魔獣の飛び地を攻略にゃん
○プリンキピウム プリンキピウム・オルホフホテル ペントハウス
今日の接客で洗い出した問題点をノーラさんにまとめて貰うことにしてオレは自分のペントハウスに引っ込んだ。
ジャグジーを楽しんでから夜も更けたところでリーリを連れ地下施設に降りて魔法蟻に乗り込んだ。
○プリンキピウム プリンキピウム・オルホフホテル 制限エリア 地下施設
「にゃあ、飛び地まで頼むにゃん」
『……』
魔法蟻は口をカチカチさせてうなずいた。
オレたちを乗せた魔法蟻がトンネルを高速で滑る。魔法を使った例のリニアモーターカー的な仕組みだ。
ホテルの地下から魔獣の森の飛び地にわずか三〇分ほどで到着した。目立たず高速で移動できるのは素敵だ。
○プリンキピウムの森 南エリア(危険地帯) 魔獣の森 飛び地前
秘密の出入り口からリーリを頭に乗せたままポン!と地上に飛び出した。
勢い余って三〇メートルほど打ち上がったのはご愛嬌だ。
「にゃあ、いい感じに光ってるにゃんね」
「うん、昨日より明るい」
月光草が光る魔獣の森を眺めながら風を操りゆっくりと地上に降りる。
「月光草が最適化されたにゃん」
月光草がマナを効率よく吸ってる。
「にゃあ、行くにゃん」
魔法馬に乗ったオレは銃を出して光る領域、魔獣の森の飛び地に進んだ。
○プリンキピウムの森 南エリア(危険地帯) 魔獣の森 飛び地
「にゃ、もう来たにゃん」
「美味しい獲物に敏感なんだね」
オレに気付いた魔獣がまっすぐこちらに向かってくる。徐々に速度を上げるが音はほとんどしない。
「まずはあの魔獣から始末するにゃん」
「いいぞ! やっちゃえ!」
向かい来る魔獣をざっくり探査魔法をした結果、ヘビ型なのがわかる。六両編成の電車ぐらいあるシルエットが木々の間を縫って突っ込んで来た。
「鎧蛇にゃん」
魔獣の森の暴走列車と名付けたい。この魔力で少し浮いて高速で進む方法は魔法蟻に応用できそうだ。
ランダムに並ぶ大木に触れることなく迫る赤い眼がオレをロックオンする。
気の早い鎧蛇はオレを魔法馬ごと飲み込めそうな大口を開けた。
「にゃ?」
鎧蛇の口から何か出た。
オレの防御結界が小刻みに波打った。左右の大木が鳴く。
「にゃあ!」
魔法馬を横に飛ばして魔獣を避けた。その風圧で左右の大木が崩れ落ちる。文字通り粉のようにグズグズになって崩れた。
鎧蛇が口から発した何かのせいだ。
「気を付けて、すぐに来るよ!」
「にゃあ! 二発も喰らわないにゃん!」
鎧蛇がターンをかました瞬間、ヤツを浮かせてる魔法に干渉して空に打ち上げてやった。六両編成の電車ほどの大きさだけに宙に舞う様子は大迫力だ。
鎧蛇が身体をねじってオレに顔を向けようとするがもう遅い。
無防備に晒された腹に向かって銃を撃ちエーテル機関を破壊した。
やっとこちらを向いた鎧蛇の眼から光が消える。
何で皆んな最後は信じられないものを見たって顔をするのだろう?
墜落前に鎧蛇の身体を分解して格納する。
以前に狩った鎧蛇より短くて獲物としてはちょっと微妙だがヤバい魔法を持っていた。
「にゃあ、外周にいる魔獣も侮れないにゃんね」
「いまの何だったの?」
「物質を砕く魔法にゃん」
「砕くの?」
「にゃあ、分解のちょっと手前の状態になるにゃん、オレも防御結界がなかったらヤバかったにゃん」
「きっと裸になってたね」
「にゃあ」
オレの身体はちっちゃいけど頑丈なので魔獣の魔法ごときでどうなることもない。ただ服はそこまで丈夫じゃないのですっぽんぽんになる。
まあ、夜の森なのでどうでもいいけど。
次の獲物を求めてオレは移動を再開した。
「このまま外周を時計回りに魔獣を狩って行くにゃん」
「外周はマナも薄いしいいんじゃない」
月光草の働きでマナの濃度が低下した魔獣の森の飛び地は、外周部に至ってはすでに普通の森と変わらないレベルまで落ちていた。
「飛び地が縮んでるにゃん」
「思ってたより早いね」
「にゃあ、そうにゃんね」
マナの濃度が下がると魔獣は弱くなるはず。少なくともエーテル機関が魔力を発生させる量が減る。
「いるにゃんね」
「いるね」
飛び地に迷い込んだ巨大エビを食べてる脚がいっぱい生えてる芋虫みたいな魔獣がいた。これはデカい。
「脚があってもムカデじゃないにゃんね」
ムカデよりもブヨっとしていて表面にポヨ毛が生えていた。
幸いオレたちには気付いていない。先制攻撃のチャンスだ。
「やるにゃん」
巨大エビを食べるのに夢中な芋虫を上からの風の壁で押し潰す。
パン!と派手な破裂音とともに緑色の体液が波になって魔法馬に迫る。
防御結界が無かったら間違いなく魔法馬の足を攫われていた。
流れ出たエーテル機関を撃ち抜く。
潰れた魔獣を体液とエビごと回収する。
緑色の体液で水浸しから元の神秘的な光る森に戻った。
「にゃあ、いまのはデカいだけで魔獣ぽい強さは微塵も感じられなかったにゃん」
「物足りないね」
「魔獣だから何かしら魔法は持ってるはずにゃん」
「調べてみたら」
「にゃあ」
回収したばかりのエーテル機関を再生して解析を開始する。
芋虫の持っていた魔法はエーテル機関に魔法式が記録されていたのですぐに判明した。
「にゃ、この芋虫、防御結界を食い破る魔法を持ってたにゃん、とんだ悪食にゃん」
「使われなくてよかったね」
「にゃあ、まったくにゃん」
この芋虫はしばらく魔法を使ってなかったみたいだが、別の魔獣が同じ魔法を持っていない保証はない。
現状では防御結界そのものを喰われる可能性がある。
「対策が必要にゃん」
「そうだね」
「にゃあ、今夜は二匹で撤退にゃん」
魔法馬の鼻先を飛び地の外に向けたその瞬間、いきなり目の前の地面が爆発した。
「にゃ!?」
魔法馬が飛び退く。
寸前までオレたちがいた場所に巨大なピンク色の土管が突き出していた。
危なく今度はオレが馬ごと空に打ち上げられるところだった。
「にゃあ、探査魔法に引っ掛からなかったにゃん」
「あたしもわからなかったよ」
「地面の下で認識阻害を使われるとダメみたいにゃん」
「厄介だね」
「にゃあ、それでこいつは何にゃん!?」
ツヤツヤピンクのその辺りの大木よりぶっとい土管。
風切音とともに土管の先端が上から突っ込んで来た。
すんでのところで避ける。
地面を穿ちにゅるにゅる潜り込む。
「これって、ミミズにゃん?」
「そうみたいだね」
プロトポロスの結界外で出会ったミミズとは大きさも魔法も違っていた。魔獣だけに数倍大きくそして強力だ。
幸い地面に出るとどぎつい認識阻害の結界が消える仕様らしい。
身体の中までスキャン可能だ。
「にゃお、こいつ節の一つ一つにエーテル機関があるにゃん」
「驚きだね」
エーテル機関が連結された状態なのでこれまでの地面を潜る魔獣よりずっと強力な魔法でトンネルを掘っていた。
地面の下を動き回ることに特化していた。
以前に遭遇したウナギの魔獣と違って崩れ落ちるトンネルではなくて掘った先から埋め戻して痕跡を断っている。
前触れ無しで、また地面から土管の様な巨大ミミズが飛び出す。
「にゃあ!」
何とか直前に逃げた。
いくら防御結界で守られていても夜空に打ち上げられるのは勘弁だぞ。
「にゃあ!」
地上に出てる部分を片っ端からエーテル機関を撃ち抜く。
「にゃおっ、魔力が減って見えるにゃん」
「エーテル機関を消せばただ大きいだけのミミズだね」
「にゃあ、その通りにゃん」
魔力不足から認識阻害の結界が弱まって地面の下を這いずるミミズとエーテル機関が丸見えになった。
「いまだよ!」
「にゃあ!」
残りのエーテル機関を全て破壊するとミミズは動きを止めた。
「こいつも頂きにゃん」
巨大ミミズを分解して格納した。
魔獣を売るわけにはいかないがその素材は応用範囲が広いので今後も役に立つだろう。
さっき仕留めたミミズは弾力があって更に非常に頑丈で軽量。
ドーナツ型に成形しただけで高性能タイヤになりそうだ。
細かいことは帰ってからやろう。
○プリンキピウムの森 南エリア(危険地帯) 魔獣の森 飛び地前
魔獣の森の飛び地を抜け出るとカラスのように真っ黒な恐鳥がいた。
目玉が六つ。しかも群れだった。
「恐鳥の特異種だけの群れが五〇羽にゃん」
『『『グェェェッ!』』』
『『『グェェェッ!』』』
『『『グェェェッ!』』』
とても美声とは言えない絞め殺されそうな鳴き声を何重にも浴びせて来る。
精神錯乱の効果が有るがオレには五月蝿いだけだ。
「やかましいにゃん!」
銃を乱射して恐鳥の特異種との死闘を終えた。
オレは今度こそホテルに帰還した。
○帝国暦 二七三〇年〇七月十八日
○プリンキピウム プリンキピウム・オルホフホテル ペントハウス
オレは明け方近くまでホテルのペントハウスで防御結界のセッティングを詰めた。
防御結界ごとガブリとやられてはたまらない。
また手足を持っていかれたら確実にPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症する自信があるぜ。
それと探知&探査魔法の強化だ。
地面の下だろうが認識阻害の結界だろうが反応してくれないと困る。
いつまでも六歳児の勘だけで防ぎきれるとも限らない。
昨夜確保したエーテル機関を解析してそれを応用する形で防御結界のセッティングを終え、探知&探査魔法を強化した。
それからちょっとだけ仮眠を取ってウォッシュで疲れも眠気も吹き飛ばして朝食の準備に参加すべく厨房に下りた。
○プリンキピウム プリンキピウム・オルホフホテル 厨房
「おはようにゃん!」
「おはよう」
リーリは既に試食を開始していた。
○プリンキピウム プリンキピウム・オルホフホテル ロビー
朝食の後は冒険者ギルドの職員たちが出て行き、家族たちが残った。
それからポツポツと今日招待した人たちがやって来る。
本来の一般向けプレオープンウイークがスタートだ。
「にゃあ、ノーラさん、一週間後の二五日をグランドオープンにするにゃん」
「わかりました、ではそのように調整いたします」
「にゃあ、それまで泊まってくれる人たちに協力して貰って練習して欲しいにゃん」
「はい、全員に伝えます」
○プリンキピウム プリンキピウム・オルホフホテル 館内劇場
オレは朝食を手伝った後、今日から稼働させるゴーレムの劇場の最終調整を行った。
既にお客さんが入ってリハーサルを見ている。
魔法馬、魔法牛が歌ったりタップを踏んだり、ゴーレムが劇を披露したりする。
演奏するゴーレムもいてなかなかいい出来に仕上がった。
人間を使わないのはプリンキピウムに役者も歌手もいないからだ。
○プリンキピウム 冒険者ギルド 買取カウンター
昼前にちょっと時間が出来たから冒険者ギルドの買い取りカウンターに出向く。
魔獣は売れないが恐鳥の特異種だったら何とかなるんじゃないかと淡い期待をよせる。
「幻って言われてる黒恐鳥のしかも特異種か、悪いが州都で精算してくれ」
ザックは眉間にシワを寄せて語った。
「にゃあ、これもダメにゃん?」
「こいつは鏡面サソリ並の値段が付くんだ、プリンキピウムにそんな金がない」
「随分と高いにゃんね」
「ヤバい薬の原料になるらしいからな」
黒恐鳥の特異種を材料にした薬は幾つかあるが、ヤバいとなると。
「魔力増強剤にゃん?」
「マコトは物知りだな、こちらから州都に連絡を入れておくから暇な時にでも納品してやってくれ」
ザックに頭を撫でられたが、プリンキピウムでの買い取りは無しだった。
○プリンキピウム プリンキピウム・オルホフホテル 厨房
「ネコちゃん、ちょっと来て!」
ホテルに戻ってランチの準備が一段落したところでフェイに呼び出された。
「具合の悪い人がいるの、ちょっと診てくれる?」
「わかったにゃん」
○プリンキピウム プリンキピウム・オルホフホテル 客室
フェイが案内してたのは客室だった。
従業員じゃなくてお客さんだったか。
「お待たせしました」
フェイがノックして扉を開けると部屋には不安そうな表情の男女がいた。
ベッドにはオレと同い年ぐらいの女の子が苦しそうな表情で身体を折り曲げている。
「フェイ、この子は?」
「さっき話したオーナーのマコトです」
「挨拶はあとにゃん、すぐに診るにゃん」
女の子の身体をサーチする。
「虫垂炎からの腹膜炎にゃんね、治療を開始するにゃん」
治癒の光で包み込んでエーテル器官に魔力を送りつつ鎮痛と治療を同時に行う。
直ぐに女の子の表情が和らいだ。
本当にエーテル器官は便利にゃん。
「にゃあ、もう大丈夫にゃん、念のため今日はこのベッドで寝かせてあげて欲しいにゃん。このベッドは魔導具なので、体調を整えてくれるにゃん」
「ありがとうございます」
「本当に治ったんですね、一時はどうなるかと思いました」
両親に頭を下げられた。
「フェイの知り合いにゃん?」
「そう、あたしの姉夫婦なんだ、そしてこの子はドナ。マコトと同じ六歳だよ、あたしが招待したの」
「にゃあ、明日はドナも楽しめると思うにゃん」
「ありがとうございます、あのそれで治療費はいかほどでしょうか?」
「フェイの給料から差っ引いておくにゃん」
「なっ!?」
フェイが目を見開く。
「嘘にゃん、オレの本業は冒険者だから治癒魔法で金は取らないにゃん」
「六歳で冒険者なんですか?」
「にゃあ、天涯孤独の身なので冒険者になったにゃん」
「ネコちゃんも、苦労してるんだね」
「にゃあ、ところでランチがまだだったら部屋に運んで貰うにゃん、夕食はドナもレストランで食べられるにゃん」
「それなら、あたしが頼んで来るね」
フェイと一緒にオレも部屋から御暇した。
○プリンキピウム プリンキピウム・オルホフホテル 館内
「ネコちゃん、ドナかなり危なかったんじゃない?」
「放置したら夜まで持たないレベルにゃんね」
ベッドに治癒効果があるから、実際には死ぬことはないが完治には時間が掛かっただろう。
「やっぱりね、我が姉ながらセコさにはうんざりするわ、治癒魔法が高いって言っても払えない額じゃないんだよ、それなのにさ」
「にゃあ、フェイがドナを呼んだのがお手柄だったにゃん」
「ごめんね、ネコちゃんにまで気を使わせちゃって」
「いいにゃんよ、それよりベッドの治癒レベルをもっと上げるにゃんね、お風呂も上げた方が無難にゃん」
「寝てるだけで治っちゃうってこと?」
「そうにゃん、それと医務室も必要にゃんね、これから作るにゃん」
「医務室?」
「治癒師がいる場所にゃん」
「ホテルに治癒師が駐在するの?」
「にゃあ、治癒師ではないけど似た様なものを駐在させるにゃん」
○プリンキピウム プリンキピウム・オルホフホテル 医務室
各施設を地下で繋ぐ通路の一角に医務室を作る。
医務室と言っても医者じゃなくて医療用ゴーレムだ。それと治癒効果をカリカリに高めたカプセルが並べられてる。
ベッドでもいいのだが、見た目が重要だ。それと医療用ゴーレムの運用を誤魔化す役目も担ってる。
エーテル機関入りなので治癒魔法も使えるがあくまでカプセルに入れる形を取る。
光沢のある真っ白なボディで「こちらはプリンキピウム・オルホフホテル医療班です」と声を出しながらカプセルを運んだり案内をする。
「ゴーレムたちが治療してくれるんですか?」
まずは出来上がった医務室をノーラさんに見せた。
「にゃあ、オレがホテルに常時いるわけにはいかないのでゴーレムたちが代わりに治療してくれるにゃん」
「わかりました、でもゴーレムを欲しがる人が多いですからお気を付け下さい」
「にゃあ、むちゃを言う貴族や商人にはアーヴィン様の名前を出していいにゃん、それに悪いヤツはホテルの防御結界に弾かれるにゃん」
「そうなんですか?」
「にゃあ、ホテルの近くで素っ裸で転がってるヤツがいたら冒険者ギルドに通報して欲しいにゃん」
「カプセルはどのぐらいのことができるんですか?」
「腕や足の再生なら一週間てところにゃん、入れっ放しでいいにゃん」
ペチペチとガラスみたいなカプセルの表面を叩く。
「一週間で治るんですか?」
「オレがやるより時間は掛かるけど出力の問題なので仕方ないにゃん」
「治ってしまうだけで十分にスゴいですよ」
「ホテルでそんな事故が起こらないのを祈ってるにゃん」
○プリンキピウム プリンキピウム・オルホフホテル 館内
ゴーレムと言えば、プレミアムフロアーの客室には専用のゴーレムを二体ずつ配置してプレミアム度を上げた。
皆んなが働いてるのにひとりでジャグジーに浸かってるわけにも行かないので、建物や付随施設のブラッシュアップをしてる。
気付かなかった不具合があるものにゃんね。
「ふう、アイスを食べすぎて疲れた」
リーリがラウンジから戻って来ておなかに張り付く。
「みゃああ!」
リーリはまたしてもキンキンに冷えていた。
○プリンキピウムの森 南エリア(危険地帯) 魔獣の森 飛び地
深夜、今夜もオレとリーリは魔獣の飛び地にやって来た。
「昨日よりもマナの濃度が下がっているにゃん」
「順調だね」
昨日は三匹、今日は何匹狩れるだろうか?
危ない橋を渡るつもりはないのでヤバいのが来たら尻尾を巻いて退散する方針に代わりなしだ。
相手がその暇を与えてくれればだが。
探査魔法を使う。
「にゃお、いたにゃん」
「いるね」
昨夜までだったら引っ掛からなかった反応を発見した。
かなり近い。
「地面の下にゃん」
地面の下をゆっくりとオレたちの乗った魔法馬に向かって進んでくる。
今回は形がわかる。
ナマズだ。
オレは銃を構えた。エーテル機関は何処だ?
「にゃあ、見付けたにゃん」
心臓の位置だ。
トリガーを引く直前にそれが来た。
「にゃあ!」
地面に電流が走り、大木がブルブル震えた。
バリバリと引き裂く様な音と共に視界は光で真っ白になった。
「にゃお、先に電撃を食らったにゃん」
幸い地下からの電撃は防御結界によって無効化された。それがなかったらシビレネコになるところだった。
「電撃だったんだ」
「にゃあ、電気ナマズの魔獣にゃん」
「また来るよ」
二発目の電撃が来た。大木が根元から裂けて火を噴いた。
「にゃあ、この程度で勝てると思ったら大間違いにゃん!」
銃のトリガーを引いた。
エーテル機関を撃ち抜かれて沈黙したナマズを分解して回収する。
周囲の炎も消火し、電撃でダメージを受けた月光草も修理した。
「にゃあ、次にゃんね」
「どんどん行こう!」
オレは次の獲物に向かった。




