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進路希望

「センターまであと一ヶ月くらいじゃん」


 学校からの帰り道、不動くんが口を開く。

「まあ楽勝だと思うけどさ、ときどき不安になるよな」

「まあそうだね。ケアレスミスとか本番の緊張とかあるし」

「勉強は万全でも体調崩すとかな」

「最近は急に寒くなってきたからね」

 通りすぎた自販機では、おしるこやコーンスープが完売になっていた。飲み物が欲しいというより、みんな暖をとりたいのだろう。

「まあセンターこけても二次試験で挽回って手もあるけどやっぱ点とっておきたいよな」

「センター試験、国英はともかく数学は自信ないな」

「だよなーわかるわかる。でもそこで点とれるとでかいよな文系は」

 クラスの子はセンター試験の話になると途端に暗くなるが、不動くんは平気そうだ。まあ、成績が良いし自信があるんだろう。

「で、受かったらの話だけどさ」

「まだ早いよ?」

「たまには明るい話しねえと心が死ぬって~。もろもろ片付いたら行きたいとことかあるだろ?」

「それはまあ、そうだね」

「それに入学したあともさ、同じ*****大学行くんだしさ、大学入ったら入ったでやりたいこともあるだろ? 勉強してないときぐらい、そういう明るい未来のことを話そうぜ、なあ」

 不動くんはニコニコと微笑んでいる。

「ねえ」

「ん?」

「私、不動くんに志望校の話してないんだけど、なんで知ってるの」

 志望校は家族と先生以外には教えていない情報だ。だって絶対に追いかけてくるから。大学の進路はそういう決め方をするものではない。

「んん~? んふふふふふふふ…………」

 よくやってるニヤニヤ笑いに切り替えて、それでも口は開かない。口を割るつもりはないらしい。

「ま、よろしく!」

「……受かったらね」

 進路は真面目に決めるべきだと思う、とひとりごちるが、不動くんが鼻歌でそれを打ち消し、結局寒空の空気の中に消えていった。

 センター試験まであと一ヶ月である。

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― 新着の感想 ―
[一言] 多分家族との関係を悪くするのは三島の好感度かなり下がるくらいは思ってるだろうし何かに書いたor本人が言ったのをこっそり見てたか先生脅したかの二択かな
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