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忘れ物ポケット

 とある妖精が、忘れ物ポケットという物を手に入れた。


『なんだってそんなものを……』

『なめるなよ。心臓頭製だ』

 忘れ物ポケットは、一見ただの口が開いた袋に見える。その中に手を突っ込むと、半径100キロ以内の誰かが存在すら忘れたものを取り出すことができるのだ。ただし取り出せるのはポケットに出し入れできるサイズ限定である。

『小銭、鉛筆、ぐしゃぐしゃのプリント、飴、アメニティの櫛……』

『ゴミばっかりじゃないか』

『でもほら、たまに小銭が出てくるぞ!』

 人間の小銭は金属を使っているから売り払えば良い金になるのだ。

『それでもたいした額にはならんだろう』

『こうやって雨で何もできない日に寝てるよりマシだ』

『まあ、そうかもな』

 ざあざあざあざあ、と外では雨が降り注いでいる。これでは畑仕事もできやしない。

『それで、売れそうにない紙屑はどうするんだ』

『おっと、その数字が書いてある紙屑は捨てちゃいけない。お札っていってそれも金だ。高いお金だ。人間に化けたときに使えるからとっておかないと』

『ふぅん』

『ちゃんと分けて……他のやつは捨ててしまおう』

 ドサドサドサ、とゴミ箱に捨てる。

『人間なんかに化けてどうするんだ』

『そりゃもううまい食事さ! あいつらったらやたらと舌が肥えてるからうまいのなんの! ラーメンってやつは特に……』

 ポケットの持ち主はいかに人間世界の食べ物が美味しいか、じっくりと語っている。人間世界の食べ物にばかり興味がある妖精は、さっき捨てたゴミの中に、一等当選の宝くじがあることなんて、全然気づいていなかった。


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[一言] 壁の穴
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