第18話 アランをパーティーに戻すわよ(フレッド視点・ざまあ)
「討伐は失敗ですね、分かりました」
俺が受付嬢に結果を報告すると、受付嬢は驚いた様子もなく話す。
俺らはそれにもまたイラッとした。
まるで最初からこうなると分かっていたような様子だからだ。
しかし俺らは言い返す言葉もなく、ギルドを後にするのであった。
◇
その後、俺らは酒場に寄った。
「なんでこうなるのよ!? 私達はS級冒険者なのに!!」
「ロベリア、やめろ。仕方ないだろ」
「何が仕方が無いのよ! こんな恥ずかしい事はないわ! セレーヌもそう思うでしょう?」
ロベリアが興奮しながらセレーヌに話を振る。
「原因は明白、アランがいなくなったからでしょ~? そうじゃなかったら、私達は負けなかったと思うわよ~」
「はぁ? 何でそこでアランが出てくるんだよ、あいつは足手まといだったから追放したんだぞ」
俺はセレーヌの言ってる意味が全く分からなかった。
あいつは弱かったから追放したのに。
「セレーヌ、もしかしてアランを追放したから私たちはこうなったって言いたいの?」
どうやら俺と同様、ロベリアも同じく思ったようだ。
するとセレーヌはため息を吐きながら話し始めた。
「私たちのパーティーは役割がそれぞれあるわよね~? フレッドは主に近接戦闘をして、ロベリアは中距離戦闘をしてる、そして私は支援専門。だけどアランは?」
セレーヌの言葉に俺らは首を横にかしげる。
「アランは中距離と遠距離、両方出来ていたって事よ」
セレーヌが何を言ってるのか、意味が分からなかった。
あいつは無能で役立たずなはずじゃないのか?
だから俺はあいつの事を追放した。
そんな時、ロベリアが何かに気づいたようにハッとする。
「確かにあいつ、ずっと戦闘の時色んな位置に行ってサポートしてた。それに、私がピンチの時はサポートしてくれてたし」
ロベリアがそう話すとセレーヌは頷き、口を開く。
「つまり私たちはパーティーに欠かせない存在、アランという仲間を外してしまったの。それが一番の原因よ」
「そ、そんなことがあるはずがねえ!」
俺は声を荒らげて否定する。
俺は認めるわけにはいかなかった。
あいつを外した事でこのパーティーが機能しないなんて。
おかげで俺のプライドがズタズタにされてしまった。
しかしセレーヌは冷静に口を開く。
「アランをパーティーに戻すしかないと私は思ってるわ。今思えば、私もアランがいるから安心して戦える状態だったの。まあフレッドは何とも思ってなかったらしいけどね~」
「それしかないよね、私もセレーヌの案に乗るわ」
そして2人は俺の方を見る。
「わ、分かった、何とかしてあいつをパーティーに戻すぞ」
「それじゃあ、今アランがどこにいるかって話だよね~」
「詳しい話は分からないんだけどさ、情報はあるよ」
ロベリアが立ち上がって声を張り上げる。
「知ってるのかロベリア」
俺がそう言うとロベリアが頷く。
「確か……今『アース』っていうパーティーにいるって噂で聞いたわ」
パーティーって事はあいつ、まだ冒険者してるのか。
いや、別にそんな事はどうでもいいんだ。
俺はただアランがいればそれでいい。
あいつがいないと、このパーティーは機能しない。
「『アース』は確か、王国の南部に拠点を置いてるよな。だったら数週間後に南部で開催される祭りに参加すれば、アランに会えるんじゃねえか?」
「私たちもその祭りに参加する予定だったし、ちょうど良いね」
「そうね~、祭りの内容は南部の魔物討伐だし、アランをパーティーに入れて優勝すれば国家直属の冒険者になれるわよ~」
「よし決まりだな、じゃあすぐさまエントリーをしに行くぞ」
こうして、俺らはアランをパーティーに戻すために、南部で開催される祭りに参加することになったのだった。