表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/21

第4話 私の名前はティナなのです!

 「い、いえ! 私一人でやれます! だから……!!」

 

 そう言って女は剣を構える。


 必死に戦おうとしているのは伝わって来るが、震えで足腰が機能せず、まるで走れそうにない。


 これはキツいな……。


 何か戦わなきゃいけない事情が、この女にはあるのだろうか。


 まあそれは帰ってから聞くとしよう。


 俺は女の前に立ってハイオークと対峙する。

 

 「ちょ、だから私一人で!」

 

 「黙ってろ、今詠唱を始める」

 

 そして俺は詠唱を始めた。


 暗き闇の世界へと我が身を堕とし、悲鳴さえもその空間に飲み込まん。

 

 唱え終わった後、ハイオークの足元から闇の魔法陣が出現する。

 

 その闇はハイオークの動きを封じていき、みるみるうちに弱体化させる。

 

 《ダークネス》

 

 闇属性の中でも上級魔法であり、B級レベルなどの魔物に使うとこんな簡単に無力化することができる。

 

 そして俺の闇魔法は少しずつハイオークを侵食していき、やがてハイオークは闇に包まれていった。


 先ほどいたハイオークの姿はもうなく、魔石が落ちているだけであった。

 

 俺はそれを拾って女の方に振り向くと驚いていた表情をしており、開いた口が塞がらないと言った感じで呆然としている。


 ちなみに、女を助けた後どうするかまでは考えていなかった。

 

 「大丈夫か? ここは一人で入るような場所じゃない、気を付けないと」

 

 まあ俺はさっき追放されたから一人だけどな。


 すると女は我に返ったのか、顔がキリッとして頭を下げた。

 

 「助けて下さりありがとうございます! 私、どうしても実績が欲しくて……」

 

 「実績? 何でまた」

 

 俺の疑問に女は少し黙りこんでしまった。


 なんというか、掴み所が無さすぎてちょっとめんどくさいな……。


 俺はその微妙な空気から抜け出すために、話を変える。

 

 「とりあえずギルド支部へ報告に行くぞ。そこで依頼達成の報告をしたら良い、俺はもう帰る」

 

 「ええ!? 私はハイオークを討伐していないですよ! ど、どうして?」

 

 「別にハイオークなんてたいしたことはない、俺はただのオークを討伐しただけだ」

 

 俺はそう言って女に背を向けて歩き始める。


 しかし俺の服の裾が引っ張られており、振り返ると女が裾を掴んでいるのが分かった。

 

 女は少し恥ずかしそうにしながら言う。

 

 「私の名前はティナです! あなたの名前は?」

 

 「俺はアランだ」

 

 こうして俺はティナという名の少女と知り合うことになったのであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ