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霊能者を呼んだ

 私には霊感がある。大抵の人には痛い子だと思われるけど、中には信じてくれる人もいる。


 親戚のおばさんもその一人だ。もともとそういう、いわゆるオカルトを信じている人だったから、私のこともすんなり受け入れてくれた。

「新しくマンション買ったんだけどね、なんか変なのよ」

 おばさん一家は駅近くにマンションを買ったらしい。新築で、立地もよく、家族みんな気に入っていたそうだ。けれど、一ヶ月も経たないうちになんだか変なことが次々と起こり始めた。

「お母さん、何の用?」

「え? なにが?」

「あたしの名前、ずっと呼んでたでしょ」

「なにそれ、してないけど……」

 こんな風に、家族の誰かに呼ばれたと思ったら違ったり、机の上に置いていたものが一瞬目を離したら全然違う場所に移動してたり、変な黒い影が視界の隅を横切ったり、いかにもな怪現象が起こるようになったのだ。それを家族全員が体験した。

「なんか、男の人、かな……いるよね」

「やっぱり!?」

 そして私は部屋を視るように頼まれた。たしかに黒い影っぽい、けど体つきから男の人だと思われる幽霊さんが家にいる。こちらから呼びかけても無視された。

「いるのはわかるけど、私はお祓いとかできないよ」

「そうよねぇ……」

 そしておばさんはどういうツテを頼ったのか分からないが、霊能者を呼んでお祓いをしてもらったらしい。

「で、どう? いなくなってる?」

「あ、たしかにいなくなってる」

「よかった~! 実際怪現象もなくなってるの! これで解決! お祝いしなきゃ!」

 おばさんは気分上々で、キッチンでおやつと紅茶の準備をし始めた。私はそんなおばさんの背中、ではなく、大きな大きな窓を見る。

(たしかに部屋の中にはいないけど、ね……)

 窓の外に、この前まで部屋にいた黒い影の幽霊がべったりと貼り付いて、じっとこちらを見ていたのだった。


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