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犬頭の探偵は黄昏に沈む世界で明日を夢見る事ができるか  作者: せんこう
代用品の少女はその街で彼と出会い自らの願いを見つける事ができるか
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代用品の少女はその街で彼と出会い自らの願いを見つける事ができるか⑪

事務所に戻ると所長とアリスが寝ないで待っていて、俺達を迎えてくれた。

色々危うい場面も有ったが、何とか無事に顔を見ることが出来て安心する。死ぬほど疲れていて直ぐにでもベッドへ直行したかったが、最低限やらなきゃならない事はしておかないと。

まずオルターについて説明し、所長に今の状況、装備の破損状況を報告。鷹野とワタリにも無事だったと一報を入れ、そして約束どおりに人数分の紅茶を淹れて、ようやく眠りにつく。

疲れのせいか、瞼を閉じると直ぐに眠る事ができて、午前中にベッドに横になった筈だが目が覚めた時には辺りはすっかり暗くなっていた。


「・・・ああ、寝すぎた、っと」


体を起こそうとすると足元に僅かな重さを暖かさを感じた。見ると、アリスが突っ伏して寝息を立てている。


「夜通し君を心配して待っていたからね、アリスちゃんも疲れたんだろう」


彼女は、丁度様子を視に来てくれたのだろうか。もしかするとアリスと一緒にずっと俺を見守っていてくれていたのかもしれない。何時もの様子で所長が側に腰かけていて俺を見つめていて、その当たり前の光景になんだか安心してしまった。


「心配掛けたよ所長。オルターは?」

「上のソファーで休んでもらっているよ。あと、ワタリさんも昼間、君の様子を視に来てくれていたから、後で連絡しておいて。俺の取り分は要らないって、お金も沢山置いて行ってくれたよ」

「そっか、ありがとう。迷惑かけちゃったな」

「ううん、ちっとも」


そこで言葉が途切れる。

所長は何時もの通りに静かに微笑んでいた。ああ、そりゃそうだ。もうバレてるよな。

気まずさに思わず眼を逸らし、それは間違いだと真っ直ぐに所長を見つめて告げる。


「すまない、所長。フェンリル、勝手に使っちまった」

「うん、分かってる」


その選択を、今でも間違いではなかったと思っている。あの時は前日の昼間から続いた戦闘で、肉体的にも精神的にも限界寸前だった。

その上でオルターはとんでもない強敵で、切り札を使わなければ今頃俺はあの路地裏でくたばっていただろう。


「けれどそれが、言い訳になる訳ないよな。これで残りは四回だ」

「うん、残り四回。全てのグレイプニルが尽きる時、君は死ぬ」


それが何故だとか理由を聞く必要は無い。所長は、マナは嘘を言わないから。

今の自分になる前から、過去の俺から続く唯一の繋がりであり、残り回数付きの爆弾でもあるそれを、今回使ってしまった。これが今後どう響く事になるか、現時点では想像も出来ない。


「苦しかっただろう、痛かっただろう。よく、我慢したね」


彼女のこんな顔は見たくなかった。無理に笑顔を作り、耐えるような。そんな顔をさせたくはなかったのに。

マナの手が頬に触れる。ああクソ、こんなに毛深くなけりゃ直接触れてもらえるんだけどな。これもこの頭の不満点のひとつだ。

その手が首にも触れる。毛皮に隠れて普段は見えないが、其処には確かに残る四本の金色の線が首輪の様に伸びている。それに沿ってなぞる彼女の指先から伝わる震えを、俺は忘れてはいけない。

例えそれを分かっていても、きっと俺は、必要とあればこいつを使う。だからその選択でマナを悲しませてしまうという事だけは、決して忘れてはいけないと思うから。


「ベオくん。私は、君を信じてる。けれど、一人で無理はしないで。頼ってくれる方が、私は嬉しいよ」


もう震えは無く、何時もの様子の彼女だ。

ああ、泣けてくるぜ。

何が一番辛いかってのは、今から所長に、俺が勝手にベルと交わした契約について説明しなくちゃいけないって事だ。





「どうした貴公、顔が腫れているぞ」

「ああ、良いんだ。こいつは愛されてる証拠ってやつだから」


俺の下手くそな弁明の後。予想通りに笑顔で放たれた、所長の細腕からは想像もできない程鋭い右ストレートを甘んじて顔面で受けて、二階の事務所に上がるとオルターが待っていた。


「待たせて悪かった。アンタも少しは休んだか?」

「ああ。それに彼女とも話をさせてもらった。感謝する」


そいつは何よりだ。さて、時間も無いし作戦会議といこう。

ベルの情報によるとソフィアが軍勢を引き連れて街へ向かっている事は間違いない。であれば早急に対策を講じる必要が有る。


「所長、ソフィアの現在地と進路予測だけど」


と、事務所へ戻ってからも何故だか笑顔のまま、そして黙して語らない所長。


「あー、所長?」

「私、まだ許していないからね」


オルターも居る場で勘弁してくれ・・・!

あくまでにこやかに、笑顔で。だというのにそれを見る者はとてつもない圧迫感と罪悪感を感じ、やたらと土下座したくなるという。

これが稀に、よく発生する所長のお怒りモードだと知っている人間は少ない。いや、こういった限られた人にしか見せない、彼女の子供っぽい様子は愛らしく思える美点ではあるが、今は状況が状況だ。

その空気を察してか、オルターも言葉にはしないがお前が何とかしろという意味を含んだ視線を向けてくる。半分はアンタが原因でもあるんだからな!


「・・・俺が悪かったよ。もう二度と勝手にベルと交渉しない」


まだ、所長の表情は変わらない。変な所で意地を張る所は彼女の可愛い所だ。


「マナ、君が頼りだ。君がいなけりゃ俺は今頃くたばってるか、くだらないごろつきにでもなってただろうさ」


普段言葉にしていないわけでは無いが、心配させた後だ。しっかりと感謝を彼女に伝える。


「うん」

「だから、また俺を助けてくれ。君が居ないと、俺は何も出来ない」


これは本音だ。彼女が居なければ、そもそも俺は俺じゃ無かった。


「・・・仕方ないなぁ、ベオくんは」


暫し見つめあうと、流石に自分に非があり、そして照れが勝ったのかマナの方が折れてくれた。

こういったやり取りも俺は好きだ。これもまた、俺を作る大切な記憶だ。


「変わっているな、貴公達は」

「アンタにだけは言われたくねぇ」

「さてさて、話の腰を折った私が言うのも何だけど、作戦会議といこうか」


所長が明かりを消して、天井から引き出したスクリーンに簡易的な地図を出力する。


「元々の隠れ家でもあったという防空壕から移動して、ベルが送ってきた現在のソフィアさんの位置が此処。セカンドの境界からおおよそ50㎞地点をゆっくりと此方に向かって移動している。その速度とサード特有の不確定要素を加味して、人口密集地への予想到着時刻は明日の正午くらいかな」

「あの穴倉で見た限りでは図体のわりにそこそこ機動力が有りそうだったが、随分とゆっくりだな」

「今の彼女はかなりの大所帯みたいだからね。これはワタリさんから提供された、無人機による偵察映像だよ」

「うおっ、確かにこれは大所帯だ」


スライドが変わると遠距離で、かつ夜間の撮影の為かかなり不鮮明だが、中央に見覚えのある白衣の人物と巨大な心臓。そして周囲を囲む異形の群体が確認できた。


「件の錬成炉と周囲を囲む集団。これは、ソフィアの兵隊か?」

「ああ、細部は不明だが類似する物を見た事が有る。錬金術で生み出される疑似生命体、ホムンクルスの部品を使った間に合わせの兵士だ」


数は百に届かない程だろうか。ベルの言葉が正しければ、ソフィアらが襲撃した二つの勢力。それらを素材に、また武装を再利用したと思われる装いがその兵隊には見られる。

更に拡大した映像では兵隊の一部が映る。特筆すべきはその頭部。頭からバスケットボール大のクラゲを被せたかのような外見は、季節を間違えた馬鹿げた仮装集団にも見えた。

笑えないのは首から下。四肢が揃っている者、欠損している者。様々だがほぼ全てが銃火器等で武装しているのが分かる。


「結構重武装だなこりゃ。バラつきはあるが装甲服着てるのや、重火器もちらほら見える。げ、機銃乗っけた戦闘車両も何台かあるぞ」

「死体をそのまま再利用し、頭部を置換したタイプだ。痛みを感じる事無く臆さず進む兵隊。上位タイプならある程度の複雑な機械の操作、操縦を可能とし、下位タイプでも上位タイプの統率により高度な集団戦すらできる。単独であっても各々に敵を補足、引き金を引く。彼女の技量で製造された兵隊ならそのくらいの動作は過不足ないだろう」


厄介な心臓だけでなく随分と増強されたソフィアの群れに対し、現時点で此方の戦力は俺と、オルターの二名。ソフィアのみを相手にするわけで済む訳は無く、アリスを安全にソフィアの元へと導くにはそれを防衛する群れ全てを無力化する必要が有る。現状では流石に手が足りない。


「警備局、は無理だな。街の防衛を名目にしたって昨日の今日で市内が今も混乱続きで手いっぱいだろ。何より助けてもらったばっかりで鷹野チャンには無理させられない。ただこっちの頭数を金で雇うにしても戦力になりそうな傭兵や賞金稼ぎは昨夜のドライブで大方病院送りか再起不能だろうし、どうしたもんかね」


悩む俺を見て、オルターは何かを思い出した様だ。


「そういえば昨夜、傭兵を集める際にベオの敵にはなれないと私の呼びかけに呼応しなかった勢力があった。貴公の知己であれば協力を要請できないか」

「ああ?そんな殊勝な奴らいたっけか」


残念だがセカンドの勢力から仕事を受けることは有れど助けてくれるような付き合いの深い連中はいない。

先日だって賞金を懸けられていたのを放置されていたくらいだし、その繋がりの有力者に自分で何とかしろと返されたばかりだ。ああいう連中は身内と認めれば親身に世話をしてくれるもんだが、今の所はむしろ商売の邪魔者として毛嫌いされているくらいだろう。


「確か、清水興業と名乗っていたな」

「はぁ?俺そこの縄張りで賞金掛けられてるくらいには嫌われてるんだが?」


いや、厳密に言えば清水興業が仕切る一帯のろくでなしに、って事なんだが。


「つい先日その相談で出向いた時に、自分の尻は自分で拭けって追い返されたくらいには不仲なんだけどな」

「詳細は不明だが、セカンドの権力者であれば勢力下の防衛のために協力を引き出す事も可能ではないか」

「そうだな、あそこは一応任侠路線で通っている組だから、何とかなるかもしれない。連絡入れとくだけやってみるか」


まあ言うだけはタダだ。助力は無理でも、人口密集地の避難誘導など、いざという時の備えにはなるかもしれない。


「方針は決まりかな。私も出来るだけ詳しい敵の分析と、手持ちの使える装備の調整を続けておくよ。それからベオくん、確認したけどスコルとハティは破損状況が酷いし、予備の部品も使い切ってしまったから、残念だけれど明日には間に合わない」


酷使し過ぎて今はほぼ鉄塊と化している相棒の事を思い出す。そういえば昨夜は最後の方なんて折れたスコルの柄で相手を殴っていた。


「かなり無理したからな。流石に素手って訳にはいかないし、何か代わりの武器はあるかい?」

「うん、有るには有るんだけど」

「けど?」


少し悩むように、その思い当たる武器を説明する所長によると、かなり扱いが難しいらしい。


「調整中でかなりピーキーな仕上がりなんだ。その分威力はお墨付きなんだけどね」

「所長の仕事なら間違いないさ。どのみち出たとこ勝負なら選択肢は多い方がいい。ありがたく使わせてもらうぜ」





作戦会議を終えたのはまだ夜明け前。出発には早く、少し仮眠しようとして、気が立っているのか単純に昼間に寝すぎたせいか、結局眠れずに夜風に当たろうと事務所の屋上に出た。


「どうした、眠れないか?」


先客に声を掛けて、横に並びながら手すりを掴む。


「ああ、私は十分すぎる程休ませてもらった。ベオは、体は本当に大丈夫なのか?」


彼女、アリスは未だ騒がしい夜の街並みを眺めていたようで、俺に気が付くと此方の具合を気にかけてくれる。


「問題ないさ。ちょっとしたピクニックに、ドライブくらいでどうにかなる俺じゃないよ」

「なんだそれは」


とは言いつつもその表情は柔らかい。こんな状況だというのに、俺の思っている以上に彼女は大人だ。


「オルターおじ様を助けてくれてありがとう。あの人にはイギリスに居た時から、色々と助けてもらった大切な恩人なんだ」

「らしいな。あのおっさん、見かけによらず過保護みたいだ」

「ああ、おじ様にはマスターの工房から助けられて以来身元を保護してくれるだけでなく、基礎的な魔術や護身術、生き抜く術を教えられた。私は学校という所に行った事が無いから、伝え聞く先生というのはああいった感じなのかな」


確かに。如何にも堅物な教諭といったイメージはオルターに合っているかもしれないな。


「あちらを出奔する時も、逃走経路の示唆や必要な金銭と物品を用意してくれて、何時も何か難しい顔をしていた事が多かったが、とても優しい人だった」


何だかんだ取り繕ってはいたがアリス本人には分かっていたんだ。オルター、アンタやっぱり殺し屋にしては情が深すぎる。


「そして、脱出を手伝ってくれたおじ様の友人が伝言を伝えてくれた。その関係性からおじ様が追手になるかもしれないと、そしてその時は自分の身を守るために抗う事を躊躇うなと。だから、実際に追手がおじ様だと分かった時、とても苦しかった」


ああ、本当に。踏ん張った甲斐があった。

あの時、あの戦いを強いる声に導かれるままに、オルターの首を咢に捉え、噛み砕こうとした瞬間に、彼が隠し続けていたその匂いを感じた。そのお陰で、あの誘惑を振り切ることが出来たのだ。

多少苦痛は有ったが、それが何だっていうんだ。

そのお陰で、彼女がこれ以上失わずに済んだのだから。


「だから、ありがとう、ベオ。お前には、助けられてばかりだ」


幾らか肩の荷が下りたように微笑むアリス。が、まだだ。これからが本番なのだから。


「そいつはまだ早いぜ。約束しただろ?君を、お母さんに会わせるって。それまではまだ、この依頼は終わってはいないよ」

「その事だが」

「うん?」


決意の匂い。それも今までの様な悲壮なそれでは無い。その先を見据えた、振り絞る勇気の眼差しで、アリスは自分の願いを言葉にする。


「明日は私も、戦いの場へ同行する」


ああ、うん。そうなるよな。


「分かっている。私では足手まといになるという事は、助けられてばかりで何も出来なかったこの数日間で思い知らされた。自分では何かを出来るだなんて勘違いをしていたが、この身の未熟な技量では戦いの場で、何の役にも立てないだろう」


ああ、俺の馬鹿。こんな事言わせてるんじゃないぜ。


「そして理解している。偽物の私の言葉はきっと、マスターには届かないという事も。あの人はきっと、もう止まれないんだ。遠い過去に過ぎ去ってしまった本当のアリスの姿が焼き付いた瞳で、その影を追い求めて。その身が滅ぶまで進むことを止めることが出来ない」


そいつも違う。経緯がどうで、順番が幾らか違ってしまっただけで、君だってアリスだ。俺は認めたくは無いが、君がそう望む限りソフィアの娘である事は違えようがない事実だ。


「それでも、もう待っているのは嫌だ。おじ様や、そしてベオが。どうか無事でいるようにと祈る事しか出来ないのは嫌なんだ」


頼むからそんな顔をしないでくれよ。多少生意気でもいい。俺は笑顔の君の方が、ずっと好きだ。


「頼む、ベオ。我儘は言わない、必ず言いつけは守る。邪魔になる時は、殺して捨ててくれたって構わないから」

「だからどうしてそこまで覚悟決まってるんだよ!」


ああクソ、恨むぞソフィア、ついでにオルター。頼むからこういう選択を彼女に選ばせるような生き方をさせないでくれ!

なら俺はどうするべきだ?俺が選ぶべき選択。彼女を一人の人間として、どんな結果になったとしても、せめて後悔だけはさせる事が無いように。


「分かった、分かったよアリス。君の勝ちだ」


深いため息とともに何度目かの自らの敗北宣言を告げた。まあ、仕方がない。これ以上は俺が耐えられない。


「本当か!」

「ただし所長と一緒に後方待機だ。これだけは譲れない。守れるな?」

「もちろんだ、ありがとうベオ!」


そうして、やっと俺が見たかった、良い笑顔を見せてくれた。

こういう顔されたら男は勝てない。オルターを説得するのは難儀するだろうが、そいつはアリス自身にも協力してもらおう。


「ほら、体冷えるぞ。この時間だと出発まで寝る時間も無いから、また紅茶でも淹れるよ」

「ああ、嬉しいよ。ベオの入れてくれるお茶は美味しいからな」


そんな事を言われて、ふと数日前に出会った時を思い出す。あの時は確か、アリスはコーヒーが飲めないだとかで普段は用意することの無い紅茶を出したが。


「本当か?初めて出した時は微妙な顔してた癖に。ははあ、さてはあれは照れ隠しか?」

「そんな事は無い。味は何とか紅茶か、と妥協できる位の及第点。いや、今冷静に考えれば葉を蒸らし過ぎて味は渋く、湯はやたらと熱すぎる。それを補う砂糖やミルクの用意すら無い、はっきり言って並以下だと思うぞ」

「真顔で酷いな!?いや、それなのに美味いってのはどういう事だ」


それはな、そう語るその穏やかな横顔が、本当の。

普通の、同じ年頃の少女と変わらない、アリスの表情なのだろう。


「ずっと前に、マスターとまだ一緒に暮らしていた時。マスターが紅茶を淹れてくれた事が有った。ベオの紅茶は、それによく似ていたんだ」


それはソフィアが今のアリスと過去のアリスとの差異に狂う前、まだ母と娘としての関係が破綻していなかった時の話。

貰い物の美味しい菓子が有るとかで、一緒に食べようとソフィアが提案したらしい。


「実はマスターは自分で紅茶を淹れた事が無くて、たまたま家には使用人も居なかった。それでもマスターはあれこれ試行錯誤しながら。時間はかかったけど、私の為に紅茶を出してくれた」


それは少し渋くて、そう伝えると母は慌ててミルクと砂糖を追加して、今度は甘ったるくなってしまったけれど。


「・・・とても暖かかくて、とても美味しかった。それが、私は嬉しかったんだよ、ベオ」

「そうか」


そいつは光栄じゃないか。下手糞なのはご愛敬。初めはともかく、そんな事を言われてしまったら単純なもので。今ならもっと、上手く淹れてやれる気がしている。


「そいつも含めて今度はちゃんと言いたいことを思いきり伝えてやればいい。君を、母親の元に連れていく。依頼は必ずやり遂げてみせる」


ああ、これは違うな。依頼では無く、もっと大切な事だ。


「言っただろ?俺は約束を必ず守るってさ」



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