エピソード3
さて、これからどうするかな・・・。一緒にチュートリアルを受けていたプレイヤー達は、みなそれぞれ色んな方向に動きだしていた。ギルドの中で非戦闘クラスの説明を受けに行ったと思われるもの、ギルドの中を一目散に飛び出していくものなどだ。中には、プレイヤー同士で会話をしているものもいた。情報の交換でもしてるのか?男性プレイヤーが女性プレイヤーに話かけているようだ。少し聞き耳をたててみる。
「ねえねえ、ちょっと一緒にモンスター倒しにいってみないー?」
うぜっ。ただのナンパにしか思えねえよ。わざわざ金払ってまでナンパしにくるやつの気がしれない。女性プレイヤーのほう、すごく嫌がってるなありゃ。
「すいません、私非戦闘系クラスの説明を聞きにいきたいので・・・。」
「じゃあ、俺も一緒に聞きにいこうかなー。」
ナンパ男なんてリアルでも、ゲームの中でも変わらないな。嫌がってるのを知ってて、ついてこうとするとか、反吐がでる。聞き耳なんてたてたのが悪かったなー。少し後悔しながらも、俺は話してる二人のほうへと向かう。
「すいません、その子俺とフードメイカーの説明聞きに行く約束してたのでー。」
はあ、言ってしまった。話していた二人が、目を丸くしてこっちを見ている。おい女、お前までそんな表情してたらダメだろ。
「ちっ、男ともう約束してたのかよ。」
そう言うと、ナンパ男は去って行った。さて、俺もそろそろギルド出てモンスター倒しにでも行くかー。ギルドの出口に向けて歩こうとすると、さっきの女性プレイヤーが話しかけてきた。
「あの、ありがとうございました。あの男の人しつこくて・・・。」
「いや、別に礼を言われるほどのことでもないだろ。」
話しかけられる前に立ち去って、無駄な時間を過ごさずにしようとしたのにな。かといって、無視するのも悪いし・・・。
「それじゃ、俺はこれで。」
立ち去ろうとすると、また女が話しかけてきた。おい、お前もナンパ男並みにしつこいぞ。
「私、ハナって言います。良かったら外のお店で何か奢りますよ?お礼したいので!」
この女、ナンパ嫌がってたわりに自分から誘うとか頭の中お花畑かなんかなのか?。
「このゲームで、他人のためにメルンを消費するのなんてただの馬鹿だぞ。お礼は別にいらないから大丈夫だ。じゃ、今度こそ俺行くわ。」
また呼び止められる予感がしたので、俺はギルドの出口に向けて猛ダッシュした。走ってる間、後ろから何か聞こえた気がしたが気のせいだろ。
ようやく、噴水のある広場へと戻ってくることができた。あの女、無駄な時間を使わせやがって。俺は早くメルンを稼ぎに行きたかったってのに。さて、気を取り直してモンスターでも倒しに行きますかねー。えーと、他の惑星に行く方法ってどうするんだ?わからん。広場を見渡してみる、ギルドと逆のほうにでっかく何か書いてある。「惑星テレポーター入口」お、あっちかな。行ってみよう。
中に入ってみると、あちこちにテレポーターみたいなものがずらっと並んでいる。ん?どうやらまたシステムからメッセージがきていたらしい。
「この惑星テレポーターから、冒険者たちは惑星へと旅立っていきます。まずは、惑星テレポーターの受付へ向かってください。」
受付かー。空気的にあっちぽいな。
「すいませーん。テレポーターの受付ってここですかー?」
受付と思わしき人に声をかけてみる。
「惑星テレポーターへようこそ!こちらの受付はエルファリア行きとなっております。まずは地球へ行ってみてはどうでしょうか?地球の受付は、あちらになります。」
この言われ方だと、地球でやることがあってそれを行わないと他の惑星には行けないってパターンかな。
「ありがとうございますー。それじゃあ地球の受付に行ってみます。」
そう言って俺は地球の受付へと向かった。
「・・・ここ、地球行きの受付。地球に行くの?」
うわー感じ悪いなこの人、おそらくNPCだと思うけど、それにしてもこの対応は朝ご飯を食べずにバイトにでた俺みたいだ。でも、俺ここまで愛想悪くはないはずだ。
「はい、俺地球に行きたいのですけど。」
「分かった。じゃああっちに入口あるから、行ってらっしゃい。」
説明適当だな・・・。このゲーム作った運営本当大丈夫か?さっきの受付の人ならもっとていねいに教えてくれただろうなー。まあいいか、とりあえず言われた入口のほうに行くか。これで、やっとモンスターと戦える!じゃなくてだな、俺はお金稼ぎに来ているはずなんだが。てか、今この時間もリアルマネー使ってゲームをプレイしているわけで。よし!さっさとモンスター倒しに行きますかね!色々無駄なことを考えたが、俺はテレポーターの入口へと向かった。
ここが、地球行きのテレポーターか。なんか一言で言うなら、でっかいエレベーター的なものだった。んで、こっからどうやったら地球へと転送されるって言うんだ?ん?なんだこのウィンドウ?
「地球への転送まで残り30秒」
そういうことか、入口に入ると自動で何秒かしたら転送されるのな。この30秒が意外と長く感じるんだろうな。そうだなー、地球についたらまずは地形の把握とかかな。マップとかもどこで手に入れられるかも分からんし。適当にマップは覚えるなりするか。あれこれ考えていると、転送までの秒数が残り少なくなってきていた。
「それでは地球へと転送いたします」
そうウィンドウに表示されたかと思うと、ゲームを始めた時のような感覚がまた襲ってきた。
今回は一人ぶんの視点でしか書いてありませんが、ご了承ください。
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