第16話 国家直属を決める大会よ!
「アランさん! 凄いです! もうS級の実力を超えてますよ!」
そう言ってティナがはしゃいでいる。
一方のリアンも同じような意見を述べているようだ。
正直ここまで言われると少し恥ずかしいが。
「アランの実力は王国最強なのよ、間違いないわ」
「いやいや、メロディアも強かったぞ」
「お前が本気を出したら私の魔力なんて無効化されちゃうのかしら」
そ、そんなに俺は強いのか?
そこまで言われると嬉しいもんだな。
するとメロディアは俺に向かって手を差し出してきた。
どうやら握手を求めているようだ。俺はその手を取り、握手をする。
メロディアの目は俺を尊敬しているような目をしている。
「アランをパーティーに歓迎するのよ!」
「ありがとう」
最後にメロディアがそう言うと、俺達は互いに笑顔を見せ合ったのだった。
「よし! アランの実力も分かったことだし、エントリーしても問題ないわね!」
「エントリー? なんの?」
「もちろん国家直属を決める大会よ!」
リアンが目を輝かせながらそんなことを言う。
俺はリアンが言った大会について、詳しく聞くことにした。
どうやらその大会は、S級冒険者の中で国家直属の冒険者を決める祭りらしい。
その大会で1位を取ることができれば、国家直属の冒険者になれるという。
「なるほどな、場所はどこでやるんだ?」
「確か……王国南部でやるはず」
「なんで南部なんだ?」
「南部は魔物が大量発生しているのよ、魔物たちが好む魔素が異常発生しているのが原因とも言われているわね」
ちなみにその魔物たちは、近衛騎士団が少しずつ討伐しているらしい。
だがまた時間が経てばすぐに復活してしまうとのこと。
それもあってこの祭りはそんな魔物たちを倒すために開催するようだ。
まあ、国もただ黙って見ているわけではないということだろうな。
「でも大丈夫です! アランさんとメロディアさんがいれば余裕ですよ!」
「ちょっとティナ! お姉ちゃんも忘れないでね!」
「はははは、リアンも白魔導士だしな、心強いよ」
冒険者はパーティーで戦うため、連携力が必要となってくる。
サポート面に関してはリアンは申し分ないだろう。
「それじゃあ、そのエントリーってやつはどこですればいいんだ?」
「近くにあるギルドで出来るのかしら、すぐに終わるわよ」
「なるほど、それじゃあ早速向かうか」
そうして俺たちはギルドに向かうのであった。
ギルドに着くと多くの冒険者が集まっている。
どうやらエントリーはここでするようだ。
受付にはギルド職員が立っており、その職員の目の前には長机と椅子が置いてある。
「私はS級冒険者のリアンよ! 国家直属の大会にエントリーしたいのだけど!」
「リアン様じゃないですか! って、メロディア様とアラン様もいるんですか!?」
「いたら何か悪いのかしら」
「い、いえ! メロディア様はあまり姿を現されないと噂で聞いたもので……」
職員はそう言って慌てていた。
まあ、確かにメロディアはあまり人前に出たがるタイプではないかも。
メロディアは一応、王国では大魔法使いとして名が知られているからな。
「ではエントリーですね、席で待っていてください」
そう言い残すと、受付員は俺らをテーブルまで案内した。
「こちらに冒険者カードをお願いします」
受付員の指示に従うように俺たちは冒険者カードを渡す。
この冒険者カードには個人の魔力が登録されているようで、カードをかざすとエントリーをすることができるらしい。
するとカードは青く光る。
どうやら完了のようであった。
「これで完了ですか? なんか思ったより簡単ですね」
「はい、これでエントリーは完了です。この後は試合についてお話がありますので控室に進んでください」
そう言って受付嬢は俺たちを案内し、奥の扉を手で示した。
俺たちが控室に入り椅子に座る。