3.謎のゲーム戦士出現!!
―――西の空に夕焼け・茜色。楽しい一日も日が沈めば忽ちメランコリー気分。
そんな日曜の習慣もご機嫌で払拭し、帰宅の路へと向かうのは剣とみのり、仲良しコンビ。
「みのり、今日は楽しかったか?」
「うん、とっても♪ 穂香ちゃんと初めて一緒にゲーム出来て嬉しかった〜♡」
「半年間謹慎処分受けたからな、穂香もそれが開放されて嬉々してたの俺にも分かったぜ」
前作『極限遊戯戦記ゲーム・ウォーリアー』にて、父・賢士朗が起こした事件に関与していた穂香の謹慎も解けてようやく仲間とゲームが出来る平和な日々の訪れに、みのりも笑顔が絶えなかった。
「……ねぇ剣くん。ゲームってホントに楽しいね」
「せやな、ゲームってさ人種も差別も全部取っ払って平等に見てくれるしな。盤の上に立てば誰が相手でも誠意を持って交流もできるし、終わればいつの間にか仲良うなってるし。ゲームってホンマ不思議な娯楽だよ」
ゲームとは人々の交流の橋にもなる不思議な魔力を持つ。故に剣もみのりもゲームから出合い、仲間たちと出合い、更にはライバルとも共に繋がり合う絆を得た。
それとは裏腹にゲームから発端して争いが絶えないのも事実。それを分かっている上でみのりは呟く。
「――――皆、争いなんか止めてゲームで仲良くやれたら良いのにな。良い人も悪い人もみーんな」
「…………………あぁ」
この温かな日々を壊さぬように、剣とみのりは想いに更けていた、その時。
『―――――見つけたぞ』
何処から聞こえたか呟きの一声、二人はそれに反応し周囲を見渡す。
「……みのり、何見つけたって??」
「え、私に何にも言ってな―――――ッッ!!!!!」
その時みのりは空を見上げた途端に驚愕の極地に陥った。
「つ、剣くん……あれ………!!!」
空を見よとみのりが指差せば、鳥か飛行機かはたまた……何てものじゃなかった!!
夕焼けの空に突如発生した黒い渦、そこからニュッと出てきたエンタープ◯イズ的な宇宙戦艦!!!
「…………あの、これゲーム小説だよね? たまにSFって読者から言われてるけど」
正しくは『SF寄りのゲーム小説』です。
「……あ、宇宙船の上に誰か居るよ!」
またまたみのりが指差す先、宇宙船の先端に立つは一人の男。すると身軽な身体で上空の船から生身で飛び降りて地上にシュタッと着地した。
(な、何やアイツ……!? 遠くにいるのにアイツが降り立った途端物凄い熱気が迸ってやがる……!!)
真っ赤な装甲具から熱帯にいるような凄まじい熱気が彼から放出されていた。
「……オイ何やお前! 降りた途端に熱苦しい熱気出しやがって常夏気分ですかコラァ」
ヤンキー口調で挑発する剣に対し、男は冷淡に一声放つ。
「―――ここの者は俺の炎にも耐えれんのか。貧弱な種族だな」
「何!?」
「そしてお前もそうだ、身なりだけ着飾って大した切れ味も持たん剣の魂をしている」
「魂……、お前俺のPASが見えるんか。お前もゲーム戦士ってか!?」
「PAS……お前の時代では魂をそう呼ぶのか」
話せば話すほどますます分からなくなる剣。時代といい、時空間を裂いて現れた宇宙船といい、彼の素性は明らかに普通のゲーム戦士とはかけ離れた何かがあった。
「お前………一体何者なんや!!?」
その答えに躊躇わず、男は答えた。
「俺の名は【マンドラ・チャンドレイユ】。――――500年前のゲームワールドから来たサラマンダーを加護とする、通りすがりのゲーム戦士だ」
「………………はぁ???」
何という因果か因縁か、時空間を超えて現れたゲーム戦士に妙な既視感。それに仮想電脳空間であり創造物である筈『ゲームワールド』が何故に500年の年月とまるで遥か彼方の位置に実際にそれが存在するような事を示唆したのか!?
謎が謎を呼ぶ壮大スケールでお送りするゲームウォーリアー外伝、マンドラ・チャンドレイユを始めとする新ゲーム戦士とシャッフルオールスターズを軸に、ゲームバトルラッシュの幕が開きます!!
――本日のゲーム、これまでッッ!!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽