25.ベールを脱ぐ伝説の聖剣!!
――遂に始まった桐山剣VSマンドラ、超次元カードバトルゲーム・アメイジング!!
まず序盤は、配下にして盾にも剣にもなるユニットの召喚で織りなすフィールド展開。
そんな中である変化を出そうとするのはマンドラ、2体目のユニット《神秘の鍛冶屋》の効果により彼の手札に未曾有のカードがサーチ、公開された。
その名も【長久の聖刀剣―DLランダル―】、あの大いなる遺産“G-パーツ”の剣、《GXキャリバー》と同等の聖剣カード。果たしてどのような効果を持っているのか、手札に眠っている今は招来されるのを待つしかない。
「言っておくが俺の《神秘の鍛冶屋》は攻撃コマンドの代わりにEGを②減らすことで手札のカスタム・ツールを出す能力がある。悠長してる暇は無いと思え」
EGが②蓄積される時間は10秒弱、確かにモタモタしてたらあっという間に場に武器を出されてしまう。剣に不穏なプレッシャーが押しかかる。
(確かに、あのランダルなんちゃらって剣引き寄せたかんなアイツ……、どんな効果かは知らんけど、狼狽えてたらアカンな。そしたら……)
ヤンキーだがゲームとなると慎重派の剣。ここでユニットの《太陽の騎士》に攻撃コマンド!
「《太陽の騎士》で、《神秘の鍛冶屋》にアタック!」
攻撃対象はユニット。ユニット同士の攻撃も可能なこのゲーム、ここでマンドラはもう一方の《月影の騎士》でブロック、つまり防御する事が出来るが……?
「……無理だな、お前の《太陽の騎士》の能力[セーフガード:黒]が俺の騎士のブロックをもすり抜ける。鍛冶屋はそのまま破壊される」
剣の《太陽の騎士》には[セーフガード]の効果。これは①能力や装備の対象にならない。②ブロックされない。③受けるダメージを全て0にする。という三段防御効果が付加される屈指のガードを誇る。
そして騎士の効果テキストに“黒”と書かれているという事は、『黒属性のカード』を対象に3段ガードが可能。《月影の騎士》は黒属性、よってブロック不可で鍛冶屋の攻撃が当たって破壊された。
「まだや! 俺は更にカードを使う!!」
剣、追撃のカードスキャン!
『ユニットカード、【ありがたやの天使】!!』
召喚されたのは、何やら天を仰いで涙ながらに拝んでいる情緒不安な天使ちゃん。まさにこの姿は『ありがたや〜』のポーズ、何を感謝してるんでしょうか?
◎――――――――――――――――――◎
〈ユニットカード〉
【ありがたやの天使】EG:②
AP:100 DP:100 AS:10
属性:白 ユニット/エンジェル
・能力:このカードが召喚された時、
自分はHPを200回復する。
◎――――――――――――――――――◎
〔桐山剣 HP1500→1700〕
プレイヤーのHPに上限は無い。なので初期値を超える回復でもしっかりと数値を上げて回復が出来るのだ。
「騎士と豪語する割には特攻はしないんだな」
「お前に一回負けたからな、“同じ轍は踏まない”って言葉もあるだろ?」
ゲームとなったら命懸け、ミスや敗退にリベンジする為にスポンジ並に学習力を吸収する桐山剣。守りに徹する。
「《月影の騎士》で桐山剣にダイレクトアタック」
「通しだ!!」
《桐山剣 HP1700→1450》
防御に徹するとはいえ、ここはユニット温存に自らダメージを負う剣。《月影の騎士》も同じく[セーフガード]持ち故のノーガード戦法か。
「……怖気づいてるのか? 俺の聖剣が来るのを」
「冗談! ……と言いてぇ所だがよ、正直ビビってる。GXキャリバーと同等と聞いちゃな」
「正直者だな。……だからと言って手加減はする気は無いがな!」
そんなきこりの泉的な理論は通じないのがゲームのシビアな所。しかしまだ例の聖剣を出す様相が伺えないマンドラ。
「《太陽の騎士》でダイレクトアタック!!」
「通しだ」
《マンドラ HP1500→1250》
ここは[セーフガード]持ちの《太陽の騎士》のダイレクト。騎士ユニットの殴り合いに少しずつHPを削っていく。彼にも初ダメージが通った時、いよいよあの聖剣のベールが剥がれる……!!
「よく見ておけ桐山剣。これがオリジンゲームワールドに伝わる11本の聖剣の一つだ!!」
「カスタム・ツールカード、【長久の聖刀剣―DLランダル―】!!」
遂に出現した聖剣カード、その形状は黄金の柄に銀色の両刃、即ちロングソードの型を持つ聖剣。名からしてあのフランスの叙事詩に語り継がれている英雄・ローランが持っていたという“デュランダル”に由来するものか、その鋭利な刃からしてその聖剣が持つ能力とは。
◎――――――――――――――――――◎
〈カスタムツールカード〉
【長久の聖刀剣―DLランダル―】
属性:無 EG:③ PP:15
・効果:[カスタムクロス:プレイヤー/ユニット/EG③]
①装備したユニットまたはプレイヤーは
AP/DP500アップし、攻撃した時相手ユニットの
DPをAPが超えた分だけ戦闘ダメージを与える。
②このカードを装備したプレイヤー・ユニットは
30秒に一度だけ受けた戦闘ダメージを0にする。
◎――――――――――――――――――◎
「……うわ、やっぱ強ぇ……!」
DLランダルはGXキャリバー同様に2つの能力を持つ。攻守共に強化からのブロックした相手の防御を貫通する殺傷能力、それを相対し装備した者に一度ダメージを無効にする能力。剣なのに盾の役割も果たせる万能聖剣だ。……聖剣に万能って言い方は語弊ありますかね?
「そしてDLランダルを《月影の騎士》にEG③支払って[カスタムクロス]、DLランダルを装備!」
[カスタムクロス]とは、装備カードをユニットやプレイヤーに装備させる際にEGを支払って装備させるコスト能力。これを持つカードは普通のカスタム・ツールカードと違って装備したユニットらが破壊されても装備はフィールドに留まるメリットがある。
早速にそれを《月影の騎士》に装備させるが、
『カウンター・レスポンス発動』
ここで桐山の剣が発動中のカードに畳み掛けての『カウンター・レスポンス』。これを発動する事によって相手のカードに対しての妨害や別の行動を起こす事が出来る。剣、ここでマンドラの聖剣装備を妨害する!
『アクションカード、【現世追放】!!』
◎――――――――――――――――――◎
<アクション・カード>
【現世追放】EG:②
属性:白
・効果:フィールド上の相手のユニット
1体を対象にし、それを除外空間に送る。
◎――――――――――――――――――◎
「聖剣は装備させねぇぞ! 《月影の騎士》を除外空間に送る!!」
“除外空間”とは、墓地でも手札でもフィールドでも無く、ゲームの空間から除外する場として『除外空間』が設けられている。アメイジングでもその概念があり、カードの効果によって《月影の騎士》は除外。装備される筈のDLランダルは対象不適正となり、地面に突き刺さるようにフィールドに留まった。
「チッ……、そう簡単には装備させないか」
舌打つマンドラに剣は逆に緊張で張り詰めている様相であった。
(何とか防げたが……、あの聖剣をどーにかせんとあっという間に劣勢や。何か策立てへんとな……!)
駆け巡る切り札騎士の直感能力、それを駆使してDLランダル攻略なるか!? ――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




