第1話 お前はもう『用済み』だ
「アラン、お前は『サターン』には必要ない。よって追放する」
俺はアラン、転生者である。
パーティーから大事な話があると言われて、屋敷の会議室に行き、のんびりとくつろいで待っていた。
俺を呼び出したのはパーティーのリーダーであるフレッドだ。
フレッドは剣士としてそこそこの実力を持っており、口は悪いが気さくな男だ。
しかし今はいつもの明るい表情はなく、俺を睨んでいた。
真面目なトーンで追放なんて言うから何かと思ったが……。
俺は頭をかいて答える。
「冗談はやめてくれよフレッド、追放だなんてさ……なあ?」
「いや、本当だ。お前はもう『用済み』だ」
フレッドは呆れたように言う。
冗談きついぜ、今まで冒険者としてパーティーを組んできて、それはないだろう。
俺はきちんと暗黒魔法を使って援護はしているし、手柄だって立ててきた。
「それはリーダーの決定か? 他の皆は納得してるのか?」
俺は落ち着いて確認する。
現にパーティーは優秀なメンバーで構成されているし、追放なんてされる理由がない。
するとフレッドは鼻で笑った後、俺を馬鹿にするように見下した。
その態度に少しイラッとするが俺は冷静にフレッドを見つめる。
するとフレッドがニヤニヤ笑いながら言った。
「お前ら、入ってこい」
フレッドの言葉と同時に魔法使いのロベリアと白魔道士のセレーヌが入ってくる。
こいつらは……俺を馬鹿にするように笑っている。
その様子を見て俺は察してしまった。
俺が使っている暗黒魔法を嫌ったか、もしくは補助役としてもういらなくなったのか。
どちらにせよもう用済みなので追放すると言っている様子に見える。
「あんたはもう要らないんだってさ、かわいそー」
ロベリアが俺の隣を通り抜けてドカッとソファーに座る。
俺を馬鹿にするようにヘラヘラ笑っている。
ちなみにこの2人は結構美人だ。
魔法使いであるロベリアと、回復魔法を使う白魔導士のセレーヌ。
男なら心が満たされるだろうが、俺はあんまりこいつらに興味が無かったのでそういう考えはない。
「2人とも、理由を聞いても良いか?」
そうだ、ここは冷静に対応しなければいけない。
追放となるとどこに行けばいいのか分からないし、金もあまり持ってないからな。
とりあえず荷物は取り返すとして、このパーティーを離れるとなると、どこか身を固めて住む場所を見つけたいのだが……。
まずは理由を聞かねばなるまい。
「そんなの決まってるでしょ、あんたがこのパーティーで一番足手まといなのよ。ねえセレーヌ?」
「そうなのよね~、正直要らないわ~」
ロベリアとセレーヌが堂々と俺に言い放つ。
その言葉に俺は驚いた。
呆れと同時に、もう仲間ではないと言うその態度に俺は嫌悪感を抱いた。
俺の職業は暗黒魔術師、距離を取って戦う職であり、後方から援護するタイプなのだ。
しかしそれにしてもだ。
ここまで不必要とまで言われるとはな。
ロベリアは直接的すぎて女とは思えないほど言葉が刺さる。
セレーヌは優しいお姉さんタイプだが、その言葉一つ一つに毒が入っている。
「本当に良いのか? 後悔するぞ」
「馬鹿言うんじゃねえよ。これはもう決まった事だ、分かったなら早く出ていけ」
「りょーかい」
俺はそう言ってソファーから立ち上がり、部屋を出た。
俺はS級の冒険者としてギルドのライセンスに登録されている。
もちろん仲間の協力あってだが、それ相応の功績もあるし、食ってはいけるだろう。
すると扉の隙間からあいつらの声と笑い声が聞こえる。
「よし! それじゃあ俺らはこれからS級を超えて国家直属の冒険者になるぞ!」
「そうだねフレッド! アランもいなくなったし、これで私達もトップになれるね!」
「3人で頑張りましょ~」
なるほどな、と俺は察した。
そういえば最近、王国の陛下が国家直属の冒険者を決める試験をするとか言っていたな。
それで俺が足手まといだと、フレッドに判断されて追放されたのか。
そもそもS級を超えるって俺の支援抜きじゃ無理だから。
結構地味に思われてたかもしれないが、俺は戦略的にうまく計算して動いてたし、貢献してたんだがな。
まあ……仕方ない。
その後、俺は必要最低限の荷物を持ち、この屋敷から出るのであった。
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