表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
404/548

変な男

 私にはいとこがいる。千花っていう、かわいいけど自称霊感少女の変な子だ。


 そんな子なせいなのか単純にかわいい子だからなのか、昔から変な男に絡まれることが多い。プレゼントに自作ブロマイド贈ってくる男とか、コートの下にパンツしか履いてない変態とか、宇宙についてずっと語ってる男とか、ずっと叫んでる男とか。本人はゲンナリして愚痴を吐き、私はおとなしく愚痴を聞く。正直、聞くだけなら楽しい。そんなトンデモ男が存在してるという事実は楽しい。

「…………………面白がってるでしょ……………………」

 いつだったか、恨みがましそうな顔でそう言われてしまった。

 さてある日、街を歩いていると千花が男連れで歩いていた。男連れというか、つきまとわれているというか。また変な男に引っ付かれたのか。

(……いや、イケメンだなー) 

 今日の男はプロポーション抜群のイケメンだ。もしかして、今日はただのナンパなのだろうか。

 ナンパか変な男か見極めるために近付いてみる。

「千花~」

「うわ……」

 うわってひどくない?

「何してるの?」

「絡まれてる」

「絡まれてるって~ひどいな~」

 イケメンは軽快にぺらぺらと喋るが、千花はいつものように仏頂面で押し黙っている。

「えー、あそこでバイトしてるんですかぁ? 私最近良く行くんですよ~」

「そうなんだ。今度さ、新作のパフェ出るから俺がシフトいる時間に食べに来てよ。サービスするよ~」

 千花が黙っている間にイケメンと仲良くなった。この感じだといつも千花に絡んでるような変質者じゃなくてただのイケメンか。

「あ、待ち合わせの時間そろそろだ。じゃあこのへんで」

「そう、残念。じゃあお店に来てね~」

「はぁい」

「……………………………………」

 まったくまともそうなイケメンなのに、千花は相変わらず一言もしゃべらない。変な男にばかり絡まれてるからって警戒心強すぎるぞ、千花。



*****


「ありがとう! やっぱり神様っているのかなあ。きっと昨日ごみ拾いしたからかな? 善行をすると良いことがあるね!」

「はぁ…………………」

 さっさと帰れ、と思っているうちに男はさっさと帰っていった。

「まさか本人が来るとか……」

 あの男は、薫ちゃん狙いだ。薫ちゃんを落とそうとして、親戚である私に近付いてきたのだ。それだけなら悪いことではないのだろうが、数々の変な男に絡まれてきたからわかる。あの目は……なにかある男だ。まともそうなフリをして、心の底になにかある男だ。だからスルーしてたのだが。

(まあいいか……)

 薫ちゃんは趣味が悪いから私が変な男に絡まれている話を、他人事なので嬉々として聞いている。たまには自分も絡まれてしまえばいいだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
[一言] 変な男に好かれるのは血か…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ