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昔の恋人

 雑誌で読んだ。男の人は、好きな人に誰かと付き合っていた経歴があるのが嫌な人がいるらしい。


「私に昔恋人がいたとしたらどう思う?」

「今はフリーだろ? なら別に」

 日曜昼下がりのフードコート。私のことを好きだと常々言っている不動くんはあっさりとした回答をした。

「そういうのってあれだろ? 処女厨。やだねえ。ユニコーンかよ。テメエの経験のなさを女に押しつけてんじゃねえよ」

 そういえば不動くんは中学時代は割と彼女の入れ替わりが激しかったらしい。なんでも、フリーのときに告白されたら美醜問わず「気が合うかもしれないからとりあえず付き合ってみる」ことにしていたそうだ。そして、別に不動くんは相手に惚れているわけではないから結局どこかで齟齬が起きて破局するらしい。

「元カノ、何人いるの」

「分かんねえ」

「うわ……」

「今は完全にフリーですぅ」

 ニコッと微笑む。わざとらしい。

「あれ、千花じゃん」

 突然振ってきた声。私も不動くんも、そちらを見る。

「晶さん」

 スラッとした長身の美形の人。鍛えてる不動くんとはまた違うタイプのかっこいい人だ。

「久しぶり。見たことない子といっしょだね。彼氏?」

「そうです」

「違います」

 同時だった。テーブルの下で、不動くんの足を踏む。

「あはは、仲良さそうだね。友達待たせてるから、じゃあね。また遊ぼ」

 ヒラヒラと手を振りながら、晶さんは去って行く。晶さんの背中から視線を外し、また不動くんに向き直るとじーっとこちらを見ていた。

「…………もしや!」

「晶さんは女の人だよ。よく勘違いされるけど」

「あ、そうなの?」

「パッと見イケメンだからね」

 昔、あだ名は宝塚だったと言っていた。女子からはいつもいつも王子様みたいな扱いをされるらしい。

「きゃーきゃー言われてたって」

「あー、わかる。中学ンときの女子バスケ部に似たようなのいたわ~」

「そう。だから」

 テーブルの上の、ごみをまとめる。

「元彼じゃなくて、元カノね」

「……………………………………………………………はい?」

 思考停止している不動くんを置いて、フードコートをあとにする。一回後ろを振り返ると、不動くんは私を追いかけようとして、見事にゴミ箱に激突していた。


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