第10話 これでも私はS級の上位の中で三本の指に入る実力者なのね
俺が聞き捨てならない言葉を聞いたが今は我慢して気にしないよう心掛ける。
するとその少女が俺のことをじっくりと見始めた。
そして俺に顔を近付けて俺の目をじっとみると微笑みながら口を開く。
「私はメロディア、一応パーティーの魔術師なのね、あなたは?」
「俺はアラン、東部のS級冒険者であり、前のパーティーでは暗黒魔術師をやっていた」
メロディアは俺の目を見る、俺の目に嘘はないと判断したのか納得したような表情を浮かべていた。
メロディアはリアンの方へと振り返る。
「良い人材を見つけたのねリアン」
「でしょでしょ!」
良い人材とは俺のことか?
確かに俺の実力はS級ではあるけども……。
にしても、こんな小さなお嬢様が本当に戦えるのかよ。
するとメロディアが俺に向かって口を開く。
「これでも私はS級の上位の中で三本の指に入る実力者なのね、もしあなたが今後私たちの役に立てそうだったらパーティーに入っても良いんじゃない? 私は常に優秀な人材を求めているのね」
そう言い終わるとメロディアは廊下を歩いて行くと角を曲がり視界から消えていく。
俺はてっきりすぐパーティーに入ってくれると思っていたのだが、まずは信用を得る必要があるということだ。
そう思って俺はリアンとティナの方に振り返り口を開いた。
「少しずつ認めてもらえるように頑張ります!」
するとリアンは腰に手を当てて少し笑っており、ティナはキラキラした瞳で俺の事を見ている。
まあ余程の事がないとパーティーには入れないからな。
そうして俺はしばらくの間リアンの屋敷でお世話になる事になる。