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16.精霊憑依《スピリット・ポゼッション》!!

 

「…………あの、何やってるんですか? ディーナさん」


 海底にて繰り広げるパズルゲームアラカルトの激闘の最中、エレメンタルナイツのディーナ・ウェーブプールが放ったPASを放った途端に、その様相を見た穂香は目を白黒させた。だってそうじゃないですか!



『――――抱かせて♡』


「ッ……!!」


 何をトチ狂ったか、いきなし畠田レミ目掛けてディーナがむぎゅ~と抱擁の百合展開に持ち出したではないですか!

 ゲームの最中に欲情でも駆り出したのでしょうかディーナさん。余りの急展開にパニックになりながらも、レミはディーナを振り払って気持ちを整理する。


「な、ナ、7、奈、何すんのよいきなり!!!」


 これまでのゲームウォーリアーのシリーズの中でも、レミは何かと女子キャラに好かれやすいと言いますか、百合カップルを作りやすいジンクスがあると言いますか……今度は異世界のゲーム戦士女子にまで好かれる始末。ここまで来たら流石のレミも物申したくなる。



「このシリーズっていつもそうですね……! 毎度毎度あたしに百合展開させて、あたしを何だと思ってるんですか!! (嫌いじゃないけど)


 ……あれ、この展開どっかで見たような。てか結局百合肯定してるんじゃないですかレミさん。



「茶番はこれくらいにしてくださいレミさん……。それよりルーラさん、ディーナさんに一体何が?」


 乱心の雰囲気漂う海底は、今まさにカオスに包まれている。それに限界を感じた穂香は戦いを見守るルーラに説明を求めた。


「ディーナは自分のPASを開放した事で、PASの中に眠る()()()()()を目覚めさせたのよ。

 ――エレメンタルナイツ専売特許のPASスキル、【精霊(スピリット)憑依(ポゼッション)】によって」


「ひ、憑依……!?」


「エレメンタルナイツの四人に共通しているのは、サラマンダー・シルフ・ウンディーネ・ノームの四大精霊の意志がそのままPASの力として宿っている事。そしてそれを開放したという事は、精霊が司る四大元素の力をフルに活用する事が出来るの。ただ……」


「もしかして、憑依する事で何らかのデメリットが……?」


「そうなの。精霊の意志を憑依するという事は精霊とゲーム戦士の魂が共鳴し合って、精霊の性格側に()()()()()()しまうの。ディーナはウンディーネの魂を持っているから、彼女の性格も能力も共鳴しあっている」


「………!!」


 この時穂香は、ディーナの乱心の理由がある伝記からの言い伝えと似ている事に繋がった。


 元々水の精霊・ウンディーネは、人間と恋をしてそれ成就し、子供を授かれば己に魂を得られるとされていた。だが愛した男性が水辺でウンディーネのことを貶すと、自分への愛を失ったとして、再び精霊として元居た水辺へと帰らなければならないという。


 今でこそラノベでのネタになるような伝記として言い伝えられてますが、これがヨーロッパの文筆者達の性癖を刺激し、現在における戯曲やバレエの題材にも使われているのです。


「……でもそれって清純な恋愛の話ですよね? 何でディーナさんのPASのウンディーネは百合思考になっちゃったんですか」


「それはディーナの歪んだ嫉妬が、ウンディーネの純愛の心に突然変異を起こした結果ね。自分よりも知性の優れた者に興味を持って、それが恋愛にも似た感情を持つようになった、と言うべきかしら」


(そんなウンディーネ聞いたことないわよ……)


 なんて温和な穂香も呆れ返るほどのツッコミを交わす中、再びレミとディーナの間で溺愛プレイが始まった。


『ねーぇ? 貴方ってどうしてそんなにパズルが得意なの? どうしてポニーテールなの? どうして百合キャラになっちゃったの? ねぇねぇ』


「何なのよ今度は!? そんなに引っ付かないでよゲームに集中出来ないじゃない!」

『集中しなくて良いの。私の目的は、貴方のゲームを妨害する事だから』


「「!!?」」


 レミはディーナの真意に気づいたと同じ刹那、穂香はがら空きになった筈のディーナのゲーム筐体の変化に驚愕した!


「ディーナさんが、()()……?!!」


 急展開に付いて行けない方に補足を。これはディーナのPASが泡の力で編み出した分身体、つまりレミにいちゃついて妨害してる本物のディーナの代わりに、分身が筐体に立ってゲームに挑んでいるのだ。ってこれズルくないですか!?


「―――私は、エレメンタルナイツのブレーンです」


「……?」


 と、先程までエコー付きで憑依していたディーナの理性が戻り、レミの耳元で本音を囁く。


「あの10年前の、正体不明の脅威を私が真っ先に察知していれば……、マンドラさんの妹を、数少ない私の友を救えた筈だった……!


  私の知識は、知性は、誰かの為に役立つものでは無いのですか………!!?」


 彼女の真意に百合の困惑からシリアスになりゆくレミの複雑な感情。すると再び心はウンディーネに乗っ取られた拍子に、



『どーして男に振られてばっかなの、魂が戻るかと思えばどいつもこいつも別の女に振りやがって……! もう男はゴメンだわ!! 私は女と結婚して魂貰って百合パーティーしてやるううううううううッッッ』



(や、ヤンデレだとぉぉぉぉぉぉッッ!!!???)



 魂の中に宿るウンディーネの思わぬ性癖にダブルで驚愕するレミ。

 しかしまだゲームは5巡目のパネポンが残っており、既に画面ではブロックが埋め尽くされて警告エフェクトも鳴っていた……!



 ――本日のゲーム、これまでッッ!!



 ▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽


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