表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
448/548

ねえ、どうなの?(後編)

 ふと、フラフラと歩いている男の人を見つけた。


 その人は同じクラスの子で、派手でいっつも騒いでるうるさい人。でも明らかにお化けにとり憑かれていて今にも高いところから飛び降りそうで、それは少しかわいそうかなと思って、助けてあげたのだ。


 初めて不動くんとまともに話したのは、多分このときだったと思う。


*****


「……まあ、そんなこともあったけど」

 高校一年生のとき、偶然お化けにとり憑かれていてマンションから飛び降りようとしていた不動くんを助けた。

「惚れたね。運命を感じた」

「……そりゃ、そのくらい」

「ああ、"そのくらい"だ。俺はぁ、お前が当たり前と思っていて、美点と感じていないようなポイントで好きになったの。

 お前の視点でしか語れないドッペルゲンガーには分からないところが好き」

「……………………」

「だからまあ、気にすんなよ~」

 ね? と微笑まれる。

「……美点のことはわかったけど。欠点は欠点だよ。いいの?」

 私に友達がいないのも、暗いのも、事実なのだ。

「それ言ったら俺はメンメンメンヘラだし、欠点だって死ぬほどあるだろうし?」

 お互い様だな、と口の端を上げる。

「だいたい欠点がない人間なんていねえだろ多分」

「まあ……そうだろうけど」

「そうそう気にしすぎるなよ。さっさと映画行って気分転換しようぜ。それとも先に……」


 鎖の音がした。


「……ん?」

「…………………………………」

 大学生の自室に見合わない金属音。不動くんにも届いたのか怪訝そうな顔をしている。

 でも、視えてはいないようだ。視えていたら大騒ぎしていることだろう。

 それは不動くんと距離を置こうとした最大の理由。そして不動くんに理解されるかどうか怪しいもの。

 それはずっと不動くんの背中にいて、ずっとその手に赤い鎖を持っている。それらは四方八方に伸びていて、その一本は私に巻き付いている。


『あなただってわかってるでしょ。

 あれは不動くんを不幸にする人に繋がってるの』


 昨夜ドッペルゲンガーが言っていた言葉。それが当たっていたら、不動くんの意思と関係なく、何かはわからないが私が不動くんの"不幸"のトリガーになるかもしれない。

「あのさ」

「うん?」

「昔さ、女の人に物凄く恨まれるようなこと、した?」

 不動くんの顔から、笑顔が消えた。



*****


『ヘイラッシャ』

『お黙りだよ!!!!!』

 どこからか入り込んだバラムツ料理店店主を部屋から追い出す。あの店主のことは本当に苦手だ。

『ああもう、良い気分だったのに台無しだよ!!! プンプン!』

 ああせっかく、"新作"ができたっていうのに。

『さて、今度は誰の手に渡ってくれるかな?』

 数百年ぶりに作った"赤い鎖"が、電灯の光を浴びてキラリと光った。

ブクマ・評価・感想等いただけたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
[良い点] バラムツくん(仮称 [気になる点] また何かやらかすのか……(困惑
[一言] 鎖が新造された…え?ヤバくない?
[良い点] やっぱ鎖が不安要素ですよねえ。 [一言] バラムツ屋。ちょっと出番でも印象が強すぎて好きですw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ