表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
120/357

クプレックス州の境界門にゃん

 ○帝国暦 二七三〇年〇七月二九日


 夜明け前にロッジの屋上からまたグールとオーガを乱獲した。

「おお、やるね」

 今回はリーリも付き合ってくれてる。

 方向を絞っての超長距離とかもできるようになったので、最終的にはグールを一〇万匹、オーガは一万匹を狩り尽くした。

 もうアポリト州とその近郊にグールもオーガも反応はない。

「対策の手順が出来てるとこいつらも大したことないにゃん」

「死霊と同じだね」

「にゃあ、死霊と違うのはちゃんと生きていた人間が犠牲になったことにゃん」

「死霊の材料は魂だもんね」

 オパルスの図書館で見た記録によるとアポリト州の人口は約三八万人。

 ここ数年の人口流出と最近の避難民で人口はかなり減っていたろうが、少なくない数の領民が犠牲になったようだ。

 大公国の元貴族に盗賊に賞金稼ぎ、それに犯罪ギルドのチンピラたちが大半だろうが、何の罪もない人もいたはずだ。

 天に還った魂が来世では幸せになることを祈る。

 領民が消え、アポリトの領主も音信不通らしいし領地としてはほぼ壊滅状態だ。

「怖いのは、いまだグールとオーガを生み出した仕掛けが不明ということにゃん」

 都市に何か仕掛けられてる可能性が高いが、いまそれを確認する余裕はない。

 いくつかの城塞都市に探査魔法を打ったが特に不審な反応はなかった。やはり現地に赴いて調べないとわからない。

「人がいないなら、グールもオーガも出ないんじゃない?」

「それはそうにゃんね」

「だったら、放置でいいんじゃない?」

「にゃあ、いまはそうせざるをえないにゃん」

 危険しか無いアポリトの都市に立ち寄るつもりなどないので、オレたちはこのままクプレックス州に向かう。

 アポリトのことは王国の宮廷魔導師にでも任せればいい。


 ロッジのダイニングで朝食を食べてる最中にハリエットに通信が入った。

「なに、本当か!?」

 ハリエットが立ち上がってリビングの隅に行った。

 何か緊急事態発生らしい。

『やあ、マコト』

 オレのところにもカズキから念話が入った。

『にゃあ、領主様にゃん、おはようにゃん』

『あたしもいるよ!』

 空かさずリーリが割り込んで来た。

『妖精さんも元気そうで安心したよ』

『にゃあ、何か有ったにゃん?』

『グールとオーガが消えたらしいけど、それってやっぱりマコトの仕業かい?』

『にゃあ、聖魔法の濃度を上げて強制的に天に還って貰ったにゃん、聖魔石が手に入ったからまたちょっと儲かりそうにゃん』

『聖魔石!?』

『にゃあ、これにゃん』

 サンプルをじゃらっとカズキの格納空間に入れてやった。

『ああ、マコトのがボクの中にいっぱい入って来たよ』

『流石Kaz★Pon!先生にゃん、息を吐くようにエロいにゃん』

『まあね、って、うわ、マジモノの聖魔石だ!』

『上物だよ』

 リーリが太鼓判を押してくれる。

『とにかく預かっておくよ、それよりマコトに連絡したのはフリーダ経由で情報が入ったからなんだ』

『にゃあ、あんまりいい知らせじゃないにゃんね?』

『そうなんだ、アポリト州の第二の都市カンデイユで、超大型のゴーレムが動き出したらしい』

『超大型にゃん?』

『報告では、カンデイユの城と同じ高さらしいから、身長が一〇〇メートル越えてるみたいだね』

『なにげにカンデイユの城も大きいにゃんね』

『カンデイユの城は領主の居城なんだよ』

『にゃあ、居城は州都じゃないにゃん?』

『アポリト州は大公国で持ってる州だったからね、行政機能はより近いスプレームスにあった方が便利だったんだろうね、いまは無人らしいけど』

『城はどうなったにゃん?』

『崩れ落ちたみたいだね、遠見の魔法使いが観測した結果、街ごと陥没したらしい』

 どこぞの大公国より派手にゃん。

『そこの領主様はまだ見つかってないにゃん?』

『アポリトの領主ファビオ・カンデイユ伯爵はいまだ行方不明のままだよ』

『にゃあ、何か怪しいにゃんね」

『このファビオ・カンデイユ伯爵って何年も前からカンデイユの城の下にある遺跡を掘っていたから、今回の超大型ゴーレムはその出土品なんじゃないかな?』

『にゃあ、それってグールとオーガ大量発生事件も関係あると違うにゃん?』

『無関係にしてはタイミングが揃っているよね、死霊事件の前に大公国にも頻繁に出入りしてたらしいし」

「にゃお」

 死霊事件にも関連している可能性もあるのか。

『にゃあ、それで肝心の超大型ゴーレムはどんな感じにゃん?』

『各方面から観測の結果、どうやらクプレックス州の方向に進んでるみたいだね』

『にゃあ、地図上の距離からすると超大型ゴーレムの方が境界門に近いにゃん』

『マコトは何処にいるんだい?』

『ヴェルーフ山脈を越えた森の中にゃん』

『だったら、そこで様子見がいいかもね』

『オレも加勢しなくていいにゃん?』

『超大型ゴーレムはアポリト州とクプレックス州の問題だからマコトが介入する必要はないよ』

『クプレックス州は対処できそうにゃん?』

『大丈夫じゃないかな、なんたってクプレックスの魔法騎士は王国でも屈指の強さだし、彼らの活躍の場を残すべきだろうね』

『にゃあ、それもそうにゃんね、デカいだけのゴーレムなら負けないはずにゃん』

『超大型ゴーレムは離れてるしグールとオーガも片付いたわけだし、アルボラからレークトゥス州に抜ける街道は使っても大丈夫かな?』

『グールとオーガが全部消えた保証はないにゃんよ』

『マジで?』

『マジにゃん、そもそも大発生の仕掛けがわかってないにゃん』

『するともうしばらくは門は閉鎖しておくしかないみたいだね、他にもアポリト州との間に境界門がある領地には連絡しておくよ』

『にゃあ、頼んだにゃん』


 オレが念話を終えるとハリエットも通話を終えたらしくこっちを向いた。

「マコトにも誰かから連絡があったのか?」

「にゃあ、アルボラ州のカズキ様にゃん」

「私のところは国軍総司令部からだ」

「にゃあ、カンデイユの超大型ゴーレムのことにゃん?」

「それだ」

 ハリエットの得た情報もほぼ同じものだった。

 出処は一緒なのかも。

「それでどうする?」

「にゃあ、オレはカズキ様のアドバイスに従ってここに留まるのがいいと思うにゃん、ハリエット様はどうにゃん?」

「可能ならば、その超大型ゴーレムを見てみたい」

「危ないにゃんよ」

「そこまでは近付かない」

「あたしも見たい!」

 リーリもおねだりする。

「「見たい!」」

 ビッキーとチャスも賛同した。

「にゃあ、遠くから見るだけにゃんよ」

「恩に着る」

「「「わーい!」」」

「このままだと超大型ゴーレムが先にクプレックスの境界門に到着するから、オレたちも急ぐにゃん」

「そうだな、できるならクプレックスの魔法騎士の勇姿が見たい」

「にゃあ」



 ○アポリト州 森林


 オレたちは予定よりピッチを上げて森の中をクプレックス州の境界門を目指して馬を進めた。


 魔法馬を走らせながら超大型ゴーレムのいる方角に向けて探査魔法を打ちまくって調べてみた。

 石で出来てる以外のことが何もわからない。

 棒みたいなのを想像していたのだが、実際はでっぷりとしたプロポーションの重量級だった。

 高さ一〇〇メートルの岩山が二足歩行しているのがスゴい。

 しかも軽やかに歩いてるっぽい。

 こんなの体当たりを食らっただけでただじゃ済まない。

 分解できなかったので純粋なゴーレムではないようだ。

 金で出来てるなら頂戴したいところだが、石だしな。

「マコト、何かわかったのか?」

 ハリエットが馬を隣に寄せた。

「超大型ゴーレムがヤバそうなことだけはわかったにゃん」

「どうヤバいんだ?」

「にゃあ、どうやって動いてるのかさっぱりわからないにゃん、その上、本当にデカいにゃん、超大型はだてじゃないにゃん」

「するとクプレックス州の魔法騎士たちでも苦労しそうなのか?」

「オレはそう予想するにゃん、大きさだけでもかなり手こずりそうにゃん」

「我々は魔法騎士たちのお手並み拝見だな」

 ハリエットは見物を決め込むようだ。オレも異論はない。

「魔法騎士って格好いいにゃんね」

「普通は剣も魔法も中途半端になるから育成に二の足を踏むのだが、クプレックスでは古くから魔法騎士に力を入れてる」

「にゃあ、クプレックスにはオリジナルの育成法があるにゃん?」

「魔法騎士学校がクプレックスの州都キパリスにある。誰でも受け入れてくれるが卒業までには大半が脱落するらしい」

「厳しいにゃんね」

「マコトも入っちゃう?」

 リーリが無責任に勧めてくる。

「にゃあ、厳しいのは嫌にゃん、ごはんも不味そうにゃん」

「それはあたしも嫌だな」

「「わたしもいやっ!」」

 リーリとビッキーとチャスはごはんが最優先らしい。リーリはともかくビッキーとチャスは将来的に魔法騎士になれる程度の実力は付くだろう。

「平民でも騎士になれるとあって他の領地からの応募も多いらしい、入学できるのはほんの一握りだが」

「それで卒業できるのもほんのちょっとにゃんね?」

 狭き門すぎる。

「それ故の強さだ、近衛より上だろう」

「近衛軍より強いにゃん?」

「あいつらは個人は底なしに強いが連携がまるでダメだ、騎士団としての強さは中の上ぐらいだ」

「何か弱くて残念にゃん」

「王国軍は?」

 無邪気に問うリーリ。

「下の中ぐらいだ、徴兵された農民よりはいくらかマシな程度だ」

「それもまた困ったことにゃんね」

「マコトに金を借りればいくらかマシになるだろう」

「にゃあ、期待してるにゃん」


 オレたちの魔法馬は藪を刈りながら進む。


『マコト、無事か?』

 フルゲオ大公国のレオナール大公陛下から念話が入った。

『にゃあ、いまのところは無事にゃん』

『オーガが一瞬で消えたが、マコトの仕業だろう?』

『そうにゃん』

『おかげで境界門を壊されずに済んだし侵入も防げた』

『無事で何よりにゃん、でもグールとオーガを作る呪法は生きてるからアポリト州には入らないほうがいいにゃんよ』

『それはウチの魔導師どもも言っていたし、さっきカズキからも聞いた』

『にゃあ、知り合いだったにゃん?』

『お隣さんだからな、以前からそれなりに付き合いがあるし、アルボラとの境界門が開いたから話す機会が増えた』

『にゃあ、グールとオーガと悪いヤツは大公国の境界門を通り抜けられないから、多少不便でもアポリトはそのまま放置するしかないにゃん』

『わかった、そう言えばマコト、聖魔石が手に入ったらしいな?』

「にゃあ』

『聖魔石を一〇個ほど融通してくれないか? 魔導師どもが研究したいそうだ』

『にゃあ、仕方ないにゃんね』

 レオナール大公陛下の格納空間にご注文の品を入れてやった。

『おお、これが聖魔石か、なるほどこれはスゴい代物だ』

『舐めたり擦り付けたりしたら、ぶっ飛ばすと伝えて欲しいにゃん』

『伝えておく』

『にゃあ、大公陛下はカンデイユの遺跡について知ってるにゃん?』

『例のデカいゴーレムか?』

『そうにゃん』

『アポリト州の領主ファビオ・カンデイユから聞いた話だとカンデイユの遺跡は、オリエーンス連邦以前の文明のモノだそうだ』

『オリエーンス連邦以前と言うとオリエーンス神聖帝国にゃん?』

『いや、俺を含めてファビオの話を真に受けてる奴は居なかった、ヤツは話を盛る傾向があったからな。大公国と同じオリエーンス連邦後期のものだろう』

『超大型ゴーレムの話は聞いてたにゃん?』

『いや、ヤツの話にそれはなかった』

『超大型ゴーレムについては今回現れるまで情報は無かったにゃんね?』

『そうだ、魔導師どもに探査魔法で確認させたが、ゴーレムにしてはデカすぎるし、刻印が見当たらなかった』

『大公陛下はゴーレムじゃないと思うにゃん?』

『いや、俺にも正体はわからず仕舞いだ』

『何でクプレックス州に向かってるかはわかるにゃん?』

『クプレックス州の州都キパリスの地下に遺跡があるらしい。以前に語っていたファビオの予測ではカンデイユと同じ種類のものだそうだ。狙いはたぶんそれだ』

『にゃあ、キパリスの地下にもう一体ゴーレムがあるにゃん?』

『ゴーレムかどうかはわからないが、向かってるのだから重要な何かあるだろう』

『ファビオはキパリスまでは調べてないにゃんね』

『たぶんな、キパリスの遺跡は発掘されてないと聞く。ヤツが知りたくても知りようがなかったはずだ』

『グールにオーガの大発生と超大型ゴーレム、これと大公国で起こった死霊の大発生とルークス城の魔獣、似てる気がするのはオレだけにゃん?』

『アポリトとクプレックスはかつて大公国の領地だった。繋がっていたとしても何の不思議もない』

『にゃあ、国を滅ぼす魔法がアポリト州でも発動したってことにゃんね?』

『表沙汰になるとややこしい事になるから他言無用だぞ』

『わかってるにゃん、オレだって面倒なことになるから誰にも話さないにゃん』

『ファビオ・カンデイユは兄上と親交が深かった。昨年、ヤツは調査と称して大公国内の城塞都市を回ってる』

『にゃお、それって魔獣が埋まっていたところと違うにゃん?』

『一致してる』

『するとクプレックスもヤバいにゃんね』

『少なくともファビオは、クプレックスに入り込めてないから仕掛けがあっても動作しない可能性がある』

『入れないにゃん?』

『ファビオのヤツ、クプレックスのお姫様に強引な求婚して結界レベルでの出禁を食らってるらしい』

『すると超大型ゴーレムの目的は、クプレックスの州都キパリスにある遺跡のスイッチを入れることにゃんね』

『なるほどそう考えると納得が行く』

『ファビオ・カンデイユは生きてると思うにゃん?』

『ああいう迷惑なヤツは簡単に死んでくれないものだ』

『にゃあ、要注意にゃんね』

『見つけたら、ぶっ飛ばしていいぞ』

『了解にゃん』


 超大型ゴーレムの進行速度に合わせてオレとハリエットの魔法馬の速度を上げた。

 ちょっと魔法を発動して地面の上を走る。

「マコト、魔法馬が変なところを走ってないか?」

「にゃ?」

「地面じゃないところを走ってる気がする」

「にゃあ、ハリエット様、気にしたら負けにゃん」

「そうか負けなのか」

「そんなことよりおやつにゃん」

 ハリエットに紙袋を渡す。

「これは?」

「あんドーナツにゃん」

「アンコの入ったドーナツだよ、美味しいよ」

 リーリは馬の頭の上で一足先にあんドーナツを食べてる。馬の頭の上にいるのはオレの頭の上で食べるとビッキーとチャスの顔を砂糖が直撃するからだ。

 いまはオレの顔にいっぱい当たってるけどな。

「「美味しい!」」

 ビッキーとチャスも手と口を砂糖だらけにしてる。

「うん、美味しい」

 ハリエットもにっこりする。

「にゃあ、速度を上げたから上手く行けば超大型ゴーレムより先に境界門に到着するにゃん」

「それは助かる、グエンドリン殿にも連絡を入れて貰わなくては」

「グエンドリン殿にゃん?」

「グエンドリン・ナルディエーロ伯爵だ。十九歳にしてクプレックス州の領主をなさっている才媛だ」

 アポリト州の領主ファビオ・カンデイユが懸想けそうしてるお姫様か?

「にゃあ、オレたちは超大型ゴーレムより先に境界門を抜けて見晴らしのいい所に陣取ってゆっくり見物することに決めたにゃん」

「バーベキューしたいね」

 リーリは本気で見物するつもりだ。

「いや、それはマズいだろう?」

 常識を説くハリエット。

「えー、美味しいよ」

「にゃあ、バーベキューは魔法騎士団とゴーレムの戦いが終わったらにゃん、観戦中はホットドッグと決まってるにゃん」

「ホットドッグ!」

「にゃあ、この身体ではビールが飲めないのが残念にゃん」

「食べて観戦する余裕があるなら、それに越したことはないか」


 お昼ごはんは馬上でカツサンドを頬張った。

「おかわり!」

 妖精は絶好調だ。

「「おかわり!」」

 ビッキーとチャスも元気でなによりだ。


 昼ごはんが終わったところで遂に森を抜けた。



 ○アポリト州 草原


 見渡す限りの草原だ。

 正確には岩がゴロゴロしてる荒れ地を背の低い草が覆っていた。

 ウサギがピョンピョン跳んでる。

「にゃあ、森は無くても人はいないにゃんね」

 草が生えてるから不毛の大地ではないはずなのだが。

 耕作された跡もない。

「にゃあ、ここから馬車にゃんね」

「いや、ヤメておこう、森を抜けてきたのに馬車は怪しいだろう」

 ハリエットからストップが掛かった。

「今更な感じもするにゃん」

「馬車は落ち着いたところで見せればいい、いまは無用な軋轢を避けたい」

「にゃあ、わかったにゃん、境界門まで一気に行くにゃん」

 魔法を使い速度を上げる。

「道があるにゃん」

 途中、石畳で舗装された道を発見した。



 ○アポリト州 廃道


「これが境界門に向かう道にゃんね」

「そうらしい」

 しばらく使われてないのは一目瞭然だが、幅員は主要街道といってもいい大きさがあった。かつてはクプレックス州と盛んに交易をしていたのだろう。いまは廃道なのでは無いだろうか?


「境界門だよ!」

 街道を走り始めてからほどなくしてリーリが最初にクプレックスの境界門を発見した。

「「きょうかいもん!」」

 ビッキーとチャスもテンションが上った。

「超大型ゴーレムより先に到着できたらしいな」

 ハリエットもほっとした。

「にゃあ」

 なだらかな上り坂の途中にクプレックスの境界門があった。

 魔法馬を加速していた魔法を終了して常識的な速度で境界門に近づく。



 ○クプレックス州 境界門


 アポリトとクプレックスの州境の境界門のデザインは何処も似たような感じだが朽ちる一歩手前な有り様だった。

 長らく使われておらず、朽ちるに任せている感じだ。

 門の向こう側には銀色のプレイトメイルに身を包んだ騎士の一団が陣を張っている。

 騎士だけで三〇〇人はいそうだ。

「クプレックスの魔法騎士団だ、私が先に行こう」

「にゃあ」

 ハリエットが前に出た。

 魔法馬を停めるとあちらからも身体の大きな騎士がひとり徒歩で前に出る。

 そしてかぶとのバイザーを上げてオレたちに顔を見せた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ