23.PRIDE《誇り》 VS REAL《現実》
――ゲーム戦士の力の要、魂を輝かせる為に掲げるは己のPRIDE。それを取り戻さんとエレメンタルナイツ・マンドラにリベンジマッチを申し込んだ!!
「俺にリベンジだと……? PASを持ってしても俺のサラマンダーのPASに負けたお前が。ゲームで無ければお前だけでなく、お前の大切な仲間までも死ぬ事になるんだぞ」
自分を戒めつつ、それでも立ち向かおうとする剣の愚かさに物申すマンドラ。だがそれでも剣は立ち向かう理由があった。
「……だろうな。その事を俺はずーーっと考えてた。俺も選択コマンド一つミスっただけで取り返しの付かない失敗をしていたんだろうよ。そういう意味じゃ俺とお前は紙一重って奴やろな。―――龍牙に、穂香の親父。目の前にいんのに何一つ救えんかった奴の事に考えただけでも頭イカれちまいそうや」
だが桐山剣は、救えない者への償いに足を止めるような事はしなかった。振り向かず、ただひたすらに前に進む彼の眼前に、彼を優しく受け止めてくれる仲間やゲームの存在がある限り……!!
「だからこそや。だから俺はこれからもゲーム戦士として強くなる事を止めねぇ。一回負けたから何や、またコンティニューして諦めずにやり遂げるだけだ!」
そしてその闘志を胸に、桐山剣の胸に真っ赤な魂の鼓動が響き渡る! ――いざとなったら魂を込めろ! 烈火の如く真っ赤に燃える騎士の剣!!
◎――――――――――――――――――◎
・PAS【ロングソード】確認。
◎――――――――――――――――――◎
「我が胸に掲げしは切り札騎士の証明! この闘志折れぬ限り、この魂の剣に斬れぬものは無し!! ――――今一度、俺と勝負しろォッッ、マンドラァァァァァァァッッッ!!!!!」
混沌の地に桐山剣が吠えた! 人間の理性の奥に潜む闘争本能が、その叫びに共鳴しPASもギラギラに輝いていた!!
「…………鬱陶しいんだよ、どいつもこいつも俺にお節介を焼くバカ共が―――!」
その時、マンドラの腰に控えた鞘から長身の剣、【大いなる伝説の聖剣―GXキャリバー―】に似た剣を引き抜き、桐山剣目掛けてその刃を向けた!
「そんなに相手したけりゃしてやるよ桐山剣。最強とか夢見てるお前に、ゲーム戦士のREALってのを見せてやろう。……構えろ桐山剣! お前が本当に『切り札騎士』と呼ぶに相応しいか、俺に見せて貰おうか!!」
何とマンドラはゲームの用意もなく、ただ手持ちの武器を構えて桐山剣に勝負を申し込んだ! 早い話がこれは真剣勝負じゃあるまいか、これは下手すれば怪我だけじゃ済まされない!!
「それは、俺も剣を出せって事やな……!」
マンドラの臨戦態勢を見るや否や、無意識に戦いの空気を悟ったのか、剣はPASの力で魔法か幻か、剣専用のロングソードを現出させた!
「分かってるじゃないか。これはゲームでなくて遊びでもない。本気の決闘。肉が斬られようが血を流れようが泣き言言ったらゲームしねぇからそのつもりでいろ。―――お前にゲーム戦士としての“覚悟”を示せ。行くぞ」
これは……何やらガチの空気が漂い始めましたよ……! となればこの私も、野暮なツッコミを入れては空気読まずと言われることでしょう。良いでしょう、私もガチの実況で語らっちゃいましょう!!
(あーあ、Mr.Gのオッチャン熱入っちゃったよ)
(ほっとけ実況者モドキが無視されたくないんだろ)
なんか言いました?
「「いいや、こっちの話!!」」
あ、そう。とまぁ話は逸れましたが、剣VSマンドラの血で血を洗う真剣勝負へ。一同、礼! 斜に構えてぇ……
――――カチャッ、スッ……!
『始めぇッッッ!!!!』
ヒュッ、ブンッ、
――キィィィィィ…………ンッッ!!
初手からマンドラの電光石火、特攻体制に入って桐山剣に急接近。しかし桐山も特化された瞬発力を武器にロングソードを横で構え、縦で振りかぶるマンドラの剣を防いだ!
互いの剣が鍔迫り合い、ギリリッと二つの刃を震わせる程に二人の腕の力は互角か、押し切られると見たかマンドラは素早く桐山から離れた……かと思いきや最接近してのアウェイ&ヒットに狙う。だがこれも桐山のロングソードに弾き返された!!
さぁここで、剣も反撃に出る。しかし紙一重で交わすマンドラ、畳み掛けての攻撃、これも交わされる! 剣術の既読返信リピーターか!?
――バシュッッッ!!!
おおっとここで?! 桐山剣がソード攻撃と見せかけての拳ジャブ、マンドラの持つ剣の柄を狙ってのポイントアタック、この勢いにマンドラの持っていた剣が弾き飛ばされた! 丸腰だ!! そこを狙ってのチャンスとうら
ヒュンッッ
何ぃここでマンドラが接近する剣の足を狙っての足払い、剣スッ転んだ!! その隙にマンドラが弾かれた剣を回収する。そして再び振るわれる風斬りの刃!!
「オオォォォぉぉ?!!!!」
人間マトリックス、人間イナバウアー、横一閃で振るうマンドラの剣の軌道をスレスレに回避した! このスローモーションな動きは重加速かどんよりか!?
……っとここでマンドラ、回収したばかりの剣を斜に構えるのでは無く上段で、いや構えるというよりは投げる体制だ!! そしてマンドラの剣は投げられたぁ! ソードロケッターだ!!!
矢のように空を切り飛ぶ剣を桐山剣は首を軽く傾げて軽く交わす! 犬じゃないから『取ってこい』と言われても持ってくる者は居ません当たり前!!
さぁヤケになったかマンドラ、今度こそ丸腰の状況かと思ったが……そんな事は無かった!!
―――ゴォッ、ボッ、ボシュ!!
剣の次は炎の玉、魔力消費で放つマンドラの炎呪文が桐山剣を翻弄させる!!
「―――――そこだッッ」
「熱ッッ………!!」
あっとここで炎の玉が桐山剣のソードを持つ手に着火!! 怯んだ所でマンドラ追撃の炎により、彼同様に武器を弾き飛ばした!! そして天を仰ぎて空中に飛ぶマンドラが放つ、太陽の如き炎の大玉を出す!!!
「うらぁぁぁあああああああ!!!!!」
放出と共に爆散する炎、それが地に着いたときには桐山剣の周囲を覆うファイアウォールと化した!! ウイルスバスター地獄の一丁目、火遊びのマザーロードだ!!!
これでは桐山剣も迂闊に近づけない、そしてマンドラは空中にて翻弄される桐山剣を我が物顔で見物し、右の手からは炎の玉、焼き尽くす気満々のマンドラが止めのメラゾー◯を御見舞する!
「オラァ切り札騎士バーベキューいっちょあがり!!」
しかし―――――!!
「舐めんなゴルァァァァァアアアアアアアアッッッ」
心頭滅却すれば火もまた涼し! ファイアウォールを潜り抜けて、ハイジャンプで飛び掛かる桐山剣の反撃に右の拳が力入る。そしてマンドラもその反撃に気づかぬ訳がなく、同じく右拳に力を込めて、
――――――カウンター・クロスッッッ!!!!
ゴスッッッ………!!
互いの拳が両方とも相手の顔面に直撃、反動やカウンターでの勢いもありどちらも威力に申し分無し。空中のマンドラ、飛び掛かった桐山剣と相打ちとなったガチゲンカ。勢いよく叩きつけられた地面に二人はうめき声を上げながらもノックダウン。
そして、両者とも同じタイミングで起き上がった……!
「……やるじゃねぇか」
「じゃ、戦ってくれるか。今度はゲーム戦士らしくガチなゲームで」
そう言われてマンドラ、剣の言われた通りにゲームで相手をする事を決め、それと同時に懐からカードの束を取り出す。
桐山剣の居た世界でのカードバトルゲーム【AMAZING】のカードデッキだ。
「俺が色んな世界へ旅立った時、こんな紙の束で戦うのかと呆気に思ったもんだ。そしてそれは違うんだと直ぐに気付かされた。リアルでもゲームでも、ゲーム戦士同士が魂を掛けて戦う真剣勝負である事には変わりないんだと」
「そりゃそうや。ゲームだって皆大事なもん抱えて真剣に戦ってんだからよ。リアルファイトよりも絶対退屈はさせねぇと思うぜ」
「剣筋は素人の癖して英雄以上の根性がお前にはあった。だから今度はお前の時代のゲームに法って戦う。真剣勝負はただの小手調べだ」
それにしては命懸けの小手調べでしたね……。
「言っておくがこのゲームの決着が付くまでは《サラ・チャンドレイユ》を返す気は無い。謂わば切り札抜きでの戦いになるが、覚悟は出来てるか?」
「切り札はサラだけちゃうで。それに俺はサラを所持する資格も取り戻すために戦う。PRIDEを掛けるってのはそーゆー事や」
「ならばその下らん意地張った事に、後悔するんだな!!!」
かくして、ゲームウォーリアー外伝・ラストゲームの戦いの火蓋は切られた!!
剣はマンドラの魔力によって、自動的にカード召喚機『カードスキャンブレス』が装着・起動され、マンドラの周囲にアメイジングカードもとい『呼札』が舞う。
いよいよお待ちかね、ゲームウォーリアー名物オリジナルカードゲームバトル・アメイジングの始まりだ!!
「「一度破れたてめーに………」」
「ゲーム戦士のPRIDE《誇り》 を、」
「ゲーム戦士のREAL《現実》を、」
「「思う存分ぶつけてやらァ!!!!!」」
さぁさぁどうなるどうなる頂上決戦、ブクマ&しおりはそのまま! ――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




