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猫又

 長く生きた猫は猫又になるという話は聞いたことがある。


 人語を理解して話したり、ときには人を食い殺したり、あるいは恩返しをしたり、様々な特徴があるが最大の特徴はなんといっても二つに分かれた尻尾だろう。

 ならば、もっともっと長く生きたら尻尾は三つ、四つと分かれていくのだろうかと、子供の頃に考えていた。

 あるとき窓際でお絵描きをしていた。画用紙に「ぼくがかんがえたとてもすごくながいきなねこまた」を描いていたのだ。モデルはまだ尻尾が一本の飼い猫である。

「お前はこうなるんだぞ」

「ふなん……」

 不服そうな顔であった。この尻尾が百本ある猫のなにが不満なんだろうかと画用紙を眺めていると、どこかからカラカラと笑い声が聞こえてきた。

『いやだねえ、そんなイソギンチャクじゃないんだから』

 窓の外に、猫がいた。

 大きくて立派な見たことがない猫が、窓の外の塀にいる。毛並みは薄い金色で光り輝き、目はキラキラと輝いて宝石のようだった。

 そしてなにより、尻尾は二つに分かれていた。

『あたしらはもっと美しいよ、坊や』

 頭に響く声に合わせるように口が動いている。まるで猫が語っているかのように。

 ぼんやりとしているうちに猫は去り、頭の中に声は届かなくなった。

「お前も、ああいう風になるの?」

「ン~~?」

 どうだか、といった目線を送ったあと、飼い猫はごろんと横になって昼寝を始めた。

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