表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/548

異世界エルフと会う方法

 異世界に行く方法というものがあるらしい。


「ガセだったよ」

「やっぱりー?」

「異世界のエルフの村で無双したかったなー」

「あはは」

 近くの男子高校生が、そんな話をしていた。インターネット上で伝えられる、“異世界に行く方法“。誰もいないエレベーターで手順に従って上下に移動すると、異世界に行くことができるという。

 私も試したことがあるけれど、特になんの変化もなかった。

 ────異世界には、どうやって行くの?

 私は霊感があるので妖精さんたちとお話ができる。だから昔質問したことがある。妖精さんたち曰く、異世界に行く道とこの世界がときどき繋がるときがあって、たまたまそのときそこにいた人が異世界に行けるという。

 つまり、運だ。望んで行けるようなところではないらしい。

「トラックに轢かれて死んだと思ったら異世界に移動してチート能力をゲットして巨乳エルフを彼女にしてだな」

「まーだ言ってる」

 そういうの流行ってるよなあとぼんやり考えながら歩いていると、遠くから悲鳴が聞こえた。

 トラックが、こちらのほうに一直線に。

 一瞬の出来事だった。私はギリギリ進路から外れていたが、私より前にいた人は巻き込まれた。

 血と慟哭が、現場に満ちる。


「首が見つからないんだって」

 一週間経った現場には献花が多い。結局一名が犠牲となり、多数の重傷者を出した居眠りトラックの追突事故。その犠牲となった少年の首だけが、未だに見つからないという。

「かわいそうにね」

「潰れちゃったのかな」

「でもそんな痕跡ないってニュースで……」

 みんな、そう言う。でも彼が死ぬ前に言っていたことを、思い出す。

 ────トラックに轢かれて死んだと思ったら異世界に移動してて……

 もしかしたら、どこかの世界のエルフの村に、人間の生首が落ちているかもしれない。

 そんな風に思いながら、献花の前を通り過ぎた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ