表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/32

4.炎の魂に宿すもの

 

 ――突如大阪の空より時空間を裂いて現れた宇宙戦艦。

 其処より疾風の如し降り立っていきなしの如く桐山剣に宣戦布告を仕掛ける『マンドラ・チャンドレイユ』と名乗る異邦人。


 500年前から来たとか、時空を裂いてゲームワールドから来たとかSFチックな展開で色々言いたい事はあるが、剣とみのりは彼の姿を見るや否や何処かしら既視感が漂っていた。


(『チャンドレイユ』……? どっかで聞いた名だな)

(それにどことなく剣くんに顔つきが似てる……)


 各々気になる所はあるが、彼らの思考に付き合うほど相手も暇ではない。


「俺がこの時代に転移した目的はただ一つ……。ここであったが500年目、剣の魂を持つお前と勝負しに来たのだ!」

「あ? 俺!?」


 100年目も遥か彼方の時代にまで追ってれば、さぞかしマンドラさんも待ち兼ねたかと思いますが……、そんな事よりも彼が狙っているのは何と桐山剣さん!


「オイオイマンドラさんよ、俺に決闘申込みに宇宙戦艦引っ張り出してやって来ちゃ派手通り越すがな、俺を簡単に負かすほどこの時代は甘かねぇの! 自惚れは止してさっさとお帰り頂こうか!?」


 呆れ半分にからかいながらもみのりは彼女の前に剣が仁王立ち。流石は切り札騎士。


「この俺の目的を拒もうものなら……、俺は容赦はせんぞ」


 ―――ジャキッッ


 マンドラの炎が闘気となり、それが細長く変形し実体化したのは鋭利な刃の剣。

 しかもこの剣、先程申したGパーツのカード【大いなる伝説の聖剣―GXキャリバー―】と瓜二つであった!!


 これで合点がいった。最近巷で騒がせているプレイヤー破りの男は彼だ。


「……そうか。アンタがアチラコチラでプレイヤー相手にバトル仕掛けてたのは、俺を見つける為だったってか?」


「そうだ、そしてようやく見つけた。俺の剣とお前の剣、どちらが強いか。そしてどちらが()()として友を守り抜く力が勝るか! それとも俺の誘いを拒み負け犬らしく後ろを見せる気か!?」


「冗談!!」


 ここまで言われちゃ『切り札騎士』の名が廃ると言わんばかりに剣は拳を構えて喧嘩の体制に入る。


「みのり、離れてろ。ここは俺がやる!」

「え、でも……」


 滾る闘志に水指すようで悪いですが、熱気が強い相手に素手でやるのは多少無謀過ぎませんか剣さん!?


「……バカ、決闘はこれでやるんだろうが」


 マンドラは右手の指をパチンと鳴らせば、突然剣がアメイジングで使っていた『カードスキャンブレス』が起動し始め、何もしていないのに剣の右腕に装着された。


「おま、魔法使えるんか……いやそうやなくて、お前アメイジングのゲームを知ってんのか!?」


「検索済だ。この時代の最先端決闘ゲーム『アメイジング』、武器や配下のカードをその装甲具に装填する事で召喚、発動させながら相手と戦うゲーム。お前から見れば古風かも知れんが、俺にもその決闘は出来る……!」


 するとマンドラの行動にまたまた剣らは驚愕。超能力かエスパーか、アメイジングカードと全く同じ札が彼の周囲を浮遊しているではないか!

 500年前から来たゲーム戦士が言うにはカードとは別名に、『呼札(こふだ)』と呼ぶそうだ。


「これなら文句は無いだろう……?」


「……どーしても俺と勝負したいんだな。良いぜ、だったらその自信諸共ぶった斬って泣き見させてやらァ!」


 主人公が言う台詞とは思えませんが……それはともあれゲーム開始。剣がブレスのスイッチを本起動させ、センサーランプからゲーミングレインボーな光を放出させると、辺り一面にドーム状に広がる仮想空間。


 半径500メートルまではハイテクノロジーなバトルフィールド、この範囲内でカードバトル・アメイジングが行われる訳ですが……


 ではここでこのオリジナルゲームのルールを、読者の皆様に大まかな説明を致しましょう。知ってる人はおさらい、初見はイメージで把握して下さいね。



 ▶▶▶ EXPLANATION 《説明》▽


 ☆超次元カードゲーム『AMAZING(アメイジング)』のルール。


 ①50枚以上のデッキと事前にカスタマイズした自分の装備を使い、半径500メートルまでのVRフィールドで戦う。


 ②デッキのカードを、秒毎に蓄積するEG(エネルギーゲージ)を消費し使うことで、自分の味方になる配下『ユニット』や武器の召喚、強力な攻撃を使える。


 ③アメイジングカードや『PAS』を駆使して相手のHPをゼロにするかデッキを切らせば勝利!



 そんなに複雑なゲームでも無いので、とにかく今は白熱のゲーム模様を見てみましょう!


「「アメイジングバトル! READY(レディ)!!」」



『――――START UP(スタート・アップ)!!!!!』



 ▶▶▶ NEXT▽


〔桐山剣 HP1500〕

〔マンドラ HP1500〕


初期ステータスを見ると体力値を表すHPの数値も同格。二人はカードデッキから手札として5枚引き、ゲームが始まるもお互いに丸腰である為先ずは様子見。蓄積されるEGを使って誰が先に動くかが鍵を握る。


「よっしゃ、EGも溜まったから早速ユニット召喚!」


 先制するは桐山剣。ブレスの前頭部にくり抜かれたカードの装填口から1枚カードを装填し、ボタンを押してスキャニング!!


『ユニットカード、【太陽の騎士】!!』


 ◎――――――――――――――――――◎

 〈ユニットカード〉

【太陽の騎士】EG:④

 AP:250 DP:200 AS:15

 属性:赤 ユニット/ナイト


 ・能力:[ファーストアタック][セーフガード:黒]

 ◎――――――――――――――――――◎


 ブレスから招来アナウンス。日輪の盾にプロミネンスの剣。橙色の装甲、甲冑姿は光り輝く《太陽の騎士》異次元ホールからフィールドに召喚された!


 対してマンドラ・チャンドレイユ。


「―――呼札・招来、【月影の騎士】!!」


 こちらは演出も対照的にファンタジー、魔法陣をマンドラの前に発生させ、刹那にそれは床に敷かれる。そこから這い上がるように召喚されたユニットがフィールドに舞い上がる施工。召喚というよりは儀式に近いのかも。


 ◎――――――――――――――――――◎

 〈ユニットカード〉

【月影の騎士】EG:④

 AP:250 DP:200 AS:15

 属性:黒 ユニット/ナイト


 ・能力:[ファーストアタック][セーフガード:赤]

 ◎――――――――――――――――――◎


「何……? 《太陽の騎士》の黒属性版ユニットだぁ……!?」


 これは剣も知らなかった。太陽とくれば月、それを表現させるような光と影の刃の対演出。先制攻撃の[ファーストアタック]も、対象となるカードのダメージを全て無効にする[セーフガード]も似ている。


「……へっ! 偽モン出して力が同等になると思ってるようじゃまだ甘いぜ。(オレ)には剣が無くちゃな!」


 手持ち無沙汰な剣は再びカードをデッキから1枚取り出してブレスへスキャン!


『カスタム・ツールカード、【ファイティングブレード】!!』


 ユニットが地から出るなら武器は空から! 降り注ぐ剣をパシッとキャッチし、逆手持ちで《ファイティングブレード》を装備した剣。


 ◎――――――――――――――――――◎

 <カスタムツール・カード>

【ファイティングブレード】EG:③

 AP(攻撃力):100 PP(使用回数):15

 属性:赤 装備:プレイヤー


 ≪必殺技≫

『ソニックブレード』EG:③ AP:150

 ・弧状のソニックブームに似た

 赤属性の斬撃を撃ち飛ばす。

 ◎――――――――――――――――――◎


「どーだこれが切り札騎士の()()、コイツがあれば百人力だぜ! 行くぞぉぉぉ!!」


 威勢良く飛び交う剣の先制攻撃、丸腰のマンドラに横一文字斬撃をぶちかますかと思いきや……!



 グォォアアアアアア!!!!


「うぉ、熱っ?!!」


 突如マンドラの前に燃え盛った炎、それが盾の役割となって剣は後退りし彼への猛攻を制止した。


「な、何今の炎……? あの人カードを使った形跡が無いよ!」


 みのりも遠くから戦いを見守り監視してみても、呼札による発動のログは無い。だが剣にはその真実を見抜いていた。


「違う……、あれはマンドラが発したPASの炎や!!」


 剣もマンドラもゲーム中に能力が使える『PAS』の持ち主。今の時点ではマンドラのPASがどんな力を宿しているのかは明確出来ない。

ただ確信が持てた事といえば、彼はゲーム内でも自由に()()()()()事だ。



「……何だ、これっぽっちの炎にも臆し屈するのかお前は。話にならん」

「何やと!!?」


 冗談に煽る筈が倍にして逆に煽られる。剣の精神も炎によって揺らぎ始めていた。


「ただ鉄を鍛冶稼業で打っただけの鈍ら刀なんぞ、俺の剣の消し炭にするのがお似合いだ」


 と再び、マンドラの呼札による詠唱が……!


「呼札・招来! 【サラマンドラセイバー】!!」



 虚空を切り裂き、音速の如く地面に突き刺さった剣。その剣は既に焔に包まれ持ってるだけでも火傷しそうな炎上状態。それにも関わらず平然とマンドラは右腕で引き抜き、装備した瞬間に長身の刃が更に炎の勢いを増した。


 ――その時、炎の剣を装備したマンドラの胸奥に宿るPASの波動が増すと共に、そのPASが剣の眼に形・色が明らかになっていった!



(赤と呼ぶには勢いが過ぎる程の紅色、そんな炎の中の奥に何か生き物が見える! トカゲだ、炎の中のトカゲ…………まさか!!)


 剣の思考回路にマンドラのPASの正体が繋がった!



「マンドラ、お前は魂に炎……いや、その中に【サラマンダー】が宿ってるのか!!!?」



「…………そうだ。四大元素の中で炎を司ると言われる伝説の精霊・サラマンダー、そいつが俺の魂の中で飼っている!


 ――――【四大精霊騎士(エレメンタルナイツ)】の為せる能力だ!!!」



 マンドラの魂に宿りしサラマンダーの炎が、桐山剣を翻弄させる! その燻す事なき灼熱に剣は立ち向かえるのか? そして四大精霊騎士(エレメンタルナイツ)とは一体何者なのでしょうか!?


 ――本日のゲーム、これまでッッ!!



 ▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ