表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/548

窓に目が

 最近、夜が恐ろしい。


 大丈夫。じっとしていれば大丈夫。いつも通りベッドで横になっていればいい。わかっている。わかっていても────恐ろしい。

「…………っ」

 心臓の音が大きくなる。時計の針の音がやけに耳に響く。

 微細な細工が施された麗しい部屋にある、カーテンのない窓。時間は一定ではないが、大体夜に“それ“は来る。

「…………っ!」

 窓から見えるのはいつも向こうの景色だけ。そのはずなのに。

 目が。

 窓一枚ほどの大きさの目が、じっとこちらを見つめている。なんでこの化け物がそんなことをしているか、わからない。ここ数日で急にそうなったのだ。

 祈る。見るだけであって欲しい。そうであってほしい。どうか、この美しい家を破壊するような真似は、どうか────。

 ……………。

 今日も、目は見つめるだけでなにもせず、静かに静かに去って行った。


「うーん……」

 同棲している彼女が、今日も不思議そうな顔で趣味で集めている“あれ“を見つめている。

「お前ほんと好きだな。その、ドールハウスだっけ」

 スマートフォンでゲームをしながら、何気なく彼女に投げかける。人形が大好きな彼女は、人形が住む家、ドールハウスとやらも持っている。俺は人形に興味はないから、家具が小せえなとか、きれいだなとか、その程度にしか思っていない。

「好きだけどさあ、別に今はそうじゃなくて」

「なにそれ」

「このドールハウスとセットのお人形、この前買ったやつなんだけど、このお家の中に入れてる人形さあ……なんか最近見るたびに位置が違うような……。

 動いてない? この子」

「こわー」

 スマートフォンから目を離さずに、「そんなわけないだろ」と心の中でツッコミを入れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ