26.聖剣カードを持たせるな!!
◐AMAZING MIDWAY RESULT◑
☆〔桐山剣 HP1450 手札2枚 EG:③〕
・ユニット:《太陽の騎士》《ありがたやの天使》
★〔マンドラ・チャンドレイユ HP1250 手札3枚 EG:②〕
・カスタムツール《長久の聖刀剣―DLランダル―》
――アメイジングに伝説の聖剣出現!
GXキャリバーと同等の力を持つという《長久の聖刀剣―DLランダル―》の招来により、依然として緊張の度を上げていく桐山剣。
そして、アメイジングは開始から30秒が経過。これにより各プレイヤーにデッキから1枚カードをドローする機会が与えられる。
《CARD DRAW》
ブレスの有機ELモニターからドローを合図するエフェクト文字、それに従うように剣はボタンで操作しメモリー内に保存された手札のデータに1枚追加。マンドラは浮遊するカードを1枚増やす。
(……よっしゃ、ユニットを装備させる事で強化するカードを引いたぜ!)
桐山剣に手応えありの表情。ここで読者の皆様だけにドローカードの詳細をどうぞ。
◎――――――――――――――――――◎
〈カスタム・ツールカード〉
【聖天の覚醒】
属性:黄 EG:④ 装備:ユニット
・効果:装備したユニットは
AP/DP300アップする。
◎――――――――――――――――――◎
聖剣と同じく装備カードの一種だが、こちらは武器というよりもパワーアップの一環、装備強化のカードだ。
そして剣のユニットは《太陽の騎士》と《ありがたやの天使》。相変わらず天使ちゃんは拝みっぱなしだが一応戦闘に関しては真面目だ。
(こいつを、[セーフガード]と先制攻撃を持つ[ファーストアタック]能力持ちの騎士か、神様祈願状態の天使に付けるか……やな。――まぁあのDLランダルがマンドラか、或いはユニットを出して装備する前に攻めな始まらないわな!)
警戒は固めつつも、やはり決闘となっては自ら攻めなければ突破口は切り拓けない。桐山剣は思い切ってドローカードをスキャン!
『カスタム・ツールカード、【聖天の覚醒】!!』
「こいつを《太陽の騎士》に装備! これでステータスをパワーアップさせ」
「そこだ」
……っと?!! マンドラが急に魔力を放出させて《聖天の覚醒》の発動解決前にその時を止めた! 早い話がこれがマンドラ流の『カウンター・レスポンス』発動、ちょっと待った状態だ!!
「アクションカード、【異次元幽閉】!!」
◎――――――――――――――――――◎
〈アクションカード〉
【異次元幽閉】
属性:黒 EG:②
・効果:フィールド上の相手のユニット
1体を対象にし、それを除外空間に送る。
◎――――――――――――――――――◎
これは何と、先程剣が発動した《現世追放》の黒属性バージョン! カードゲームの枚数が増えることで、類似した能力を持つカードが出てくるジンクスがあると言うが、これもまた例外ではないのか!
「《太陽の騎士》を除外空間へ追放しろ!!」
これは厳しい、やっている事は剣のオウム返しに過ぎないが、丁度カスタム・ツールの発動と装備の最中にアクションカードを打ち、《太陽の騎士》を追放させた事で《聖天の覚醒》は対象不適正とみなされて消滅。
DLランダルと違って、そのまま墓地に送られた所を見ると余計にあの聖剣の強さが適格なものになっていく。
「テメェ俺の真似するとか汚ぇぞ!!」
「お前にやられた事を返して何が悪い。それと他に反撃はしないのか」
「確かに丸腰だろうが、地面突き刺さってる聖剣があっちゃ“飛び出し注意”って出るわアホ。ここは身を引くぜ」
戦場と身内の安全を第一に考える剣、ここは特攻せずにユニットを攻撃させずに身を構える。しかし……
「そうかい。そんなに聖剣が怖いのならこのカードでも出しておこうか……!」
ここでマンドラ、蓄積したEG③を装備コストに使わず、手札のカードを招来!!
「カスタム・ツールカード、【大いなる伝説の聖剣―GXキャリバー―】!!!」
「……………は、ハァァァァアアアアアア?!!!!」
招来したカードに驚愕する桐山剣、いやいや私も驚きましたよ!?
マンドラもあの秘宝・G-パーツのカードであった【大いなる伝説の聖剣―GXキャリバー―】のカードを持っていたというのだから、流石の桐山剣も驚きというよりも屈辱にも似た感情と困惑が混じり合っている!
◎――――――――――――――――――◎
〈カスタム・ツールカード〉
【大いなる伝説の聖剣―GXキャリバー―】
属性:無 EG:③
・効果:[カスタムクロス:プレイヤー/ユニット/EG③]
①装備したユニットまたはプレイヤーは[セーフガード:プレイヤー]を得る。更にプレイヤーはAP400のソード系攻撃、ユニットはAP・DP+200の調整を得る。
②装備した状態で攻撃し相手プレイヤー、ユニットにダメージを与えた時HPを500回復。その後墓地からユニットカードを手札に戻す。
◎――――――――――――――――――◎
「お前……、そのカードを何処から奪いやがったんや! あぁ?!」
「奪った? 人聞きの悪い。DLランダルもGXキャリバーもこのオリジンゲームワールドにて譲り受け、アメイジングの為に呼札として錬成させたものに過ぎん。断じてお前の世界に存在するカードを奪い取るようなコソドロはしない」
それを聞いた剣は少しホッとはしたものの、戦場の現実を垣間見るならば、“危険”の二文字が真っ先に浮かび上がった。
と、ここでマンドラが登録していた『プレイヤースキル』が自動的に発動。
これは各プレイヤーに3つずつ、ステータスから習得したスキルをゲームで使うことが出来るシステムだが、マンドラが発動したスキルはこれだ。
◎――――――――――――――――――◎
マンドラのプレイヤースキル
【フレイムブースター】発動!
自分がカードを唱えた時、EGを③得る。
この効果はゲーム中3回まで使える。
◎――――――――――――――――――◎
カードを召喚、発動した際にセカンドブースターとしてEG③供給の恩恵が得られるスキル。
枯渇していたマンドラのEGに蓄積された数値は、聖剣の装備コストとして丁度良い展開となってしまった!
「GXキャリバーを俺に装備! AP/DP共に200アップ、お前への[セーフガード]も得た! 覚悟しろ桐山剣!!」
「ッ……、《ありがたやの天使》でブロック!!」
軽い足捌きで桐山剣に急接近するマンドラ。すかさずここはユニットで防御するも拝んでいる天使に情け無用の横一文字。斬られながら破壊される天使は拝みどおりにアーメンと召される始末。
「ユニットにダメージを与えた事によりGXキャリバーの効果! 俺のHPを500回復、更に墓地からユニットカードを手札に戻す!!」
《マンドラ HP1250→1750》
この効果によりマンドラも初期値を超える数値にHP回復。そして墓地から《神秘の鍛冶屋》を手札に回収させられた。DLランダル程パワーには劣るが、光を呼ぶ恩恵の前ではそれすらも優る威迫が感じられる。恐るべしGXキャリバー!
(やべぇ……、絶対にやべぇ!!)
二つの聖剣を前にして青ざめる剣。序盤にして伝説の聖剣が招来・装備もされる中で覆す手立てが未だに見つからない事に焦っていた。
異世界から錬成されたカードとは言えども、本家本元の力を見出し、それでこそ戦場を制圧しつつあるこのオーラに、切り札騎士とて恐れをなしている。
やはりどの空間であろうとも、ゲームを圧倒するカードは何物にも勝るのか。
(………………いや、それは考えすぎやな)
と、ここで剣。焦燥していた感情を急激にクールダウンさせて改めて戦況を俯瞰して考える。
(頭に熱持ってかれて周りを見失うとこだった。良く考えてみぃや、俺にも奴と同じようにプレイヤースキルも手札も、PASだって残ってる。――それに“切り札騎士”は、剣を振るうだけが能じゃねぇだろうが……!!)
桐山剣の前を見つめる鋭い眼光の奥に、情熱は失せてはいなかった!
まだまだゲームは序盤、カードと戦略を駆使してこの劣勢を覆す時は来るのでしょうか!? 負けるな桐山剣、主人公補正だ桐山剣!!
――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




