表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/44

12

とは言っても。

そこは俺、所詮乙女座B。

筋金入りのヘタレなもんで。

触ってみたい気持ちはあるけど、指が全然動かねー。

すぐ隣に、まゆちゃんいるのに。

俺のこと、にこにこして見てるってのに。

あーやだやだ。

どんだけヘタレなのよ、俺?



そんな俺に愛想を尽かすこともなく。

まゆちゃんは、そっと手を伸ばしてくれる。

え?

何?

それって、ヤバくね?

だってさ。

俺、ふつーに、手とか握られてるし?

てか。

彼女の方から、俺に触ってくれてるし?



そのことに気付いて、ますます硬直する俺。

でも、怖いとは思わない。

だって、まゆちゃんだもん。

ユーレイだとしても。

会いたいってずっと思ってた子なんだから。




そうこうしてる間に、地下鉄はぐんぐん走って。

南郷13丁目に到着しちまう。

ホームには何人か人がいる。

くそ。

来るな客。

頼むから。

ちょっと空気読め。


なーんて祈る必要もなく。

皆何故か、俺のいる車両を避けていく。

ん?

何で?

まゆちゃん、何かした?

それとも、俺がいくないの?



再び閉まったドア。

ちょっとほっとして、まゆちゃんを見返すと。

彼女も、にっこりしてくれる。

あー。

何となく判った。

最初俺、嫌われたのかと思ってたけど。

こういうことだって。

つまり、その。

ねえ。

そういうことだよね?

…要するに。

二人っきりになりたかったんだよね?






     @  @  @






地下鉄がぐんぐん走り出したあと。

あらためて、まゆちゃんと向かい合う。

さて。

何言おう。

何て話そう。



その間。

俺、結構必死。

何気に必死。

ごちゃごちゃした頭、必死に働かせて。

何話せばいいか、必死に探ってる。


あ゛ーーーーーっっ、もうっっっ!!!


今思えば、俺っていっつもこう。

肝心な時になると、何も喋れなくなって。

あとでいっつも悔しい思いすんの。

だから、口ゲンカも負けっ放し。

チャットも苦手。

何かを整理しながら話すとか、まず不可能だし。

てか。

こんだけ俺がテンパってるってこと、彼女判ってるんだろーか?

少しは判ってくれてるんだろーか?




俺がぱくぱく口を開いたり閉じたりしてるのを。

まゆちゃんは、黙って待ってくれてる。

ちょっと首を、右側に傾げたぐらいにして。

さらさらの髪が、揺れるぐらいにして。

ああ。

もう無理。

もうダメ、俺。

萌え死ぬ。

マジで萌え死ぬ。

こんな可愛いコ前にして、何にも出来ないくせに。

そういうとこだけは、ソッコー反応するんだわ。




言葉なんか出てこないから。

俺、いい加減諦めて。

必死にテレパシー送ってみる。

笑うなって。

必死なんだから。

だって相手、ユーレイなんだから。

しかも、めっちゃ可愛いコなんだから。

俺のこと今笑ってるだろーけど。

お宅だってきっとこうなるって。



…あのー。

ひょっとして、本間まゆさん?



って訊いてみると。

彼女、こくんって頷いてくれる。

はにかんだ微笑み浮かべつつ。


あのさ。

判る?

この、こくんって感じ。

可憐っての?

いかにも女のコっての?

マジやべーって。

俺、初めてかもしんない。

リアルで見たの。

女のコがこんな頷き方するのって。

アニメの世界だけだと思ってた。



てか。

こんなとこにいちいちはんのーしちゃうから。

俺の話、全っ然進まねー。

ごめんね皆様。

イラっとさせて。

でも、一番イラっとしてるの俺だから。

一人でテンパってるのも俺だから。

初心者マーク頑張れよってことで。

も、ちょい、我慢してやって。

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ