29.真の持ち主、偽りの聖剣
◐AMAZING MIDWAY RESULT◑
☆〔桐山剣 HP1950 手札3枚 EG:③〕
・ユニット:《頑固な鍛冶屋》
・カスタムツール:《大いなる伝説の聖剣―GXキャリバー―》(時空間超越して招来)
★〔マンドラ・チャンドレイユ HP1350 手札2枚 EG:⑧〕
・カスタムツール:《大いなる伝説の聖剣―GXキャリバー―》《呪われし龍滅魔剣―BMクーガ―》
※カスタムツール装備解除・一分間装備不可。
――桐山剣に奇跡の聖剣が装備!
時空間を乗り越えて、彼の手に宿りし《大いなる伝説の聖剣―GXキャリバー―》。これさえあれば百人力、『梅にウグイス』『納豆にネギ』! まだまだベストマッチな例えは尽きないが、とにかく聖剣の意志が桐山剣を持ち主と選ぶ以上、これ程頼りになる武器はない!!
《CARD DRAW》
おっとここで30秒が経過、互いにチャンスのドローカードタイム。
(ぐっ……!?)
マンドラ、ドローカードを手にするも反応に曇りを見せる。手札にはGXキャリバーで回収した《神秘の鍛冶屋》ユニットカードを含む3枚。その3枚全てを蓄積したEGに注ぎ込み、連続カードスキャン!
『ユニットカード、【神秘の鍛冶屋】!!』
『カスタムツールカード、【閃光の輝く剣―CAソーラス―】!!』
『カスタムツールカード、【妖星砕けし神通剣―TMソハヤ―】!!』
「……マジかよまだ聖剣持ってたんかアイツ……!」
ユニットのみならず、何ともう二本の聖剣を招来したマンドラ!! CAソーラスはアイルランドの光る剣『クラウ・ソラス』を、TMソハヤは日本の坂上田村麻呂が使ったと言われる名刀『ソハヤノツルギ』をモチーフにした聖剣カード!
今回は諸事情によりカードテキストは未公開とさせて頂きますが、現時点で4本も聖剣を招来させたマンドラ。装備したらそれこそ大波乱を起こす所だが、皮肉にもそれが出来ない状況に陥っていた。
「お前が発動した《超電磁装備解除装置》の影響で、俺は聖剣一本も持てない状況になっている。鍛冶屋が居ても俺の盾にしかならん」
「そーらしいな。あのカードも聖剣に拘ってそうなお前にピッタリなメタカードだったし、GXキャリバーが居るから全然怖かねぇ」
4本もある聖剣が目の前にあるにも関わらず装備出来ない者と、一本の聖剣を片手に五体満足で戦える者。
この大きな差が、余計にマンドラの魂を虚しくさせていく……。
「………………何でだよ。俺もお前と同じGXキャリバーも持ってるし、他の聖剣も場に出ている! なのに何でお前みたいに意志が聞こえない!? 聖剣が見せる本物の波動が感じてこない!!?」
「……その聖剣らは、時空間転移で他の次元の世界で集めたカードちゃうんか?」
「違う! これはこのオリジンゲームワールドの戦場で集めた聖剣を自ら生成して創られたカード達だ! だがお前のように意志疎通も眩い光も発した事は一度も無い!!」
マンドラが使用している四種類の聖剣カードは、5年前の災厄の際に戦死した戦士や所持主が分からぬまま廃れた聖剣を、己の魔力でカードに変換させたものであった。即ち本来の力を見出せなくなった聖剣を、無理やりカードの力として引き出したものに過ぎない。
―――マンドラが使う聖剣は、聖剣であって聖剣で無し。本来の持ち主で無い者が使っても、それは偽りの聖剣でしか無かったのだ……!
「………………まぁ、何となく分かってたけどな」
「待てよ、じゃあれか? お前が持ってるGXキャリバーやDLランダルは皆、本来は別の持ち主の物だったんか?」
「そういう事だ。……いや、俺が持ち主である聖剣は一つだけある。それがこれだ」
マンドラが長年使っていたというその聖剣は何と、《呪われし龍滅魔剣―BMクーガ―》。竜殺しの魔剣であった。
「結局コイツも今となっては持つ事すら否定しやがる。妹を見殺しにした剣なんざ持っていたって仕方が無い。あの時からもう持ち主では無くなっていた」
“見殺しにした”というよりは、BMクーガを携えて強敵に向かおうとするも、共に戦っていたマンドラの妹サラ・チャンドレイユを守れずに戦死させてしまった事を自責し、大切な人を守れなかった自分の剣を自ら放棄したのでした。
「もう、どうしようも無いんだよ……。辞めだ、俺は降参する。お前の勝ちだ、桐山剣」
マンドラ、ここで自ら降参の意を表明す………って、えぇッッ!!!?
〔マンドラ SURRENDER《降参》!!〕
「…………はぁ!!!?」
ちょちょちょ、ちょっと待った!! 打ち切り冗談よりラストゲームをサレンダーにするのは流石に不味いですって!! 読者の皆様が納得しませんよ!!!
「納得してねぇのはこっちや!! ふざけんなよまだ決着付いてねぇだろうがボケェ!!!」
突然の戦意喪失によるマンドラのサレンダーに憤る剣。そりゃそうですよ、自分から本気でリベンジを仕掛けたのにその相手に対戦放棄されたら怒るのも当たり前!
「お前持ち主がどーたら拘り持ってんのか知らんけどな、俺にゲーム戦士のREAL見せるつったのは嘘だったんか!? 諦めたきゃ勝手に諦めろってのがお前の現実か!! あぁ!!?」
「お前を倒してゲーム戦士否定したって何も生まれないだろ」
「だったら聖剣構えてる俺を倒して証明すりゃ良い話だろ?」
「……確かにREAL見せるって言ったさ。けどな、もう虚しくなった。疲れたんだよ俺は……」
「………………」
剣はこれ以上、何も反論することが出来なかった。
妹を死なせてしまった苦しみから開放されず、必死に抗おうにも聖剣を持つ資格に疑問を持ってしまった以上彼の魂に炎は失せ、燻されたかのように煙を立てるだけ。そんな彼を見て剣は戸惑ってしまった。
「それでも気が済まなそうな顔してるな。そりゃそうか、お前のPRIDEを取り返しに来たんだもんな。――じゃサレンダーは無しにしてやる。俺を斬り刻むなり焼くなり好きにしろ」
〔GAME CONTINUE《ゲーム続行》〕
――ホッ、何とかゲームは続行されましたね。良かったぁこのままどーなるかと思いましたけれども……。
「……本当にそれでえぇんか? お前、目が死んでるぜ」
「良いんだよ。ほら、さっさと殺っちゃえよ」
完全なる自暴自棄に陥ったマンドラ。このまま静止しても埒が明かないと見た剣はゲームを進めていく。
『ユニットカード、【太陽の騎士】!! 【ありがたやの天使】!!』
《剣 HP1950→2150》
ここで剣は回収した《ありがたやの天使》とドローカードによって引いた2枚目の《太陽の騎士》を召喚し、天使の効果でHPも回復。
あとは攻撃をすれば更に戦況はリードするのだが……、剣は躊躇っていた。
「―――こんなゲーム、つまんねぇよ………!!」
マンドラは眼は瞑ったまま我が身を盾にしての開き直り状態。抵抗する意志は一向に見えず、本当に斬り刻まれる覚悟でいた。
(ゲーム戦士の誇りを掛けて戦う筈が、俺がゲーム戦士の現実を教える結果になるなんざ思わんかったわ。このまま攻撃すれば勝てる。……でも勝った所で後味悪くなるだけやがな)
それが、ゲーム戦士の“現実”なのでしょうか。互いの誇りを掛けて、最強を目指して戦うゲーム戦士同士が説教を垂れても結局嫌味にしか聞こえないのか。
「………どうした早く殺らないのか? 決心が鈍らんうちに早い所―――――」
と、マンドラが急かし始め剣に言及しようとしたその時。途中で会話が切れたかと思いきやマンドラは目の前の何かに気付いたようだ。
「――――――何で、お前がここに居る」
「は?? 今こーしてゲームしてるからここに居んだろアホか。とうとう頭まで逝っちまったか……………」
一応、剣も念の為周囲を見渡した。一瞬だけ彼の横に彼女が立っていた事に視野が入った事で一旦硬直し、ヒュッと素早く横を振り向いた先に時間差で剣は言った。
「何しとんねん、みのり!!!!????」
何と宇宙船から遥々走って向かった河合みのりが、身体中泥まみれ、服もボロボロで血も流れてる姿で剣らの元に辿り着いた!
果たして、こんなになるまでみのりは何を伝えたかったのでしょうか……? 詳細はまた次回。本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




