第6話 私の妹、ティナから離れなさい!
その顔はあまりにも可愛くて俺はドキッとしてしまう。
惚れた訳じゃないからな!!
まあでも、こんな可愛い子が上目遣いで言ってきたら断れないだろ……。
だが俺はS級冒険者だし、ここは断った方が……。
ティナを見るとニコニコして楽しそうにしているのが分かったので、断れなそうだ。
仕方ない、少しだけならな。
俺はそう決断しようと思ったその時だった。
突然、ギルドの扉から入ってきた女が俺を見ると指差して叫んだのだ。
「私の妹、ティナから離れなさい!」
「い、妹?」
ティナの妹……? もしかして?
そう思ってティナの方を見ると気まずそうに頭をかいている。
そう、今俺の前に立ちはだかっているのがまさにこの子の姉だったのだ。
俺は姉の顔を見ると薄く青い瞳に青い髪のロングヘアー、身長は高くて胸も大きい。
なんとか誤解を解こうとするが……。
「ティナ! その男から離れなさい! いやらしい事でもするきでしょ!!」
「ちょ、お姉ちゃん! この人は私の命の恩人だよ!」
ティナはそういうが、姉はこっちに走って来て俺を睨みつける。
俺は必死に弁解しようと試みるが、聞く耳を持ってくれない。
「リアン様、ここで騒ぎを起こすのはよろしく無いですよ。だからどうか落ち着いてください」
「そ、それもそうね」
俺に突っかかって来た女はリアンというようだ。
まあそれはそうと一つ気になっているんだが、ギルド内の冒険者は俺に対しての目線が痛い。
そして少し小声が耳に入ってくる。
「S級冒険者、リアン様の妹に手を出そうとしたあの男は死んだな」
「ああ、運がねえなあ」
そういうことだったのか、俺が今いる場所は王国西部にある冒険者ギルド支部だ。
てことは西部を代表するS級冒険者じゃないか。
俺のいたパーティーは東部を代表するS級冒険者だった。
だから俺は西部にあまり行ったことがなく知らなかったのだ。
そして俺はリアンの怒りが収まるのを待つことにした。




