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高校デビューできずに異世界デビュー  作者: バイブルさん
6章 誘う、森の民が住まう大樹へ
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115話 シシャ? 四捨五入?

 ゴスロリ少女を美紅に任せた俺は村の離れという言葉から奥だという思いこみだけで走り続けていた。


 後ろをチラリと振り返ると迷いも感じさせないルナが追走してきてるのを見て俺は頷く。



 駄目だ、アイツはきっと何も考えてない。俺に付いて来てるだけだ!



 言い知れない同行者である相棒に絶望を感じているともう一人のこういう時は頼りになる相棒が俺を止める。


『止まれ、主』


 その言葉に止まると俺はカラスを見つめる。同じように隣で止まったルナがどうしたの? と言いたげに見てくるが今はとりあえず無視する。


『左手の方向で人同士で戦う気配がある』


 カラスに言われて左手の方向に意識を向けると確かに何かが聞こえる気がする。


 隣を見るとルナもそちらに目を向けているところからルナも気付いたようであった。

 ルナがこちらを見てきたので頷くとカラスが示した方向へと俺達は走り出した。



 しばらく走り続けると遠目に小屋のような建物が見え、その小屋の入口を守るようにする者と黒装束を視認する。


「徹、あの黒装束、あの時の奴等なの!」


 俺はそのルナの言葉に反応を示す余裕はなかった。何故なら俺の脳裏を占めていた言葉があったからだ。




 ビキニアーマーが揺れただとっっっ!!!!




 遠目で俺の肉体強化で最大マックスで目を強化しても鎧を着たおそらく女としか分からなかったが俺の研ぎ澄まされたカンが訴える。


 間違いなく『揺れた』と!


 敢えてどこが揺れたと説明は不要だろう。


 ビキニアーマーと言っても金属製の鎧。乳房だけを覆うだけで本当にビキニのようなものであれば揺れる事もあろう。だが、俺の目に映るのは露出は激しいが最低限な守りはされている本当に金属鎧でそうそう揺れるモノではない。


 なのに揺れた。


 それが俺の脳裏に直撃する。


 人の脳はリミッターがかかっている。それは一般的に2割と言われている。そのリミッターが外れる音が俺の耳に届けられた瞬間、オッパイが目の前にあった。



 えっ? 意味が分からない? 俺が言えるのは感じろ! それだけ!



『……待て、主。今、色々と説明が不可能な事があって我は混乱しておるのだが?』

「カラス、良く聞け。男とは越えるべき壁がある。その壁の向こうにあるものの為なら俺はいくらでも越えていこう」

『それが女の胸の為ならと言いたいのか? 頼むからもっと格好が付く理由で越えてくれ!』



 カラスは分かってない。男が奮起する理由でこれ以上に何がいるって言うんだ?



 一気に生涯最高速度で走り抜けた時に目の前にいた黒いのを吹き飛ばしたような気がするがオッパイを吹き飛ばす訳には行かずに急ブレーキをかけているので滑りながらオッパイに顔が近づく。



 素晴らしい。



『はぁ、女の胸に執着した主なのは分かった。だが、どうやら捜し人の1人はこの女で良さそうだな』


 そう言われて渋々、視線を上げて顔を見ると金髪のショートのオッパイで、びっくりしてるようで青い瞳のオッパイ、絶句してるらしく口をパクパクさせる口の横の頬は色白のせいか赤面してるのがはっきりと分かるオッパイ。



 まあ、簡単に言うとビキニアーマーから零れそうなオッパイってことだ!



『もう突っ込まんからな? 後、1人はおそらく小屋の中だ』



 よし、なら要救助者の確認からだな!



 俺は辺りを見渡してオッパイアーマーとの間の上手くすれば足がひっかりそうな窪みを見つける。


 俺は男前な顔をして狙い定めて窪みに爪先を上手く引っかける。


「助けにきたぞぉ……おっと足が窪みに~」

「なっな、お前は誰なんだぁぁぁ!!」


 俺は最高に幸せそうな顔をして胸の谷間に顔を突っ込んでオッパイアーマーを押し倒すようにして小屋に転がり入る。


 オッパイアーマーはキャアァァ! と可愛らしい声を上げて俺の頭をしこたま叩いてくるが俺は幸せであった。



 おお! オッパイと鉄の固さとの落差があぁぁ! この温もりと冷たさの一体感……


 甘露っ!!



「徹っ! 何をしてるの! バカやってないでこっちも大変なの! 1人でコイツ等を相手してる私の身になって欲しいの!」


 ルナの怒鳴る声が聞こえるが俺は顔を左右に色んな意味で全開で振る。



 すまん、ルナ……俺は今、忙しい。お前も起こされる時に良く言うだろ? 「後、5分」ってアレを俺も今こそ言わせてくれ!



「後、5日」

「何が5日だっ! 離れろっ!!」

「ヒャッハァァァァ!!!」

『主、お楽しみのところ悪いが……』


 全力で今しか出来ない事を必死にする俺にルナだけでなくカラスも邪魔してくる。



 カラス、ここで死んでも本望だ、そっとしておいてくれ!



 そうカラスに念を送ると呆れたように溜息を零しながら渋々といった様子で言ってくる。


『一応なんだが、少しだけ左側に目を向けた方が主の為だと思うぞ? ある意味、あの娘達に半殺しにされるよりキツイかもしれんからな』



 はぁ? ルナと美紅に半殺しにされるより辛い事なんてないだろう?



 と思いつつも渋々、左側に目を向けると長い緑色の髪を邪魔にならないように束ねている10歳ぐらいに見える動きやすい格好の旅衣装なのにとても上品な服装に着こなす可愛らしい少女がしゃがんで俺を覗き込むようにジッと見つめていた。


 見つめてくる瞳が左右の色が違い、オッドアイであった。



 うわっ、オッドアイなんて初めて見た。緑、いや、新緑色と言ったらいいのか、もう片方は金色だ……



 驚く俺を余所に俺を顔を見て、オッパイアーマーの胸と交互に純粋な瞳に気付いた俺の顔から流れ始める汗がオッパイアーマーの攻撃で弾けるように飛び散る。


 俺はわざとらしく咳払いをすると名残惜しいがやっと見つけたオアシスから離れるように立ち上がる。


「ごめん、足が滑って上手く立てなかった。大丈夫か?」

「大丈夫ではない!」


 手を差し出した俺の手をオッパイアーマーが払うと自分から立ち上がる。


 そっと隣を見つめると無垢な瞳で見つめる少女の視線がこっちに向いてるのに気付くと俺は呻く。


「くっ!」

『だから言ったであろう? さすがの主も少女の視線にはダメージがある程度には良心があると分かって我は安心したがな』



 ほっとけ! それより、もっと早く教えろよ!



 俺の文句にカラスは呆れの溜息を洩らすだけで更に文句を言おうとしたが中断させられる。


「徹ぅ! 本当にちょっと洒落にならないの! コイツ等どうしたいいの? 手加減し続けるのも限界があるの!」


 どうやらいなし続ける事に限界が近いらしいルナの泣き事が聞こえて俺も頭のスイッチを切り替える。


「表の奴等は俺達でなんとかするからオッパイはその子を守ってろ!」

「お、オッパイ!? 失礼な、私にはミザリーという名前がl!!」

「オーケー、ミザリー。後は頼んだぞ!」


 そう言うと俺は表に飛び出す。


 ルナが廻し蹴りをして黒装束達を吹き飛ばして距離を取ったところに合流する。



 ふむ、5人か。



『まったく主が飛び出した時に2人が戦闘不能になってるから本当は7人だったがな』


 カラスのボヤキのような説明を受けて辺りを見渡すと草むらから足が出ている黒装束が2名程いるのを見て頷く。



 言われてみれば何かにぶつかった気がしなくもないな?


 なんだ、俺もちゃんと仕事したやん?



 俺が参加した事で形勢が更に悪くなった黒装束達が逃げ腰になるのを見て肩を竦める。


 その黒装束を良く見るとルナが最初に言ったようにクリミア王女の時の奴等と同じでお仲間のようだ。


「エコ帝国の暗部がこんなところで何してるんだ?」

「ッ! お前、我等を知ってるのか?」


 驚いたらしい黒装束の真ん中のヤツが呻くのを見て、あれがリーダーかとアタリをつける。



 なんて言ってやろうかな? 無駄に説明するのは面倒だな。



 頭を掻く俺は敵意を隠さずに笑みを浮かべる。


「クリミア王女を連れ帰れなかったアイツ等は今、どうしてる?」

「そうか! お前があの時に邪魔した冒険者か!」


 そう言うと迷いも見せずに踵を返す黒装束達に向かって俺は飛び出す。


「ルナ! 捕縛しようとしなくてもいい。生死問わず逃がすな!」

「了解なの!」


 後から飛び出したはずなのに俺を追い越して黒装束のリーダーと思われるヤツの後頭部を蹴り飛ばす。


 俺も遅れてカラスで切りつけて止めようとするが応戦されて1度、カラスを止められるがアオツキで喉元を切りつけて噴き出す血を避けるように旋回して次のターゲットに目を向けようとする。


「次っ!!」

「次? ああ、ごめんなの。もう全部倒しちゃったの」


 完了とばかりに掌をパンパンと叩いているルナの姿があった。辺りを見渡すと生きてるかどうかは分からないが身動き1つしない黒装束達が突っ伏していた。



 あれぇ? 俺、格好わるぅ!



 いたたまれない気持ちにされて蹲りたい衝動に駆られるが背後から近づく気配に気付いて振り返る。


 振り返った先には仏頂面したオッパイアーマー、もとい、ミザリーとオッドアイの少女が近づいてくる。


 ミザリーに気付いたルナがさっきまで俺がしてた事を思い出したようで唇を尖らせて危険な香りを放ち始め、内心慌てる俺の目の前にオッドアイの少女がやってくると跪く。


 不意打ちのようにされて慌てたのは俺とルナだけでなく、同行者のはずのミザリーも驚いた様子を見せる。


 そして祈るように両手を組み、神前で目を一旦下げるようにして俺を見上げる。


「お待ちしておりました。ユグドラシルの使者よ。そしてユグドラシルが宣託したティテレーネの導きよ……」

「「へっ!?」」


 俺とルナは目を点にしてアホな子のように口を半開きにする。



 どうやら俺は神様の使い、天使か何かに勘違いされてるようだ……



 頭がフリーズしてしまった俺の耳に城壁が軋む音が聞こえ、振り返るとゆっくりと近寄ってくる美紅の姿を捉えて何から整理したらいいか俺は途方に暮れた。

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