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独裁者

 誰でも一人、殺せる不思議なボタンを手に入れた。


 鉄の台座と赤くて丸い大きなボタンがついているそれが、誰でも一人殺せるボタンだそうだ。

 死んでほしい人間の名前を唱えながら、ボタンを押す。それだけで死ぬ。ただし使えるのは一回だけだ。

 誰を殺すか? 決まっている。この国の独裁者である。我々民衆が苦しんでいるのは全てあの独裁者が好きなように富を貪っているからである。

 独裁者の名前を唱えながら、ボタンを押した。


*****


 翌日も独裁者はピンピンしていた。


 なんだ元気じゃないか! と、このボタンを渡した奇っ怪な男の元へと文句を言いに行く。

『ああ、当然だねぇ』

 男の、妙に暗い家の中で紫煙がくゆる。暗いせいで、男の顔はすっかり影に包まれて見えなくなっている。

『死人を殺すことはできないからね』

 くっくっ、と男は笑いながら新聞に載っている独裁者の顔写真を指先で叩く。

 そういえば、昔の独裁者は耳のところにホクロがあった気がするが、今の独裁者には……。




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― 新着の感想 ―
[気になる点] どくさいスイッチじゃないですかヤダー! [一言] おかしいのは何方なんだか……おかしな男……頭が心臓だったりしないよなぁ⁉︎
[良い点] 伏線が多くあり、これらがどう収束するのかとても楽しみ。 基本的に起点となる人物の周囲での描写が多いが、時々それ以外の人物の描写もあり、それにより世界への理解が高まり楽しく読める。 この世界…
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