おばちゃんが召喚されました。
6/13ご指摘ありがとうございます。漢字訂正しました。お恥ずかしい~
感想・評価・お気に入りもありがとうございます。
転生ならいいよね。
若返ってるもの。
まさか、齢40にしてそのまま、召喚されるって思わないよねえ・・・
「勇者のお世話係ですか?」
「すまない、勇者を召喚したはいいが・・・その・・・」
テンプレ。
それは、お約束。
なんでやねん。
勇者はイケメンだった。
いつの間にかハーレムができていた。
パーティーメンバーは
女騎士
女魔法使い
聖女
もちろん全てが勇者に惚れた。
ああ、忘れちゃあいけない。、
王子
これもだ。
王女ではない、王子だ。
これも勇者の虜だという。
勇者はこれまたテンプレで、天然君だった。
「みんな、俺によくしてくれて、助かるよ。」
自分に寄せられているメンバーの想いなど気がつきゃあしない。
そして、行く先々でその天然で男女問わずにタラシこんでいるのだという。
魔王を倒す旅は、あちこちで誰かを助けたり、誰かを助けたり、誰かを助けていて、助けた人に
惚れられてちっとも進まないのだとか。
このままでは魔王を倒す所ではないと、王様は思った。
そこで、同じ異世界から、『勇者に惚れることはない者』を召喚した。
それが、私。
中谷安恵 40歳 バツイチ、子供は13歳の男の子と10歳の女の子。
小さな雑貨店を経営している。
近所の小学生のたまり場になりつつあるが、かわいい系のものを揃えてコンセプトは小さいプレゼントだ。
小学生のお小遣いで買えるようなものからOLさんが自分へのちょっとしたご褒美に買うものまで。
母の日には超満員だ(笑)儲けは少ないけどね。
「そりゃあ、息子とあまり変わらない高校生に惚れることはないでしょうけど、困ります。向こうの生活もあるし、子供たちを残して・・・なんてありえない。それに何すればいいんです?勇者パーティーに入ったって何もできませんよ?」
「向こうには代わりにメイドを派遣した。事情も彼女が説明するはずだ。それから貴女には勇者のお目付け役となってもらいたい。大丈夫だ、もちろん、戦闘要員ではない。貴女の安全は保障する。」
「いや、だって、魔王の脅威にさらされてるんでしょ?無理無理。というか代わりを派遣できるくらいならこっちに召喚する前に同意を得てくださいよ。」
「貴女の前に3人ほど、説明して同意を求めたが、得られなかった。」
だから、強引に召還しちゃったと・・・?
酷いわ~
「頼む、貴女しかいないのだ。」
こっちは15くらいで結婚するんだって。
王様は15歳の王子の父親で、32歳イケメンだった。
威厳とか敬意とか感じろっていわれてもむ~り~。もちろん、惚れるのも無理。
「無理です。帰してください。」
「そこを何とか、私とて非情なことはしたくない。だが、世界を救うためならば鬼にもなろう。」
「は?」
「貴女を元の世界に戻すことができるのはわが国の召喚士だけだ。縄を打て。」
「はあああ?」
私を召喚した召喚士がそのまま牢屋に入れられた。
「彼の命は貴女次第。貴女の帰えるのも・・・ということだ。」
おかしいでしょ?なんだそれ?
「彼を拘束する意味がわからないんですけど。」
「え?」
「別にいうことをきかなければ帰さないというだけでいいのでは?」
「いや、召喚士が貴女に誑かされていいなりになる可能性があるからな。」
あるか!そんなもん。
「あの勇者と同じ世界の人間だ、どんな魅力を持っているか・・・現にその・・・」
もじもじするな。気色悪い。
そうか~そんなに勇者すごいのか・・・
「あれ、勇者って光輝くんなの?」
「あ~安恵さんじゃん。どうしたの?」
勇者はうちのお得意さまでした。
彼はホワイトデーには小さくて安いけどかわいいものを大量に買っていくのだ。
「だって、バレンタインにもらった義理チョコにお返ししないとね。」
・・・義理じゃないやつばっかなのにと連れの子がつぶやいていた。
ここでコンビニのお菓子なんかですまさないので、女の子たちが勘違いしてますますもてちゃうんだって。
天然タラシは勇者だからじゃあなかったよ。
召喚されちゃったものは仕方がないのでさっさと勇者のお尻を叩いて魔王倒して帰りますよ。
パーティーメンバーがいつの間にか倍になってますけど。
新たに加わったのは
私
将軍
魔導師
神官
『勇者に惚れない』メンバーなんでオトコばかりだ。
オトコだから惚れないわけじゃあないので念のためにとおじさんばっかだ。
一気にパーティーの平均年齢が上がったよ・・・
イケメンオジサマで私のテンションもあがったけどね。
「安恵、大丈夫だ。俺が守る。」
と将軍。
「安恵さま、保護の魔法はばっちりですから。安心してください。」
と魔導師。
「安恵さま、貴女に神のご加護を。」
と神官。
ん?
「ほお、異世界の女か面白い。その方がワレのものになるならば人間どもとの争いを収めてやろう」
と、魔王。
「何をいうか、安恵さまの犠牲で守られた国など、意味がない」
と王様。
王様?
なんでいるの?
あれ?
勇者パーティーはどこに?
あれ?
あれ?
違うハーレムが追加されただけ?
「ダメだ。安恵さんを守るのはオレだ。」
ばばーん!
あら、勇者を置いてきちゃってたのか。
勇者置いてきちゃうって、お目付け役失格だわ~
「光輝くん!」
「勇者殿!」
「勇者殿までライバルなのか?」
「いや~勇者さま、そんなオバサンに?」
「まさか、安恵殿も、勇者に?」
「安恵さま?」
「女?そんな若造がいいのか?」
カオス。
カオスとはこれ。
「はあああ。光輝、面倒だから、さっさと片付けて!」
「でも・・」
「早く!」
「はい!!」
魔王は勇者に倒された。
歓喜に沸くパーティーメンバー。
しかし、勇者には本当の戦いが待っていた。
「光輝!ここに正座しなさい。だいたい、お前がさっさと、魔王倒さないから、こういう面倒なことになったんでしょ?!高校だってまだ、残ってるし、大学にもいくって言ってたよね?父さんも独りにして、私は別れた旦那の面倒なんかごめんですからね。ハーレムって何?オトコも女もどんだけタラシこんだら気が済むの?歩ちゃんとはどうなっているの?慎くんとは?ゲイでもバイでもヘテロでもいいけど、誠実さが大事っていったでしょ?」
「だって・・・」
「だって、じゃあありません。もう、お母さんは知りませんからね!」
「はああああああ?」
「お母さん?」
勇者=光輝は離婚した旦那が引き取った長男。
お店のお客でもあるし、一応、旦那が連れて行ったので人前では親子らしくしていないんだよね。
はああ。