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27.何が彼女を動かしたか

◐AMAZING MIDWAY RESULT◑ 

 ☆〔桐山剣 HP1450 手札2枚 EG:④〕

 ・ユニット:なし


 ★〔マンドラ・チャンドレイユ HP1750 手札2枚 EG:②〕

 ・カスタムツール《長久の聖刀剣―DLランダル―》《大いなる伝説の聖剣―GXキャリバー―》

 ・プレイヤースキル【フレイムブースター】確認

 ――ゲームは絶賛進行中、劣勢に立たされた主人公がいかなる逆転劇を魅せてくれるか、楽しみにしている皆様もいると思いますが……ちょっとだけ閑話休題。


 何やらゲーム以外である変化が起きていたようです。



 ▶▶▶ NEXT▽


 ――場所はオリジンゲームワールドの沈黙に包まれた平野。そこにはエンジンが停止された二隻の宇宙船。

 片方は度重なる時空間転移を繰り返した事により不調を起こしていたエンター◯ライズ……いや違うっての、『S.D.M.S-アルファ号』。


 そのアルファ号にエレメンタルナイツが乗船していたのですが、ご存知のように全員ゲームバトル真っ只中で無人状態……かと思ったが実はそうではない。



 ―――アルファ号のエンジンルームにて、マンドラに言い咎められて待機していたシャッフルオールスターズ、ヒロインは河合みのりがいた。


「………………」


 ちょっと、やっとこさの登場なのに無言じゃないですかみのりさん。……いや、彼女はマンドラに保護されてからずーーっと彼の事で気に掛けているのでした。



『所詮異次元で生きてる赤の他人に、俺の痛みが分かってたまるか……!』



 みのりの脳裏に浮かぶマンドラの本音。それだけでなく彼女がこうしている間にも他の仲間や、他ならぬ親友の桐山剣が自分を取り戻そうと戦っている事もみのりには分かっていた。


 このまま自分はじっとしているだけで良いのか……? いいや否! そう決心したみのりはキッと真剣な表情を浮かべつつ。立ち止まったその身体を奮い起こし、アルファ号から飛び出した。



 ――走る走る、みのりは走る! 月も太陽も見えない漆黒の空の異世界、未知なる地平線を超えて決死の覚悟で突き進む!!


 だがしかし、我々の常識を覆すこの異世界は勇気だけで辿り着ける程甘くは無い。と云うのも、


 ―――ドンッ!!


「きゃん?!」


 みのりを阻む透明の壁。マジックミラーの個室でよく見られる鏡の迷路に阻まれたかと思えば、


「ふぇえぇええ、浮いてる?!?!」


 風も吹いてないのにフーワフワ、無重力状態になったみのりは天高く浮かび上がったかと思ったがどっこいしょ。


「み゛ゃああああああああああ?!!!!?」



 急に重力が付加されて宙に浮かんでいたみのりが突如地面に叩きつけられてドスンからのキュー☆ ゲームウォーリアーで無ければ大怪我必須のゲームワールド名物ナチュラル迷路に迷い込んだみのり。ヒロインにも容赦無しに翻弄していく!


「うぅ……、い、痛い……! でも……ッッ」


 既に擦り傷や打撲の跡、叩きつけられ身体中土まみれのみのり。半ベソ掻きながらも彼女に“諦める”というコマンドは無い!


「――――負けないもん!!!!」


 闘志は満タン、気分はノーコンティニュー! たとえ攻略法も分からぬゲームであろうと、挑まなければ始まらない! 迷路を行く行くみのりは行く!!



『きゃぁあ?! ……え、何、名刺? “ゴブちゃん”? あーゴブリンだからゴブちゃんなのね、って胸揉むなエッチー!! …………何そのジェスチャー。“大して大きくなかった”? なんですってーーーー!!! (バシッッ!!)』



 ちょっと!? 別の意味で迷ってませんかみのりさーーーん!!!



 ▶▶▶ NEXT▽


 ――みのりのパートはこれくらいにして閑話休題。ゲームパートへ。


 DLランダルにGXキャリバーと聖剣を二本も招来されて劣勢に立たされている桐山剣。

 しかし、彼もみのり同様に“諦める”コマンドは1,2のポカンで忘れてる模様。それどころかこの盤上を攻略しようと俄然やる気だ!! それを証拠に剣はカードを取り出してカードスキャン!


『ツールカード、【精神集中】!』


 ◎――――――――――――――――――◎

 〈ツールカード〉

【精神集中】

 属性:青 EG:③

 ・効果:自分の手札を3枚ドローする。

 ◎――――――――――――――――――◎


 ここで桐山剣の手札を潤すドロー補充カード。カードを3枚引いて4枚の手札に。そして補充した手札から再びカードをスキャン!


『ユニットカード、【厳正な鍛冶屋】!!』


 ◎――――――――――――――――――◎

 〈ユニットカード〉

【頑固な鍛冶屋】EG:②

 AP:100 DP:50 AS:5

 属性:赤 ユニット/工匠


 ・能力:①このカードが場に出た時、

 自分のデッキから『カスタム・ツールカード』を

 1枚手札に加え、その後シャッフルする。

 ◎――――――――――――――――――◎


 こちらはマンドラの《神秘の鍛冶屋》に類似した工匠ユニット。いかにもな頑固親父の風格を表すユニットは比べるとカスタム・ツールのサーチしかできないが攻撃力は若干こちらが高い。異世界同士の工匠対決か。


「鍛冶屋おっちゃんの効果でデッキからカスタム・ツールカードを手札に加える!」


 デッキから手札に加えるカードは、必ず相手に公開させてから加えるルールがある。それに則って剣はそのカードを公開。カードは《ファイティングブレード》だ。


「俺の剣に朽ちたブレードにヘッポコ鍛冶屋か。そんな場当たり的な戦法で聖剣を凌げると思うな!!」


 マンドラのプライドに水を指したのか、半ば苛立った表情で彼は蓄積したEGを消費し、コマンドを放つ。《長久の聖刀剣―DLランダル―》の装備コスト『カスタムクロス』だ!!


「カスタムクロスの効果で、俺にDLランダルを装備だ!!」


 おぉっとこれは凄まじいぞ! マンドラの右手にGXキャリバー、左手にGLランダルの二刀流が実現した!!


(やばっ……!!)


「そのまま俺は、桐山剣に攻撃だ!!」

「来た……!!」


 武器を装備したプレイヤーがプレイヤーにダイレクトアタックも出来てしまうのがアメイジングの凄さ! これを防ぐにはプレイヤーはカードで応戦するか、盾でガードするか、若しくは自分の躍動を活かして攻撃を回避するしか無い!!



 二刀流を駆使し襲いかかるマンドラに対し、桐山剣は持ち前の運動神経を駆使してサイドステップからの開脚ジャンプ、横へ側転しつつとマンドラの風斬る太刀筋を見切って回避する。


 しかしDLランダルの長い刃のリーチが間合いを取っていた桐山剣の腹部を掠り、ダメージ判定されてしまった!


 《桐山剣 HP1450→950》


 DLランダルの装備ステータス修整分を喰らった桐山剣。手痛いダメージに三桁代に突入。


「なんちゅー威力や……! そのD()L()()()()()とやらも大した剣じゃねぇか」

「【DLランダル】だ、間違えんなバカ。お前こそヘボデッキで良く世を渡れたと褒めてやるよ。ムカつく程にな……!!」


 桐山剣は未だコモンカードの寄せ集めのようなデッキながらも類稀なる戦術で強敵を突破したゲーム戦士。だがそのデッキと戦うマンドラにとっては、その構えすらも苛立ちの対象となっていた。



「……俺は二度と無様を晒すまいとゲームのセンスも、このアメイジングにおいても磨きを掛けてきた。お前のように玄人ぶって気楽にゲームしてる奴見るのが、俺にとって虫唾が走る程にムカつくんだよ!!!」



 《CARD DRAW(カード・ドロー)


 マンドラの激怒がゲームを動かしたかのように、本日二度目のカードドロータイム。互いにデッキから1枚カードを加えた時、剣は微かに好反応の表情を浮かべ、マンドラは確認するや否や直ぐにカードを詠唱した。


「カスタム・ツールカード、【呪われし龍滅魔剣―BMクーガ―】!!!」


(さ、3枚目の聖剣カードだと………!??)


 ◎――――――――――――――――――◎

 〈カスタムツールカード〉

【呪われし龍滅魔剣―BMクーガ―】

 属性:無 EG:③ PP:15

 ・効果:[カスタムクロス:プレイヤー/ユニット/EG③]

 ①装備したユニットまたは

 プレイヤーはAP/DP400アップし、

[セーフガード:ドラゴン]を得る。

 ②このカードが戦闘ダメージを与えた時

 自分はEGを③増やす。

 ◎――――――――――――――――――◎


 ロングソードの刃に黄金の柄、そしてその柄には青い宝玉が埋め込まれ鞘は金色の打紐で巻き上げられていた11本の聖剣カードの一つ。


 そしてこのカードのモチーフ、今度はドイツは叙事詩『ニーベルンゲンの歌』に登場するバルムンクがモチーフの竜殺しの剣として、大英雄・ジークフリートの愛剣として軍功を上げました。

 しかしこの剣は様々な因果によって怨讐が込められた意味を込めて、“呪われた聖剣”としても有名なのです。


 そしてこの『BMクーガ』は竜殺しとして名に恥じないステータス強化と[セーフガード:ドラゴン]持ち、更に戦闘ダメージを与えるとEGも蓄積というトンデモ効果を持つこちらも曰く付き聖剣なのだ!


「更にBMクーガをカスタムクロス! これも俺に装備させる!!」


「ちょっ、オイオイオイ! それじゃお前()()()になっちゃうじゃねぇか! それ口に加えるんか? で海賊でも狩るんか!?」


 等と桐山剣が要らない冗談を口にしたばかりにムッとなったか右手にGXキャリバーと器用に握りしめての三刀流装備となった。……ホントに口に加えるつもりだったりして。


「うるさいッッ!! そのまま斬られて逝っちまえ桐山剣!!!」

「何余計に怒らしてんねんGのおっちゃん!!」


 今に始まった事じゃないでしょう!? それよりも早く対処しないと三本の聖剣の大ダメージと、あと色々とヤバいダメージ効果でやられちゃいますよ!!?


 流石に桐山剣も狼狽えるかと思いきや、またしても急にクールになりだした彼はこう豪語した。



「――――お前、その程度でゲーム戦士語ってる訳ちゃうやろ?」



 桐山剣、余裕の表情!! 迫る三本の聖剣攻撃に彼は突破する攻略を見つけたのか!? その答えは次回までのお楽しみに、それまでカードゲーマーな読者の皆様は想像を膨らませてお待ち下さい!



 ――本日のゲーム、これまでッッ!!



 ▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽

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