表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
243/548

双子の兄

 中学のとき、自分が両親と血が繋がっていない上に、生き別れの双子の兄がいることを知った。


「お前とお前の兄さんが産まれてすぐ、本当の親は事故で死んでしまったらしいんだよ。他に育てられるような人がいなかったらしくて、乳児院にいたところをうちが育てることにしたんだ」

「お兄さんもいっしょに育てられたら良かったんだけどね、お兄さんは先に貰われていっちゃってたから」

「はあ……」

 驚きはしたが、だから全然似てなかったんだなとどこか冷静に納得したことを覚えている。血が繋がってないのに我が子のように育ててくれた両親には感謝している。

 ただ、双子の兄の存在は気になってはいた。自分の片割れ。顔はそっくりなのだろうとか、どんな性格なのだろうとか、話したら仲良くなれるのだろうかとか、どんな人生を歩んでいるのだろう、とか。

 だがこのご時世である。親が持っている情報以上のことを知ることはできず、心の片隅でほんの少しばかり気になりながら、時は流れ大人へとなった。


「……………………」

 たしかそのときは小雨が降っていたと思う。趣味の沢釣りを終えて山道を降りていた俺の目に、行きのときにはなかったそれが飛び込んできた。

「………………………………………」

 首が異様な伸び方をした、首吊り死体。まだ何もかも真新しい、けれど全てが手遅れな首吊り死体。

 それは、自分とまったく同じつくりの顔だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ