第12話 何で勝てねえんだよ!?(フレッド視点・ざまあ)
「さてと、アランを追放したし、冒険者ギルドに行って依頼でも受けようぜ」
「賛成!」
「これで自由に戦えるわ~」
俺がそう言うとロベリアとセレーヌも同意した。
みんなアランの事が嫌いだったし、足手まといだと思っていた。
追放するのにちょうど良い機会だったので、喜んで皆賛同した。
俺らは王国でもトップクラスの実力を保持し、国民からの人気も高い。
だからアランのような足手まといは不要だ。
それにこれから俺らは魔物を討伐していき、晴れて国家直属の冒険者にいずれなる。
弱い冒険者は俺のパーティーには要らないからな。
そんなことを考えていると、ギルドに到着する。
「受付嬢さん、S級レベルの依頼は来てないか?」
「来てはいますけど……アラン様は追放したんですか?」
受付嬢はアランの事をどこかで知ったのか、少し驚いた様子で俺らに聞いて来る。
「もちろん! あいつは足手まといだったからね!」
するとロベリアが笑顔で答える。
その言葉を聞き、受付嬢は少し呆れた顔になる。
一体どうしたのだろうか、受付嬢の表情は明らかにおかしい。
受付嬢はアランの追放を悲しんでいる様子だ。
「アランの追放に何か文句でも?」
俺がそう言うと、受付嬢はハッとした顔になり、すぐに笑顔になった。
その変わりように、3人は少し違和感を覚える。
「ではこちらのS級魔物、トロールの討伐はいかがでしょうか」
そう言って受付嬢が持ってきた依頼用紙には、トロール1体の討伐と書かれていた。
S級レベルとなると、かなり強い相手だ。
だが俺らは今までA級やB級レベルの魔物を難なく討伐してきた。
3人なら余裕だろう。
それにこの依頼をこなせば、さらに国家直属の冒険者になれる可能性も高くなるし、一石二鳥だ。
「俺らに任せてくれ」
リーダーの俺が自信満々に言うと、受付嬢が心配そうな表情になる。
こんなチョロい依頼でも、何故そんな表情をするのか、俺らは謎だった。
そうして、俺らはトロールがいるとされている森に、馬車で向かう。
「なんか今日の受付嬢、アランを追放したことについて嫌な顔をしてきたよね!」
「そうね~、アランの事が好きだったんじゃないの~?」
「ふっ、どうせ俺らの実力を疑ってるんだろ」
馬車で森を目指している途中、ロベリアとセレーヌも受付嬢の態度に不信感を持っていたようだ。
「アランは一番弱いから足手まといだったんだよ! あの受付嬢は何も分かってないね!」
「ロベリア、そろそろ森に着くぞ、雑談は終わりだ」
俺は話を切り上げて、馬車を降りる準備をする。
俺らはいつも通り、素早く必要なアイテムを揃える。
その時だった。
目の前にうっすらと巨大な影が見えたのは。
それはトロールの姿をした大きな魔物だ。
4mを超える大きな体と、黒いツヤツヤの体毛を纏っており、おぞましい角が額についている。
「こいつがトロールか、なかなかの迫力だな」
俺は剣を持って構える。
ロベリアとセレーヌは後方から支援をするために準備をする。
トロールの巨体を見ながら俺はニヤッと笑う。
こいつ程度なら俺の剣で簡単に倒せるはず、そう俺は確信した。
「喰らいやがれッッッ!」
「グォォォォォォォォ!!!!!」
しかし次の瞬間、俺は信じられない光景を目にすることになる。
なんとトロールは俺を殴り飛ばしたのだ。
その衝撃に馬車が揺れ、セレーヌとロベリアも尻もちをつく。
そして俺の体は吹っ飛び、木に叩きつけられる。
何が起きたのか分からなかった。
「が……はぁ……!?」