法馬が渡してあった。

「アーヴィン様には聞いておりましたが、凄まじい魔力でありますね」

「にゃあ、堅苦しい敬語は抜きで頼むにゃん」

「ですが」

「にゃあ、こう見えて本業は冒険者なので気軽に接して欲しいにゃん」

「本当は、あたしの専属料理人だけどね」

 リーリが訂正する。譲れない一線らしい。

「はあ、わかりました、あっ、いや、わかった」

「超大型ゴーレムから出て来た男、副団長は誰か知らないにゃん?」

「あれは、紛れもなくアポリト州の領主ファビオ・カンデイユだ」

「にゃあ、パンチ一発で送っちゃったにゃん、もっとぶっ飛ばせば良かったにゃん」

『『『ニャア』』』

 猫耳ゴーレムたちから意見が出た。

「そうにゃんね、ミサイルはいっぱい当たったにゃんね」

「マコト殿がファビオ・カンデイユを討伐したことは私からも報告しておく」

「にゃあ、一つ心配なのはキパリスの地下にある遺跡にゃん、カンデイユの遺跡と対になってる可能性があるから気を付けるにゃん」

「そちらも直ぐに確認させよう」

 副団長と話しているうちに猫耳ゴーレムたちのスリスリタイムが終了した。

「にゃあ、お疲れにゃん、また頼むにゃん」

『『『ミャア』』』

 仕事を終えた猫耳ゴーレムたちを消そうとしたら悲しそうな声を出した。

「にゃあ?」

『『『ニャア!』』』

 どうやら格納空間での待機は嫌らしい。

「だったら、おまえらも一緒に行くにゃん?」

『『『ニャア♪』』』

 後から出した猫耳ゴーレムたちもそのまま連れて行くことにした。

 前からいた分も併せて一六〇体の大所帯になった。


 オレはビッキーとチャスそれに大勢の猫耳ゴーレムたちを引き連れてハリエットの待つ馬車に戻る。


「マコトもクプレックスの魔法騎士たちも無事で何よりだ」

 ハリエットがホッとして笑みを浮かべた。

「にゃあ、魔獣の森が出来なくて何よりにゃん」

「マコトはやはり魔獣が狩れたのだな」

「にゃあ、生まれたてだから何とかなったにゃん」

「そういう事にしておくか」

 ハリエットが肩をすくめる。

「にゃあ」

「マコトと一度手合わせしたいものだ」

「にゃあ、王都に着いたらいいにゃんよ」

「では、吾輩の屋敷に招待しよう」

「じゃあ、ネコちゃんとビッキーちゃんとチャスちゃんは私のお部屋でお泊りね」

 頬をポッとさせるキャサリン。

「危険なので却下です」

 エラが冷たい感じで言い放つ。

「えーっ、何で?」

 キャサリンとエラがやりあってる横でリーリがオレの顔に張り付いた。

「マコト、バーベキューしたい」

 甘えた声でおねだりが入った。

「にゃ、いまにゃん?」

「だっておなか空いた」

「にゃあ、それもそうにゃんね」

 魔法騎士たちもおなかを空かせてる様なので、バーベキューパーティーを開催することにした。


 クプレックスの魔法騎士が三〇〇人と守備隊二〇〇人を一六〇体の猫耳ゴーレムでおもてなし。

「「「美味い!」」」

「冷えたビールもいっぱいあるにゃんよ」

 オレもエプロンを付けハリエット班を担当してバーベキューコンロで肉を焼く。ビッキーとチャスもオレの横でお手伝いをしてくれてる。

「相変わらずマコトの料理は最高であるな」

「あん、ネコちゃんを妹にして毎日ご飯を作って貰いたい」

「妹はともかくご飯を作って貰うのは賛成です」

 アーヴィン様もキャサリンもエラもビール片手にご機嫌だ。

「マコトは誰にもあげないからね!」

 リーリはリスの様にお肉でほっぺを膨らませていた。

 ちなみにプリンキピウムの森にいるリスもお肉大好きだ。

 えっ、おまえ、本当にリスなの!?って叫びたくなる大きさだけどな。

 獲物の頭を掴んでポリポリ食べてる姿はなかなかのトラウマものだ。

「にゃあ、ハリエット様はどうにゃん?」

「出来れば私もマコトを側に置いておきたい」

「にゃあ、そっちじゃなくてお肉の味にゃん」

「ああ、とても美味しいぞ」

「にゃあ、それは良かったにゃん」

 そこにクプレックス魔法騎士団の副団長ベネディクトが来た。

 ビールで少し顔が赤い。

「失礼します、ハリエット様に我が主グエンドリン・ナルディエーロから伝言がございます」

「ご苦労、何だ?」

「是非キパリスの居城にお立ち寄り下さいとのことです、またマコト殿にもキパリスの地下遺跡を診ていただきたいとのことです」

「わかった、マコトはどうする?」

「もちろん見せて頂くにゃん」

「では、後ほど伺うと伝えて欲しい」

「かしこまりました」

 敬礼して自分たちのテーブルに戻って行った。


 バーベキューパーティーの後は全員にウォッシュを掛けて油っぽさとアルコールと疲れを洗い落として出発する。



 ○クプレックス州 州道


 クプレックス魔法騎士団が先に進み、その後をオレたちの馬車と猫耳ゴーレムの騎乗した魔法馬、そして追加した猫耳ゴーレムたちが四頭立ての馬車一四台に分乗して続く。

 守備隊の隊員たちはしばらく境界門に駐屯するので、その準備のために近くの城塞都市に残るらしい。

 アーヴィン様とキャサリンとエラはオレの馬車に乗ってる。

 オレはキャサリンに抱っこされてるわけだが。

「にゃあ、麦畑にゃん」

 草原から一面の麦畑に風景が変わった。

「「わあ」」

 ビッキーとチャスも目を輝かせる。大公国のオレの作った麦畑と違ってこちらのは人の手で耕された本物だ。アルボラ州に比べても規模が段違いに大きい。

「クプレックス州は王国でも屈指の穀倉地帯だ。品質も良く王都にその多くが出荷されている」

 ハリエットが解説してくれる。

「にゃあ、見事な麦畑にゃん」

 それから牧場が見える。

 でも、本当に牧場なのか?

「にゃあ、牧場みたいなのは何にゃん?」

「ヤギの牧場だ、プリンキピウムの獣ほどではないが危険なので厳重に結界が張られているそうだ」

「にゃあ、あれが犯罪奴隷を使って飼ってるっていうヤギにゃんね」

「実際にはそこまで酷くはないけど冒険者の次くらいに危険な仕事みたいよ」

 キャサリンが教えてくれる。

「ヤギは美味しいの?」

「ヤギそのものよりチーズの方が有名ね」

「「チーズ!」」

 ビッキーとチャスはチーズが大好物だった。

「ヤギの肉は干し肉にされるのです」

 冒険者御用達だ。

「にゃあ、ヤギのチーズだったら買ったことがあるにゃん」

「あっ、ヤギだ!」

 オレの頭の上でリーリが叫んだ。

「にゃあ」

 オレの知ってるヤギよりもずっと大きくて筋肉質だった。

 これは確かに乳搾りだけでもヤバそうだ。


 日が暮れて野営することになった。



 ○クプレックス州 州道脇


 魔法騎士団三〇〇騎は道端にテントを出す。

 オレたちも馬車を使ってテントを作る。ロッジは流石に目立ち過ぎる。

 猫耳ゴーレムの騎士たちはそのまま警備を続行。

 その他の猫耳ゴーレムたちはテントを作ったがその上に鈴なりになってる。

「おまえら、テントの中に入らないにゃん?」

『『『ニャア♪』』』

「にゃあ、そこがいいならいいにゃんよ」

『『『ニャア♪』』』

 何故かオレも引っ張り上げられてテントの上で寝ることになった。

「「マコトさま!」」

 ビッキーとチャスも付き合ってくれる。

 強力な防御結界があるからどこで寝ても関係なしだけどな。

 麦の甘い匂いは嫌いじゃないのでこれも乙なものだ。



 ○帝国暦 二七三〇年〇七月三〇日


 ○クプレックス州 州都キパリス 市街


 魔法騎士団もかなりスピードを出していたので、オレたちは翌日の夕方にはクプレックス州の州都キパリスに到着した。

 州都そのものはこじんまりとしていたが、城壁も街道もピカピカでメンテナンスと清掃が行き届いていた。

 猫耳ゴーレムたちは騎士団本部で預かって貰い、オレたちはまっすぐ領主の待つ城に向かった。

 御者台にはキャサリンとエラが座る。

 戦闘ゴーレムの持ち込みはマナー違反になるので仕方ない。



 ○クプレックス州 州都キパリス キパリス城


 クプレックス州の領主グエンドリン・ナルディエーロの居城は、高い場所でも三階建てで広大な敷地に大きく広がっている。オレの感覚だと城というより文化施設みたいな外観だった。

「きっと高さ制限でもあるにゃんね」

「「「……?」」」

 本来ならオレはハリエットの護衛枠なのだが、今回は来賓扱いらしい。ビッキーとチャスもオレと一緒に扱ってくれる。リーリはいつもの縁起物枠だ。

 城内での案内もそのまま副団長がしてくれる。

 アーヴィン様一行は客人扱いだった。ここの領主とは親しいらしい。

 オレはビッキーとチャスを連れハリエットの斜め後ろを歩く。

 それにしても廊下デケー!

 薄暗いのは演出っぽい。

 向こう側がはっきり見えないのは認識阻害の結界も使ってる。

「これまででいちばん魔法が使われてる建物にゃん」

「いや、いちばんはマコトのホテルだぞ」

「吾輩も同感である」

 ハリエットとアーヴィン様に突っ込まれた。

「にゃお」


 通されたのは謁見の間ではなく応接室の豪華版みたいなところ。

 そこに待っていたのが、クプレックス州の領主グエンドリン・ナルディエーロ伯爵だった。

「お久し振りです、ハリエット様」

 おお、鍔の広いとんがり帽子だ。

 グエンドリンは魔法使いの帽子を被った中学生ぐらいの可愛い女の子。今年十九歳らしいから魔力の影響なのは間違いない。

 カティより年上だが年下に見える。

 残念ながら冒険者ギルドへの就職は無理っぽいお胸だが、魔女っ娘っぽい衣装は似合っている。

 ところでこの魔女っ娘っぽい衣装、カズキの犯行じゃないのか?

 Kaz★Pon!先生の漫画で見た気がする。

 今度、カティにも着せるように言っておこう。

「グエンドリン殿、今回は迷惑を掛ける」

「いいえ、我が領の危機を救っていただき感謝いたします」

「それは、こちらのマコトに言ってやってくれ。私も助けられた口だ」

「はい、マコト様のご活躍も報告を受けております、ありがとうございました」

 深くお辞儀する。

 日本ぽいのは転生者たちの影響だろうか?

「にゃあ、領主様が敬語はヤメて欲しいにゃん」

「ですが、マコト様も間もなく領主になられますよ」

「にゃ?」

「おお、そうか、王国の法に照らし合わせればマコトがアポリト州の領主となるのであったな」

 アーヴィン様も手を打った。

「にゃ? にゃ?」

「私がマコト様を推挙いたします」

 グエンドリンは何を言ってる?

「無論、吾輩からも推挙しよう」

 アーヴィン様も。

「では、私からも」

 ハリエットまで賛同した。

「「はい」」

 ビッキーとチャスもうなずいてる。

「にゃあ、何でオレがアポリト州の領主になるにゃん?」

「大義を持って領主を討った者にその領地が与えられる。悪しき者を排除する王国の法だ」

 ハリエットが説明してくれるがピンと来ない。

「随分と乱暴な法律にゃんね、適当な理由でもヤレそうにゃんよ」

「いや、不正が簡単にまかり通るほど簡単ではない、前回この法が適用されたのは一〇〇年以上前になる」

「にゃあ、今回は一〇〇年ちょっと振りの椿事にゃんね」

「前代未聞であろう、自ら領地を滅ぼし他領に攻め込んだのだ。ヤツを討ち取ったマコトの行いに文句を付けるヤツはおるまい」

 アーヴィン様はマジでオレを領主にするつもりなのか?

「にゃあ、グエンドリン様はいらないにゃん?」

「私が名乗りを上げたら騎士たちに軽蔑されてしまいます」

「にゃお」

 魔法騎士団の皆んなはキラキラした目でオレを見てたから下手なことは言えないか。

 騎士だけ有って脳筋だし。

 魔法が強いヤツが偉いみたいな風潮があるっぽい。

「壊滅したアポリトには王国の欲しがりの貴族も手は出せまい、マコトがやらねば盗賊の巣窟になるぞ」

 アーヴィン様が六歳児にむちゃぶりをする。

「盗賊の巣窟はないにゃん」

「何故であるか?」

「アポリト州には、人間をグールやオーガに変える呪法がまだ生きてるにゃん、下手に入り込んだら大変なことになるにゃん」

「なんと本当であるか?」

「にゃあ、オレは確認してないけど間違いないと思うにゃん、だからしばらくアポリト州は立入禁止にした方がいいにゃん」

「いよいよマコト以外には扱えない土地になったわけだ」

「そうですね、マコト様なら良き領主になるでしょう」

 アーヴィン様もグエンドリンもオレの話を聞いてない。

「にゃあ、六歳児の仕事じゃないにゃんよ」

「諦めろ、マコト」

 ハリエットが一言で締めくくってしまう。

「にゃあ、わかったにゃん、領主になったらその時に改めて考えるにゃん」

 冷静に考えると条件が揃っていても王宮の貴族たちが六歳児を領主にするとは思えない、どこぞの大公陛下じゃないんだから。

 欲しがりの貴族が出てきたところで小銭を貰って引っ込むのが現実的だろう。その貴族がグールになってもオレは知らんけど。

「グエンドリン殿、この城の地下に遺跡があると聞いたが本当であるか?」

「はい、確かにございますが、あるとわかっているだけで発掘などはいたしておりません」

「やはりあるようだぞ、マコト」

「にゃあ、発掘されていないなら少しは安心にゃん」

「少しだけなのですか?」

「ファビオ・カンデイユは、大昔に作られた国を滅ぼす呪法を自分の領地で使ったにゃん」

「キパリスの遺跡にも同じ種類の呪法が埋まっているかも知れないのですね?」

「そうにゃん、キパリスの遺跡は起動したカンデイユと対になる遺跡にゃん、今回の件で起動したか否かの確認は必要にゃん」

「先祖から『キパリスの遺跡には触れてはならぬ』と申し渡されておりましたから、私の代に至るまで調査すらされていませんでした」

「下手に弄ったら危険な代物なのは間違いないにゃん、ご先祖様はいい判断をしたと思うにゃん」

「たいがい触るとドッカーン!だもんね」

 リーリがオレの頭の上であぐらをかいて頷く。一緒にビッキーとチャスもうなずいた。

「ファビオ・カンデイユの目的は何だったのでしょう?」

「にゃあ、大公国とアポリトとクプレックスの人間を根絶やしにすることにゃん、少なくとも自分は死霊の親玉みたいのになっていたにゃん」

 理性を呪法に喰われて最期はあのざまだったわけだ。

「では、大公国の死霊の件も?」

「間違いなくヤツが絡んでるにゃん」

 第一公子の件はややこしくなるから伏せる。

「マコト様、この地下には、いったい何が埋まってるのでしょう?」

 グエンドリンは不安そうな表情を浮かべる。

「にゃあ、国が敗れた時に使う禁忌の呪法であることは間違いないにゃん、国ごと侵略者を滅ぼすにゃん大規模な魔法にゃん」


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