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リストカット

 急に、メンタルを病んだ。


 特に悲しいことがあったわけでもないのに、急に。両親は心配している。自分でも理由のわからない精神不安に翻弄され、あっという間に引きこもりになった。

 その頃から、リストカットをするようになった。自分なんて死んでしまえば良いと、手首に一直線の傷を作る。痛みと流れ出る血を見ているときが、唯一の心安らぐ時間だった。

 そんな破滅的な日々を送っていたとき、いつものようにカッターで手首を刻んだ。いつもよく深く切ろうと、力を入れ、抉ったとき、


『ぎゃっ!』


 そんな、悲鳴が聞こえた。

 驚いて、ついカッターから手を離す。血に濡れた刃は床に落ち、手首からも生々しい赤が垂れた。

 そして、傷口から血ではない『何か』がでてきた。黒くて、丸くて、びっしりと目のようなものがついていて、それが真っ二つになったただひたすら気持ち悪いものが、傷口からでてきて私の腕を、肌の上を、血と共に流れ伝っている。

「きゃっ!!!」

 虫が体についていたのを発見したときのように、反射的に腕を振り回した。それは遠心力に導かれ、どこかに消えていった。

 それ以来、私の精神は安定性を取り戻した。部屋から出て、リストカットを止めて、休学していた大学もすぐに復学した。

 あれがなんなのかは、今でもわからない。

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