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31.双炎の魂!やり残しの魂の決着!!

 ――マンドラ・チャンドレイユが蘇った!!


 妹を弔い進む事を止めた脚が動き、止まっていた時間が再び動き出したかのように、マンドラの奥に眠るサラマンダーの炎の魂も再び息吹が吹き込まれ、火種から激しい炎へと燃え盛り、PASの波動を強めていく。


 その波動はVRフィールドのみならず、垣根を超えて混沌の墓地、いやこのオリジンゲームワールドの広範囲に渡って波紋を呼び、それが彼の元へ集まろうとする同胞達にも察知した!


 ―――森林エリアへ……。


「……ほっほ! マンドラのヤツめやっと吹っ切れた様じゃな」

「あん? 何言うてんのやジーさん」


「豪樹の若造には感じぬかえ? マンドラから解き放たれたサラマンダーのPASの波動が……!」


 ―――深海エリアに……。


「マンドラから熱いサラマンダーのPAS反応あり。……やっと、燻られた心に火を灯したのですね――!」


「マンドラのPASが蘇った、という事は貴方達のお友達も……」

「戦ってる事と思われますルーラさん。この距離で微かながら剣さんのPASも感じます」

「つまり、あの勝負に勝ったらみのりちゃんを取り戻せるのね! 待っててぇぇ今行くからーー!!」


 ―――渓谷エリアからも……。


「マンドラ……! 遠くからでも私は分かるわ。貴方の熱い魂が、私にも届いているよ……!! 帰ってきたのね!!!」


「…………あのー、感動シーンに水指して悪いけれど」

「いい加減衣着替えたら? ゲーム終わってからずっと()()()()やん」


「後20秒待って。そしたら速攻着替えるから」



 ノムさん、ディーナ、シルヴィーと三人のエレメンタルナイツにしてマンドラの大切な仲間が、シャッフルオールスターズの面々も合わせて皆が混沌の墓地、決闘の地へと集結していく。


 ―――騎士の魂、炎の精霊の魂に導かれて。オリジンゲーム、決着の時!!!



 ▶▶▶ NEXT▽



 ◐AMAZING MIDWAY RESULT◑ 

 ☆〔桐山剣 HP2150 手札2枚 EG:④〕

 ・ユニット:《頑固な鍛冶屋》《太陽の騎士》《ありがたやの天使》

 ・カスタムツール:《大いなる伝説の聖剣―GXキャリバー―》


 ★〔マンドラ・チャンドレイユ HP1350 手札2枚 EG:⑥〕

  ・ユニット:《神秘の鍛冶屋》

 ・カスタムツール:《大いなる伝説の聖剣―GXキャリバー―》《呪われし龍滅魔剣―BMクーガ―》《妖星砕けし神通剣―TMソハヤ―》《閃光の輝く剣―CAソーラス―》


 ※間もなく《超電磁装備解除装置》による装備不可時間が終了する。



 ……これが、今のアメイジングの状況。上記にも書かれていたように剣によって束縛されていた武器装備不可の制限も次のカードドロータイムで開放。つまりはマンドラが招来した4本の聖剣が装備可能となる。


 その時、熱気と共に波紋を呼んでいたマンドラの炎のPASが輝き始めた……!


「我が魂の淵に宿りしサラマンダーよ。戦いに逆巻く炎を呼べ! そして我が未来を導くべく今一度、我が最愛の同志の御霊を呼び戻し給え!! ――――PAS、発動!!!」


 ――いざとなったら魂を込めろ! 燃ゆる炎の精霊サラマンダーの魂を!!


 ◎――――――――――――――――――◎

 ・マンドラのPAS『サラマンダー』確認。

 ・PASスキル【双炎の絆】発動!


 ドローカードの代わりにデッキ外から

 特定したカードを手札に加える。

 ◎――――――――――――――――――◎


「行くぞ桐山剣! 俺の本気に切り刻まれんなよ!!」

「上等や、途中でゲーム投げたお前が俺に太刀打ち出来るならやってみぃやボケェ!!!」


 開幕早々喧嘩上等の二人。時はそんな彼らの文句をも過ぎて刻んでいく。……さぁ、間もなく30秒経過。張り切って参りましょう!!



 《CARD DRAW(カード・ドロー)



 ――ヒュンッッ、ギュォォオオオオオ!!!


 カード1枚空を斬り、その風圧からか地をも翻す波動を迸らせてドローカードを詠唱した!!


()()、出来の悪い兄からの頼みだ! 俺に力を貸してくれッッ!! 召喚だァァァ!!!」


 宙に煌めく1枚の呼札、黄金の光と共に招来するは……おおっ!?


 オリジンゲームワールドにて戦死した筈のマンドラの妹、サラ・チャンドレイユが復活……、というよりはその面影を思わせるカードとして召喚された!!


「……もしかしてあのサラ、剣くんから奪ったカード……?」


 みのりだけでなく誰もがそうでは無いかと思った。私も思いました。しかし吹っ切れた彼がそんな姑息な手を使うとは思えない。その真意はPASの波動を読み取れる桐山剣が知っていた。


「いや……、俺のカードとは違う覇気を感じる。それにさっきPAS発動していた時に、この墓地の奥から赤い光を発していた。

 ―――あれは、()()()()()()なんだろ?」



「…………そうだ。サラが、俺の妹が不甲斐ない兄の俺を助けに来てくれたんだよ―――――ッッッ!!!!」


 マンドラの眼に流れるは透き通った涙。彼のサラマンダーの魂が奇跡を起こしたのか。黄泉に眠るサラ・チャンドレイユの魂がPASの導きによって、アメイジングカードとして生成されてこの戦場に蘇ったのだ!!


 ◎――――――――――――――――――◎

 <ユニットカード>

【サラ・チャンドレイユ】EG:⑥

 AP:500 DP:400 AS:15」

 属性 赤 ユニット/ヒューマン/ヒーロー

 ・能力:このユニットが場に出たとき

 相手のユニット全てに

 300ダメージを与える。

 ◎――――――――――――――――――◎


火神業炎波(サラマンダーフレイム)ッッ!!』


 ―――ゴォォォアアアアアアッッッ


「おぉぉおおおお!!?」


 ゲームから転生されたサラの魂ユニットの凄まじき威力! 火炎エネルギーの玉を両手に生み出しそれを放り出して着火した途端、あっという間に剣サイドのフィールドは火の海に! 騎士に天使に鍛冶屋と3体の剣のユニットは全滅した!!


 そんな解決処理も終えた所で、マンドラは再び妹と巡り会えた事、そして亡くなる前に自分のせいで守れなかった事を後悔していた兄として、ケジメの付け時だ。


「サラ……、本当にゴメン。俺が前ばっかり突っ走って行ったばかりに、お前を……!!」


『自分ばっかり責めないで。お兄ちゃんは私だけでなく、仲間も住民の皆も全部守ろうとして必死に戦ってたの分かるもん。だから私は死んでもお兄ちゃんを恨まないし、ずーーっと今の今まで見守ってたんだから!


 ―――お兄ちゃんの覚悟を決めた炎の魂、いっぱい伝わったよ!!』


 純粋な性格も、声も全くみのりと同じなサラ。それに剣もみのりも唖然としつつ攻撃するなんて事はしない。とにかくサラの魂から本心をようやく聞く事が出来た兄・マンドラ。滴っていた涙が急激に勢いを増し、滝の流れのように荒んだ心を潤していった。


「………………サラ、ありがとう。本ッッ当に、あ゛りがとう゛な゛ッッッ………!!!!!」


 サラマンダーの燃ゆる魂に涙を出しても、その火は消えるどころか勢いを増して闘志を湧き上がらせた! 彼の涙は油とか野暮な事は抜き。10年間流せなかった涙を拭い、過去を乗り越えたチャンドレイユ兄弟。いよいよここが正念場!!



「――――GXキャリバー、BMクーガ、TMソハヤ、CMソーラス! 4本の聖剣よ俺と、サラの両手に宿せ!!!」


 地面に突き刺さった聖剣、蓄積されたEGを全て消費しGXキャリバーとBMクーガをマンドラに、TMソハヤとCMソーラスをサラに装備して2+2の四刀流チャンドレイユ兄妹が、桐山剣に勝負を仕掛ける!!


 おおっ! そしてサラが仕掛けた火神業炎波(サラマンダーフレイム)の火の海が湿気った混沌の空を打ち消し、深淵の闇の夜を炎が斬り裂き、そこには青く澄んだ空がゲーム戦士達を迎え入れた。まるでマンドラの心の闇を打ち消したかのように……!


「スゲェ…………!!!!」


 桐山剣もこの光景に目を輝かせ、一度は放棄されかけたゲームに恍惚の笑みを浮かべ始めた!


「さぁ桐山剣、掛かってこい! ()()双炎のサラマンダー兄弟が相手になってやる!!」

「……良いぜ! 聖剣何本持とうとも、俺はこの一筋の刃に賭けるだけや!!」



 ――この時、桐山剣とマンドラ・サラ兄妹の心意気からして、今回のラストゲームにこれ以上のゲーム性や展開に理屈は要らない事に気付いてしまった。


 HPの数値も、手札も、フィールド状況も、聖剣の効果も、付加効果によってゲームを左右されるこのゲーム。しかし戦うゲーム戦士達とってはこの場面ですらも興醒めに思えてしまうのか。彼等が想う願いは一つ。



『「「効果処理とかダメージ計算とかごちゃごちゃしたのは抜きで、思いっきし暴れたいんだよ!!!!!」」』



 最早ゲームでのジャッジ等関係無い。今はただ魂が震える限り、思う存分闘いたい……!!!


『「「行くぞォォォォオオオオオオオオッッッ」」』


 切り札騎士に双炎の兄妹、みなぎる闘志の相対性理論が激突!! ぶつかるゲーム戦士と風斬る刃!!


 四刀流と一刀流では分が悪いか桐山剣、いやそこは持ち前のド根性が光るか乱舞する刃を潜り抜けて一閃突き刺すはGXキャリバー!!

 だがそれに怯まずサラのクロスした二刀斬り、炎を操る女は剣にも優れているのか!? ここで桐山剣にかすり傷一つ負わせた、肉体は失われても熱い魂は不滅だ!!!


「そんなものか桐山剣!!!」

「あぁッ!?」


 っとここで、マンドラが再び攻撃を止めた途端剣に面と向かっての対話だ。


「お前も元の世界に帰れば、おそらくは俺と同じように苦しい事や辛い事があるだろう。騎士の肩書を持つ者ならば、他の仲間が受けた痛みも共に分かち合う責務がある。そしてお前がこの異世界であるオリジンゲームワールドまで飛び込んで、彼処に居る河合みのり、サラの生き写しの娘に危険が及んだ時にお前は、()()()()守る覚悟は出来てるか!?


 ――お前に……この娘を救える魂は持ってるかッッ!!!?」


 疲れが見え始めていた桐山剣に檄を飛ばすマンドラ。その言霊まで熱く燃える覇気が、尽きかけた剣の魂に着火し、期待以上の言葉で返した。



「―――――当たり前だああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」



 その咆哮は自然と剣の身体を奮い起こし、その聖剣に振われる一太刀の剣筋は、兄妹二人をもたじろぐ程の猛威を魅せた!!


「みのりはなぁ、俺の崩れかけた心を癒やしたダチなんや!! 共に笑って、泣いて、ふざけあって、そんな何気ない日常の一日一日が愛しい程に楽しくって! とにかくソイツらに報いる為に俺はゲームに強くなってやるって気持ちにさせたのも、()()()()()()みのりなんだよぉ!!!!」


「剣くん…………!!」


「二人だから何や、四刀流が何や! んなもんに弱腰ヘタっても何も残んねぇよ!! 俺の武器はつるぎ、俺の魂も剣。そんで名前も御誂え向きに“剣”や!!!


 ―――真一文字に煌めく刃と俺の魂が、負ける訳ないやろがァァァァァッッッ!!!!!」


 〔桐山剣 HP1000〕

 〔マンドラ HP1000〕


 なんとここで両者持ちつ持たれつな展開を繰り広げた結果同数値のHP。その時、剣とマンドラの既に7、8枚程に温存された手札から1枚のカードが同時に引き抜かれてカードスキャン及び詠唱準備。


 そこに縦に横にと、カードを確実に決める勝負を仕掛けるべく振りかぶるは三つ巴・5つの聖剣の刃!!



 ―――――キィィィィン…………ッッ!!



 混じり合った刃に、がら空き状態は左手の剣。マンドラは詠唱に必要な減らず口。


『アクションカード……』

「アクションカード……」


 片やブレスを起動・カードスキャンし、片や息を大きく吸い込んでのカード詠唱!!



「『―――【インフェルノ・バーン】!!!!!』」


 ゴァァァァァアアアアアアアアッッッ


 その刹那、フィールドの中央に殺陣合う三人のゲーム戦士から吹き上がる炎の柱!!! 地獄の閻魔様をもゾッとさせるような炎の大海原状態、その中に入り込んだ剣らとて、無事で済む訳が無い!!


 ◎――――――――――――――――――◎

 〈アクションカード〉

【インフェルノ・バーン】

 属性:赤 EG:⑦

 ・効果:各プレイヤー・ユニット全てに

 700ダメージを与える。

 ◎――――――――――――――――――◎


「……敵味方関係無しのバーンカード、それを同時に2枚発動……って事は!?」


 炎に包まれる戦士達を見守りながら、カードの詳細を知ったみのりはゲームの行方を悟った。そして炎の中に闘志を燃やし尽くしたゲーム戦士も……。



「……………引き分け、か」

「そうらしいや。……どうする? これじゃどっちが最強のゲーム戦士か分からねぇぜ。もっかいやるか?」



「いや…………、俺はもう、燃え尽きたよ―――――!」



 〔桐山剣・マンドラ HP0 DOUBLE KNOCKOUT!〕



 ――炎の海はゲーム終了と共に消えた。そしてPASの力で呼び覚ましたサラの魂カードもまた別れの時が来た。

 マンドラは全身全霊でゲームに挑み、引き分けたが一片の悔いは残さなかった。


 それを戦いの中で確認したサラは、消えゆく前に最期にマンドラにもう一度満面の笑顔を送り、そのまま光の粒子と共に消滅していった。



 この混沌の墓地に落とした忘れ物を取り戻し、サラ・チャンドレイユという真っ赤な炎の魂は青い空の彼方に飛んでいき、異世界の惑星に散らばる一番星になっていった……………。



 ▶▶▶ ORIGIN GAME ALLSET...▽



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