スカイプの相手
休校になって以降、暇だ。
休むのはいいが外出があまり推奨されない環境なのは微妙だ。しょうがなく部屋で大人しく勉強をしている。
独特な音が、電源を点けているパソコンから聞こえた。
『ひまー?』
「勉強してる」
『おれもぉ』
また不動くんからのスカイプだ。音声のみで画面は映っていない。
『勉強飽きた』
「ちゃんとやらないとダメだよ」
『前からちゃんとやってるしぃ。暇潰しに映画とか、なんかいいのない?』
「普段何見てるの?」
『グロいやつ』
「グロくないやつ見なよ。話題になってるやつとか」
『グロくなくても話題作はとりあえず見ちゃうからな俺。ネットのおすすめ映画の一覧とか見ても見たことあるやつばっかでさー』
「映画じゃない普通のアニメとか見てみたら? 長いから時間潰しにはなるでしょ」
『アニメねー。そういや鬼滅の刃見たぜ。面白えよアレ。首飛ぶし』
他愛もない話。いつもしているような。本当に、いつも通りの雑談。
「ねえ」
『ん?』
「どこのお化けか分からないけどさ」
『……』
「わざわざ不動くんのフリしなくたって、話し相手にはなるよ。暇だし」
『…………………………』
唐突にスカイプが切れた。LINEで不動くんに「今スカイプした?」と送るが即座に「してない」と返ってくる。
だろうな、と思った。霊感があるからなんとなくわかった。
コンコン、と窓が誰かに叩かれている。窓の隅から、白い手が伸びている。
「どちら様?」
『さっきのー』
「暇なの?」
『うん』
初見のお化け。さみしがり屋のお化け。じゃあ何を話そうか、と頭を巡らせた。




