表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
195/548

死神に願いを

 目の前に死神が現れた。


 三日月のような鎌を持ち、宙に浮いた少女。いっちょ前に黒スーツを着ている。

『私は死神です。寿命を支払っていただければお金をあげます』

「寿命?」

『はい。命を私に差し出せば、その量に応じて大金を差し上げましょう』

「例えば?」

『そうですね。例えばお金ですと一年で二百万。十年で五千万。百年で十億となっております。一度に支払っていただける対価が大きいほど、こちらもサービスしますよ』

「寿命残り三十年の人が十億欲しさに百年選んだら、すぐ死ぬ?」

『ええ。もちろん』

「寿命を取り過ぎてすぐ死ぬとして、死に方は選べる?」

『? はい。まあ、死神ですしその程度は。

 ご家族がいるのに多額の借金を抱えている方など、あえて残り寿命より多い対価を差し出す方もいらっしゃいますし、当然みなさん安楽死をご希望されますが……』

「じゃあ……」


『七時のニュースです』

 テレビの向こうで、ニュースキャスターが淡々と読み上げる。

『本日午後三時頃、■■で男性が突如全裸となって走り回ったあと、大量に血を吐いて亡くなるという事件が起きました』

 せんべいを囓りながら、それを見る。

 ────二十年前、私の実家に押し入って、家族を殺した強盗の寿命を百年差し上げます。死に方は、この紙に書いたとおり。

 試しにそう言ってみた。死神はニヤリと快諾して、『あなたの寿命ではないのでお金はその人のものになりますが』と言って消えていった。

「こいつだったんだ……」

 迷宮入りした事件。密かに解決した祝いに、今はもういない家族へ捧げるワインをネットで注文した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ