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そう思いながら、ふと顔上げた時。
窓の向こうに、視線を感じたんだよね。
…え?
何で?
俺、びっくりして、まゆちゃんのこと見たけど。
彼女、白っぽいパーカー着てそこにいて。
目が合った途端、にっこりしてくれる。
何で何で?
さっきまで、影もカタチもなかったのに。
俺もう、諦めてたのに。
アパート帰ってフテ寝しようって決めたのに。
どうして今になって出てくんの?
おろおろする俺のこと、まゆちゃんはじっと見てる。
怖くなんかない。
ユーレイには慣れてるし。
可愛いユーレイならなおのこと。
それに。
今回はいつもと違ってたんだ。
何処がって?
これまでは俺、見てるだけだったの。
眺めてるだけだったの。
でも今回は、ちょっと違ってた。
だってね。
窓の向こうのまゆちゃんが、遠慮がちにドアをすり抜けて。
俺の方に来てくれたんだから。
反射的に、脚見ちゃったけど。
デニム地の可愛いタイトスカートで。
真っ白な膝と、真っ直ぐな脚。
赤い靴下と黒い靴。
ちゃんと揃ってる。
五体満足。
途端に俺、ドキドキし始める。
ヤバいくらい。
でもね。
まゆちゃんはにこにこしながら歩いてきて。
俺の前でぴたっと足止めて。
それから、
ふわりと、隣に座ってくれる。
ありえないくらい自然に。
@ @ @
まゆちゃんとの、初めての2ショット。
予想外の展開に、俺、大慌て。
いやいやいやいやいやいや。
だって、ありえねーでしょ?
俺にははっきり見えてんだから。
彼女の姿も、表情も。
フツーに見えてんだから。
恐る恐る、視線合わせると。
彼女も、俺を見返してくる。
これがねー。
マジ、半端ねーの。
可愛いなんてもんじゃ。
ぶっちゃけ、優香タンなんか目じゃねーって感じ。
何よこれ?
俺のモーソー?
だとしたら。
俺の想像力、かなりレベル高くね?
な〜んてコト考えてたら。
彼女、ちょっと遠慮がちに、俺の手に触れてくる。
見た目はリアルそのものだけど、感触はやっぱ薄い感じ。
何て言うか。
触られてるのも判るし、ほんのりあったかい気もする。
でも。
やっぱ、実物とは違う。
それでもさ。
俺、嬉しかったの。
パニクりもせず、テンパりもせず。
よって、オネエ言葉にもならずに。
ちゃあんと見れたんだ。
まゆちゃんのこと。
なんで。
すっかり舞い上がった俺。
ちょっと調子に乗ってみる。
彼女の顔色窺いつつ。
肩あたりに、触ってみようかな〜、なんて考えた。
どうよこれ?
やっぱまずいかな?
まだ早いかな?