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ホワイトデー

 ホワイトデーだ。


「ってわけでェ~、はい。今回は食べ物でーす」

 三島にポン、と箱を手渡す。ホワイトデーのお返しだ。「開けていいよ」と言うと、三島はさっそく包装を開けた。

「わ、すごいかわいい。ほんとに食べられるのこれ」

「食える食える」

 箱の中には、不思議の国のアリスをモチーフにした花や動物や自然やトランプだのを象った形の砂糖菓子がぎっちり詰まっている。三島はかわいいものがけっこう好きなので、女子に人気のかわいいお菓子をリサーチした結果これにしたのだ。珍しくいつもは死んでいる三島の瞳が輝いているので、手応えを感じる。成功だ。

「老舗の洋菓子屋が作ってるんだって。お取り寄せした」

「へえ。箱もかわいいよねこれ」

 中身が不思議の国のアリスをモチーフにしているなら、箱もそうだ。箱の表面で、デフォルメされたアリスや猫やらがお茶会を開いていた。表面はツルツルしたものではなく細かく凹凸に加工されている。……そこそこお値段がしたものだが、多分中身の菓子よりも箱のほうが原価はかかっているだろう。

「捨てないでとっといて、なんか大事なものとか入れたら?」

「じゃあ、不動くんから貰ったものを入れとくね」

 クス、と三島が微かに笑った。俺は軽薄な笑みのまま固まる。大事なものを、入れろと、言って。

 俺からの贈り物を?

「金塊は大事だからね。資産価値があるからね」

「あー…………………………うん………………………………」

 なぁーーーんでクリスマスに金塊5gなんて贈ったのかな俺はぁ。ちょっと実用的すぎねえ?

「……次はもっと夢があるもの贈るわ」

「期待してるね」

「おう……」

 そうだ。次だ。次はもっとマシなものを、とまだ桜も咲く前だというのに次の冬へと思いを馳せた。

 

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