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5.四大精霊騎士・エレメンタルナイツ

 

 ――マンドラ・チャンドレイユの魂、PASの炎の中に宿した四大精霊・サラマンダーが、桐山剣のPASをも上回る程の熱気に相手を翻弄していく!


 〔桐山剣 HP300〕

 〔マンドラ HP1500〕


 気付けば熱気は剣のHPをもみるみると押していき、対するマンドラは未だに無傷。

 剣の焦燥、更にPASの熱気が影響したか、剣の額や体内には大量の汗が浸り落ちている。


「ハァ、ハァ……!」


 仮想空間である筈が本物さながらの炎の熱で体力が削がれ疲労困憊の剣。だがへばってる場合じゃない、ゲームはまだまだ終わっていない!


「……どうした、もう終いか?」


「ッ、うるせぇ!! 勝負はまだ終わってだろうが!!!」


 諦めることは死ぬことよりも嫌いな剣、怒鳴り返してはいてもそれは苦し紛れである事は自分でも分かっていた。


(まだゲーム開始から一分も経ってねぇのに、アイツの炎剣の一太刀が凄すぎて全く攻撃が届かへん! ユニットを持ってしても敵わないんか……!?)


 生まれながらの強運と、プレイングセンスで百戦錬磨の実力を誇る剣でさえも全く勝ち筋が見えないマンドラとの戦い。それでも彼は諦めることはせず、最後まで戦い抜くことを誓うが……


「つまらん。この程度か……、ならばこのまま終わらせてやろう!!」


 その時、マンドラの右手に携えた《サラマンドラブレード》の刃が炎に包まれ、マンドラも両手で剣を構えてスーッと振りかざすは円月の構え。


「くたばれ切り札騎士! 『沙羅曼蛇(サラマンダー)・灼熱斬』!!!」


 剣の身体を焼き刃で斜め一閃掻っ捌く!! 桐山剣・万事休す!!!



「ぐわあああああああーーーーーッッッ!!!!!」



 〔桐山剣 HP300→0 KNOCKOUT!〕


「剣くんッッ!!!」


 まさか、切り札騎士が敗れた……!? ゲームワールドオンラインを二度も救った男が、得体の知れぬゲーム戦士に手も足も出ないとは。見守っていたみのりも思わず叫んだ。


「これで俺の勝ちだ切り札騎士。これでお前の魂は鈍らだという事が良く分かった」

「……それで気が済んだかよ。この俺に勝ったんならさっさと宇宙船戻って帰んな――――」


「いや、まだだ」


 マンドラは右手を剣に向ける。すると倒れ伏した剣のブレスの中のカードデッキから1枚のカードが勝手にマンドラの手に加わった。マンドラのサイコパワーだ。


「な!? オイそれは……俺の切り札の《サラ・チャンドレイユ》やんか!! 返せ!!!」


「断る。俺に手も足も出なかったお前にこのカードを扱う資格は無い」

「はぁ!? そんな勝手な事が……」


「この時代は()()()()()()が主権を握るんだろう? 敗者にはお似合いのペナルティだと思うが?」

「く………ッッ」


 焔に燃えるマンドラの魂に故意に見せ付ける冷徹な言動。敗れた剣は太刀打ち出来ず苦虫を噛み潰す。


「良い気になんのも今のうちやで、絶ッッ対住所特定してリベンジしてやっかんな!!」


「……バカか? 俺一人が敵とでも思ったか?」

「何……?」



『おーい、マンドラー!』


 すると、上空の宇宙船から脳天気な女子の声が。誰やねんと剣も私も上を見上げれば……ありゃりゃ!?


「用が終わったんなら帰ろーよー!」

「残り制限時間1分16秒、転移終了まで時間がありません」

「時は金なり、タイムイズマネーやで! しゃべくっても儲け話はこっちから来ぇへんで〜」



 緑の羽衣と葉っぱのドレスで着飾ったお気楽女子。水色の肌に露出度の高いビキニを来たインテリジェンス女子。更にとんがり帽子の老人の身なりの割に金には煩そうな商人じいさんと、何だ何だ次から次へと奇抜なゲーム戦士が!!



「…………もう説明すると長くなるから単刀直入に言うけどさ。お前等まさか、左から『シルフ』『ウンディーネ』『ノーム』の四大精霊のゲーム戦士か??」


尺を気にして省略する主人公って一体……。


「あらぁ〜物分り良いじゃないのあのイケメン騎士!」

「IQは高くない割には直感に優れてますね」


「ズバリ御名答! うちらは四大精霊の力を司ったゲームワールドの騎士、【エレメンタルナイツ】ちゅーねん。以後宜しゅう!」


 炎・風・水・土の色でドンピシャに素性を当てた剣。だが近未来の現実に唐突なファンタジー要素投入には未だ困惑は消せない。


「そーゆー事だ。だからもうお前とも会う機会も無いだろうな。じゃあな」


「ちょ、待て!!! お前らは―――」



『そこの宇宙船及びエレメンタルナイツの四人! 待ちなさい!!』


 待て!と呼べば待ちなさい!と返る。木霊でしょうか? ……いいえ、宇宙船の反対側からやって来たもう一隻のホワイト◯ース的な宇宙船からだ!!


「…………今度は誰やねんな?」


 銀の髪に耳にはコアモジュール、そして白銀のピッチリゼロスーツを来た未来衣装の女が宇宙船から降りエレメンタルナイツに警告する。だが乗っていたのは彼女だけではない。


「剣さん! 大丈夫ですか!?」


「穂香! それに皆も!! (何で宇宙船に?)


 シャッフルオールスターズ、残りの5人全員も宇宙船に同席していた! ……しかし大阪の上空に二隻の宇宙船があって皆驚かないんですかねぇ?


「幾ら群がろうと無駄な事だ。シルヴィー、宇宙船を出せ!」


「オイアイツら逃げるぜ!?」


 倭刀がマンドラ達の逃避を知らせるも、距離的に宇宙船ごと追い詰める事は間に合わない。その時槍一郎は地上の様子を見るなり何かに気付いた。


「……あれ、剣? お前みのりちゃんと一緒じゃ無かったのか!?」


「あ!? 何やこんな非常時に、ちゃんと俺の側に……………………居ないな!!?」


 辺りを見渡してもみのりの姿は無い。神隠しか、いや答えは剣の頭上だ。


「な、オイ離せこの女め!! 痛ッ?!」

「剣くんのカードを返せーーーー!!!!」


宇宙船に乗る為マンドラが空に飛び上がった拍子に、それを逃さんと一緒に飛び込んだみのりが剣から奪ったカードを返そうと、引っ掻いたりつねったり顔面ボコボコにしたりとやりたい放題。優しい顔して怒ると怖い!


「……え、マジ? 何してんねんみのり!! はよ降りて来ーーーい!!!」


これには剣も困惑の極致、みのりをああまでさせた事は今まで一度も無いからだ。


「ほらダチが呼んでるぞ早く降りろ! 危ねぇぞ!!」


「嫌ッ! まだ私と戦ってないもんッッ!!」


ここまで行くとリアルファイトの領域、みのりが本気で怒るのにも理由アリ。


「あのカードは、剣くんが一番大事に使ってきたカードなんだよ! それを扱う資格が無いとか、人のものを平気で奪う人なんて!!


――そんなのゲーム戦士のする事じゃなーーーーーーーいッッッ!!!!!」


みのりの怒号が響いたのか、何やら図星めいた表情を見せるマンドラ。それが程無くして一瞬の憤りとなり……


「うるさいッ、黙れッッ!!!!」


「きゃっ―――?!!」


怒りで我を忘れたマンドラはみのりを思い切り突きだす。だが状況的にこれはかなり不味かった。


「あ……!」


上空300メートルの足場の悪い宇宙船の上から力一杯突き飛ばされたみのりはそのまま宇宙船の外へと急転直下。早い話が空から真っ逆さま!!


「大変!! このままじゃ彼女が……!」


「ヤベッ、みのりーーー!!!」


この非常事態に真っ先にアクションを起こしたのは剣。全身の疲労も痛みもかなぐり捨てみのりが落下する場所まで全力疾走。――しかしもう一人、アクションを起こしたのは……



()()!!!!!!!」



マンドラは光速の速さで自由落下するみのりよりいち早く地上に着き、地面に叩きつけられる前にすくい上げてナイスキャッチ!


「―――――ぐッ?!!」


その瞬間彼の身体に悲鳴が上がったような衝撃が走ったかに見えたが、後から駆けつけた剣が来たことによりそれを隠す。


「お前……!」


「――――――チィッ……!!」


だがマンドラの取った行動は自分に取って無意識とはいえども不本意と言わせるような不快に駆られたのか。

みのりを抱えたまま再び宇宙船へと飛び、そのまま音速の速さで時空間の渦へと去っていった……。



(マンドラ……!)


結果としてみのりはエレメンタルナイツによってさらわれてしまった。その不覚が剣にとって時間と共に悔いとして残り、必ずや彼への妥当とみのりの救出を心から誓うのであった……!


――本日のゲーム、これまでッッ!!



▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽

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