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百合の花をあなたに

 クラスメイトの宮部さんが亡くなった。


 とても明るい子で人気者の女の子だった。けれど突然難病にかかって、半年もしないうちに亡くなったのだ。

 今日はその葬式の日だ。クラスの大半は参列していた。私もなんとなく参加した。

「この度はご愁傷様で……」

「いえいえ……」

 覚悟していたのであろう、ご家族は意外と気丈に振る舞っている。逆に、詳しい病状は伏せられ、突然死亡の知らせを受け取ったクラスメイトたちはみんな泣いていた。

 一番泣いているのはクラスでも大人しいほうの眼鏡の女の子、立川さんだ。宮部さんの幼なじみで、いつもいっしょに行動していた。手に持っている百合の花に、涙がぽろぽろと落ちている。宮部さんが大好きだったという花で、棺に入れるために持ってきたという話がどこからか聞こえてきた。

 そんな様子を、幽霊となった宮部さんがじっと見ている。

 宮部さんはすっと立川さんに近づくと、その額に、ほんの一瞬だけの口づけを落とした。私がそれを見ていたのに気付いたのか、宮部さんは困ったように微笑むと、指を一本立て、自身の唇に寄せたのだった。

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