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赤い糸

 なんでだかは分からないが、運命の赤い糸が視えるようになった。


 小指に結ばれる赤い糸。隣に運命の人がいればその指の糸と繋がり、遠くに運命の人がいる場合は途中で消える。

 視えたからといって、どうということはない。信じられないだろうから、ただ普通に暮らすのみ。

 ある日、信号待ちをしていると前にいたカップルの小指同士が結ばれていた。

 おめでたいことで、と心中で呟くが、同時に上から荒い息が聞こえてきた。

『フーッ……フーッ……』

 ズタ袋のような女だった。

 襤褸を纏った女が宙に浮いている。その形相は鬼のごとく恐ろしく、手には鋏を持っていた。自分以外の人間には視えないのか、他の信号待ちの人間は無反応だ。

『フーッ……フーッ……!』

 女はカップルを睨み付けると、その赤い糸へ鋏をいれた。

 ちょきん、と。

 軽い音をたてて、赤い糸はあっさりと切れた。

(あっ……)

 女はニヤリと笑うと、音もなくどこかへと消えていった。

「…………」

 嫉妬は醜いとはよく言うが、なるほどたしかにあれは醜い、と思った。

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